まりあ light
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さのひさし
注:この話に登場する有栖川麻理亜は、「まりあ heavy」 に登場する有栖川真理亜と
同一人物ではありません。
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グラムロックが派手に響いて、スクリーンには化粧したデビット・ボウイ。なにこれ、何の冗談? オーナーがお友達と一緒に、過ぎ去った昔を懐かしむ日? あっそう。カウンターに進めば、刈上げ金髪に筋肉質、蝶タイもりりしいバーテンダーチョッキの貞恵(ジョンヘ)が、目の前にトムコリンズを出しながら、にやついた視線を後ろに投げる。
「見ろよ、あれ」
うわお。振り向いたあたしも声を上げそうになった。信じらんない、とびっきりの上玉だ。
蚊トンボみたいに細くてガキだけど、今どきストレートの黒髪に睫毛が濃くて重たい切れ長の目、すっと通った鼻筋に薄めの唇が真紅、姫、って呼ばれてそうな日本人形、そいつが黒革のボンデージまがい着て、まっ白い肌ちらちら見せながら、壁に寄っかかってグラス舐めてやがる。いい度胸じゃん、誘ってんのか?
「見る顔?」
「いや、お初だよ。あれだけのタマなら、おれが知らねーわけねーだろ」
声にもの欲しそうな気配が現れてて、あたしは笑った。胸にさらしを巻いて乳房を潰し、プロテインと筋トレで体を作ったこいつみたいなマッチョじゃないけど、可愛い女の子に目がないのはあたしも同じだ。
「浮気していーんかい、銀花(ウナ)ちゃんに言いつけちゃうよ」
同棲相手の名前を出してからかってやると、ジョンヘは悔しそうに「畜生、くそアマ」と唸った。
「つまみを出すのが遅いぜ、サービス悪いな。おわびにつまみ、倍、出したらどうだ」
「倍、金、取ったるわ」
軽くやり合って振り向くと、日本人形ちゃんにコナかけてるニヤケが一人。あたしの眉間が皺を刻む。
「怖えーよ、ミーコ」
あたしよりひとまわりもでかくてごつい、マッチョビアンに怖がられる筋合いはねーよ。つまみの皿からナッツを口に放り込み、あたしはカウンターのスツールから降りる。スクリーンで身をくねらせるジギー・スターダスト。ボウイ、あんたが女なら惚れてたかもな。
「またカモ見つけたかい。今度はどこのソープに沈める気だ? 秀人」
声をかけると、優男のニヤケ面から一転して凶悪な白目を剥いたコマシがあたしを睨み、ぎょっとしたように引いた。
「な、なんだよ、このお嬢ちゃんあんたのツレかよ、だったらそう言ってくれりゃあおれだって……」
「知らねーよ、こんなババア」
耳を疑った。小さな、可愛い口を開き、お綺麗な日本人形は、ハスキーな声でそういったのだ。
「だけど、あんたよりは面白そうだ。行きな、あたしこっちと話するから」
ふてぶてしいツラで秀人に顎をしゃくる。あたしは思わずそいつの胸倉掴んでいた。
「んだとこのガキャア、誰がババアだ、ぶっ殺すぞこの野郎!」
「ミーコ、おいミーコっ」
秀人があたしを止めにかかるなんざ、前代未聞の椿事だろう。あたしもこの女の胸倉掴んだとたんに、驚いて手の力が弱まった。
軽りーよ、こいつ。めし、喰ってんのか? まだ、体もできてねえガキじゃねえか。
「おれ、行くわ。おめーをコケにする女がいたってだけで、話のタネになるからなあ」
気を取り直したらしい秀人は、嫌味を言って離れていった。あたしは中指を突き立てた。おととい来やがれ、馬鹿野郎。
「コマシが……」
「で、あんたはなんなのさ。ひょっとして、あたしがコマされるとこを助けに来てくれた、お助けババア?」
何の感謝もしてない顔で、けろけろとガキが言う。あたしは黙って、掌底(しょうてい)をみぞおちにぶち込んだ。お人形の顔が激痛に歪んだ。
壁に押しつけ、さらに力を込めて掌を押す。お人形の顔が上に持ち上がり、白い喉をさらす。白目を剥いて、吐く体勢に入った。口の脇から涎が垂れた。
「口の利き方に気をつけな、ガキ」
あたしは言い捨てて、ぎりっと掌を廻して離した。ガキの体が一瞬伸び上がり、それからずるずるとくずおれた。あたしは足を投げ出してうずくまったガキを見下ろした。
「こわもてなんだな、ねえさん……可愛い顔してさ……」
うつむいたままのガキから、小さく言葉が漏れる。あたしの頬に笑いが浮かぶ。
「負け惜しみの強えーガキだ。なんかおごってやるよ、立ちな」
「てめーがやっといて、立ちなはねーだろ……」
どこまでも生意気なガキだった。
『アンダー』はろくでもない店だった。どこがろくでもないって、あたしが出入りしてるんだから間違いない。入り口の、十八歳未満お断り云々のプレートが、くその役にも立たなかった。未成年のあたしが言うんだから間違いない。そのあたしの目から見てさえ、まりあはガキだった。せいぜい中坊、そのくらいにしか見えない。当局にばれたら、いっぺんで店が停止処分を受けるような客だった。だったら入れさせなきゃいいのに、平気で入れちまうところがろくでもないというんだ。
「おめー中坊だろ。なんでこんなとこ、来たんだよ」
「あんただって高坊だろ。言える筋じゃないんじゃねーのか」
平行線の不毛な会話をかわしつつ、カウンターに並んで一緒にグラスを舐めている。ジョンヘの嫉妬の視線が痛い。
「妬くんじゃねーよ。おうちに可愛子ちゃんがいるくせによ」
「ふーん、バーテンのねーさんズーレー?」
ズーレーってね、おやじかお前は。
「こいつもだぜ」
ぶすこいたジョンヘがすっぱ抜く。
「あたしはバイだよ」
まりあは平然と言った。
「男でも女でも、どっちでもいーんだ」
「ナマ抜かせ、ガキのくせに」
せせら笑ったあたしに、まりあは挑戦的な目線を投げた。
「試してみる?」
おいおい、そう来るか。あたしはまりあの顎をすくう。
「じゃあ、キスされても泣かねーよな、お嬢ちゃん」
顎を引き寄せ、唇を合わせる。口の中をまさぐる舌が絡み合った。へえ、こいつ、なかなか。
舌を絡ませ、上口蓋を舐め上げ、頬の中をうごめかす。頬をすぼめて舌を吸い込んでやると、息ができなくなったまりあは苦しそうにあたしの方に顔を突き出す。その体を抱き寄せながら、右の中指で服の上から乳首にタッチした。もがくまりあを押さえ込み、キスを続けたまま、指の腹で乳首を下から撫でる。ボンデージとブラジャーを通して、乳首がしこって勃ち上がる。続けるうちにまりあは必死に頭を振り、腰を揺すり、体を左右によじってあたしから逃れようとした。口を離してやると勢い込んで手まで使ってあたしの顔をもぎ離す。
「てめえ……」
「ナマいうからさ、お嬢ちゃん」
息を乱しているまりあに、あたしは笑った。
「下手にミーコ刺激しない方がいーぜ」
ジョンヘが首を左右に振る。
「こいつはワルだからな」
「上等だ。ワルってとこ、見せてもらおうじゃねーか」
おや、と目を見開いたのは、こいつ、まさか、やけくそになってんじゃねーだろうな、と思ったからだ。さっきの挑発にしても、一番最初の生意気な口の利き方にしても、やたら喧嘩売ってる割にはどーも実力が伴わねえ。ただの身の程知らずのガキなのかも知れねーが、まあ、それならそれで。
「見せてやるよ、ついてきな」
あたしは立ち上がった。まりあも立った。くそ、とジョンヘが呟いた。
その名の通り、『アンダー』は地下にある店だった。扉は地上にあるくせに、開けたところで人がすれ違うのがやっとの狭苦しい階段が地下へ続くだけ。そこを降りていって二番目の扉に至り、それを開けるとようやく、でかい騒音とくだらねえ映像、酒とクスリとヤリチンヤリマンだらけの店内ご案内、ってわけだ。さらに地下に続くヤバい部屋が、この店のどこかにあると噂されていたが、幸いあたしはそれにお目にかかったことは一度もなかった。つまり、客を取らされてる薬漬けの女や、下手打って転がってる男の死体、なんかにゃお目にかかってない、ってことだ。
噂だけどな。
コンクリの地下階段を上っていくと、地上に通じる扉のそばで、暇を持て余して携帯メールをかけまくっている用心棒の久住が目に入った。そうだった、ここ通って久住のチェック受けなきゃ店に入れないんだよな。声をかけると、頭を五分刈りにしてあごひげを生やした、やぶにらみのひょろりとしたのっぽがあたしを見る。これでも、まともだった頃は実戦空手の全国大会に出たこともある、って奴だ。今はクスリでちょいとイカれてる。だけど、クスリ代さえ払ってやれば、後の給料にゃ文句を言わない、そうだ。
「久住、このガキ誰と一緒に来た? 一人じゃ通さねーだろ」
のっぽはきろきろと丸い目を動かしてまりあを見ていたが、
「おめー、一人で帰っていーのかよ?」
と、まりあに訊いた。
「吉元さんすっぽかしていーのか?」
あたしの顔が引きつった。久住は次にあたしの方を向いて、目を細めた。
「ミーコ、いーかげんやんちゃはやめろや。おれぁもう、おめーと闘(や)りたかぁねーんだよ」
「あたしも、あんたにアバラ折られんのぁ、もうごめんだな」
あたしは言った。
「もう、吉元とは切れてんだろ? 今のあんたはここの用心棒だ」
「だからってなあ、知らんぷりはできねーだろーよ。『アンダー』にクスリ卸してんのは吉元さんだからな」
「また、闘んのかよ、あんたと」
「おめーにぶつけられる奴はおれしかいねーだろーよ」
あたしは苦虫を噛み潰したような顔になる。こいつはマジに強え。あたしじゃ勝てねえ。
「おめーとは闘りたかぁねーや」
久住はもう一度言った。そりゃそうだろう。あたしは肋骨二本やられたが、こいつだってただで済んだわけじゃねえ。あたしもそれなりのことはやった。
「そーならねえことを祈ってな」
あたしは言い捨てて、何か言いたそうなまりあを促して扉を開けた。新鮮だが、夏の熱気のかすかに残る、九月のぬるい夜気が肌に絡みついてきた。
「おめー、吉元とどういう関係だよ」
ラブホへの道すがら、あたしはまりあに尋ねた。問い詰める、というニュアンスになっていたかもしれない。まりあは前を向いたまま、返事もしなかった。
「おめーにコナかけてた秀人は吉元の舎弟だ。おめーが吉元のオンナなら、あいつがコナかけるわけがねー。いつからだ。どういうつき合いだよ」
「あんたこそ、あの男とどういう関係だよ」
初めは何のことを言っているのかわからなかった。あのラリのヒゲ野郎だよ、と怒鳴られて、久住のことだと気がついた。
「あんたのお知り合いの吉元絡みのおつき合いだよ」
あたしは言った。
「あたしのオンナってんじゃねえ。舎弟、かな? そんなもんかな、アカネって女がいた。吉元はクスリ卸してる悪党だった。馬鹿なアカネをレイプして、薬漬けにして売っ払った。あたしは吉元の事務所乗り込んで、事務所ぶっ壊した。シロートのメスガキに面子潰されちゃ、吉元ぁこのままでかいツラできねえ。用心棒の久住にあたしを壊させた。あたしも壊れたが、久住もお払い箱になった。たかがメスガキ、たたっ壊してオンナにして売っ払え、ってのができなかったのさ。あいつぁ今でも雨の日にゃ左腕の腱が痛んで、突きのスピードが出ねえはずだ。あたしがやった。アバラ二本と腱一本じゃあたしの方が分が悪いがな」
まりあはぽつんと、怖えー話だ、と言った。
「吉元に引っかけられりゃあ、おめーもすぐにレイプ、薬漬け、売っ払いの三本セットだ。なりてーか?」
「ごめんだな……あんたぁあたしの恩人ってわけだ」
おい、ほんとに引っかけられたのかよ。あたしは呆れてまりあの顔を見た。よくあんなデブヤローにナンパされるよな。
「クスリが欲しかったんだ」
まりあが爪を噛む。
「売人見つけて話にかかったら、今日は卸しの吉元って人が来るから、あの店で待ってろって連れてかれて……でも、もういいやあ。せいせいした」
大きく伸びをした。
「おめー、ヤク中にゃあ見えねーぞ」
「当たり前だろ。クスリ欲しがってんのはあたしじゃない。あたしのオトコだよ」
「はあ?」
「でも、もう決めた。捨ててやる、あんな奴」
まりあはミョーにすっきりした顔をしている、そりゃいいが、おめー、オトコ持ちだったのか。唖然とするあたしの目の前で、ガキが嫣然と微笑む。
「恩人にゃ、お礼をしなきゃな」
いたずらっぽく黒目がきらきら光ってんのが、可愛いーと思ったりして。興奮してワクワクするなんざ、久しぶりだよなあ。
まりあはラブホも手馴れていた。さっさと部屋に入って服を脱ぎだした。あたしはぼんやりと缶チューハイを飲みながら、まりあのいさぎよい脱ぎっぷりを見るともなしに見ていた。
ボンデージの下に、まりあは片側の腿だけ、ガーターベルトを巻いていた。よく見るとそれは、細いスティックを留めるためのベルトだった。スタンスティック。先端にスタンガンと同じ、高圧電流端子を仕込んだ折りたたみ式のスティックだ。警棒と同じで、一振りすれば五十センチ以上に伸びる。結構こいつも危ない奴だったんだな。まりあはベルトごとスティックを外すとあたしを見てにっと笑った。仕方なくあたしも苦笑した。
全裸になったまりあはどーだとばかりに胸を突き出した。まだ尻も突き出ていないガキで、男の子みたいなスレンダーだが、胸は小振りのが形よく前へ出ている。結構美乳かも。
あたしも服を脱いだ。Tシャツにジーンズの短パン。ブランドなし。すっきりさっぱりの格好だ。
「へえ……」
あたしの裸を見たまりあが、かすれた声を出した。
「すげ……こんな腹筋のついた女、見るの初めて……」
そりゃあたしの体は女してねーよ。放っといてくれ。
「見た目はでかくねーし、顔は可愛いし、黙ってりゃネコで通るのになあ」
確かに、顔だけであたしを見る奴は、あたしがネコだと思うんだろう。最初ジョンヘがあたしを口説いたぐらいだ。あとでさんざんいじめのネタにしてやったが。
「ってあんた、ひょっとしてネコ?」
「そう見えるか?」
あたしより少しだけ背の低い、まりあの首に腕を廻して引き寄せた。唇を合わせて、さっきのキスの続きだ。今度はまりあもあたしの胸に手を伸ばしてくる。胸を揉み、乳首を親指と人差し指でこすり合わせて堅く勃ち上げる。あたしは腿をまりあの股間に入れて押しつけ、ねっとりと動かす。やがててらてらと互いの腿が濡れ光りだすと、まりあはまた、息が上がって、あたしを押しのけようとした。残念だね、あたしの肺活量は男並みなんだ。あたしは指の腹でまりあの乳首をはじく。震える腿を、角度を変えて強く押しつけると、偶然クリトリスに当たったらしく、びくびくと腰が震えて、まりあの体が熱を帯びた。口を離してやると、息を荒げて呼吸をむさぼる。
「まだまだだぜ」
何度も何度も、角度を変えて口づけ、息を吸い、舌で掻き回す。何度続けたか、まりあは目元をかすませて、ふらふらよろめいていた。酸欠状態だ。軽い体を抱き上げて、ベッドに持ってってやる。ぐったりして腕で顔を覆うまりあの股間に顔を埋め、裂け目に唇を這わせる。クリトリスに息を吹きかけると、まりあはかすれた声で喘ぐ。容赦なく鼻の頭でクリトリスを押し、舌を尖らせてノックすると、愛液が噴き出した。酢っぱい液を舐める。恥垢がなく綺麗にしているところを見ると、手入れは上等。
あたしは本格的にクレバスに舌を突っ込んで舐めだした。掌で内腿を強弱をつけて揉みしだきながら、ときおりクリトリスも刺激してやると、肉付きは薄いが柔らかい腿をびくびくと震わせてまりあはイく。赤頭巾ちゃんを食べる狼になったような気分で、悪くない。あたしは一方的にまりあを追い上げ、まりあは疲労の果てに、イったまま失神してしまった。
体は不完全燃焼だが、まりあをイかせたことで精神的に満足した。あたしは自分の指と掌で自分を満足させて、それでよしとした。
シャワーを浴びて戻ると、まりあは軽い寝息を立てていた。ガキそのものの幼い顔が、妖精のようで可愛い。ふと、いたずら心を出して、まりあのバッグの中身を開けた。財布に、コンドーム。クレジットカード……リッチだな、ガキにカード持たす家柄か。身分証……
身分証? あたしはもう一度、そいつを引っ張り出してまじまじと見た。非の打ち所のない優等生、といった顔をしたまりあが、まじめくさって制服姿で写っていた。
松柏学院初等部5年1組23番有栖川麻理亜……
あたしの目が点になった。
初等部5年……小学生? 小坊!?
冗談じゃねえ、淫行条例どころじゃねえぞ、ロリじゃねえか。あたし小坊に手ぇ出したわけか?
うわあ……
どーしょーどーしょーと意味もなく部屋の中をぐるぐる歩き回る。まるで檻の中の熊だ。そりゃ確かに顔も体もガキっぽかったけど、小坊がボンデージ着て、クスリ欲しさにうろつきまわるかい。おとなしくランドセル背負って塾行ってろよおめーよー。憮然としてあたしはまりあが目覚めるのを待っていたが、我慢できなくなって揺り起こした。まりあはうっすらと寝ぼけ顔で目を開けた。まだ、自分がどこにいるのかわからないようだ。
「お家帰りな、パパとママが心配してるぜ、小学生のお嬢ちゃん」
あたしは言った。しばらく寝ぼけ顔であたしを見ていたまりあの意識に、急にスイッチが入ったらしく、顔つきが変わった。ぽやぽやした子供っぽい、可愛い顔がきりっと引き締まり、目が吊り上る。やっぱりこっちの方の顔が好きだな、ってそんなこと考えてる場合じゃないって。
「一応謝っとくわ、すまん。あたしだって、小坊だとわかってりゃ、手ぇ出さなかった。まあ過ぎたことはしょうがないから、家へ帰んなよ。犬にでも噛まれたと思ってよ」
「なんだよそれは」
顔中を口にしてまりあは喚いた。
「小坊だとHしちゃいけねーのかよ」
「いけねーよ。学校で習わなかったか?」
「小坊が惚れてもいけねーのかよ。あたしぁあんたに惚れたから、Hしたんだ。犬に噛まれたって、なんだよそれは。あんたぁ犬かよ、あたしは犬に惚れたのかよ」
「逆ギレすんじゃねーよ、ガキ」
後悔しても、もう遅いってか。あたしは深々とため息をつく。
「惚れたの何だの、でかい声で言うな、こっぱずかしい。だからてめーはガキだっつーんだ」
「てめーだってガキだろーが」
「おめーみてーな本物のガキと一緒にすんなよ」
ふん、とまりあは鼻で笑った。
「ババア」
「……むかつくガキだな」
今、本気で殺したろーかと思ったぞ。あたしは目を光らせ、さすがにまりあは口をつぐんだ。
「ともかく、おめーとはこれっきりだ。服着な、お家まで送ってってやる」
むつり、と口を尖らせて、まりあは脱ぎ捨てた服を身に着け始める。ガキのくせにレース満載のシルクのパンティか。男に買わせたか、買ったものを着けさせられたか。体をかがめて揃いのブラジャーを着け、スティックの差し込まれた幅広のベルトに手を伸ばした。
その手が横薙ぎに振られた。まりあの手の中には、最大限に伸ばしたスタンスティックがあった。
「危ねーな。なんのつもりだ」
「ガキかどうか、試してみな」
「同じセリフを何度言やあ、気が済むんだ」
あたしは言った。
「進歩がないのが、ガキだってんだよ」
あたしは横っ飛びに飛び、まりあの後ろに回りこんだ。空を裂くスティックをかわし、腕をねじ上げて押さえ込んだ。
「このまま折るぞ」
床に押しつけられたまりあの顔が苦痛に歪む。みしりと関節が音を立てる。
「折れ、畜生」
まりあは呻いた。あたしはさらにきつく腕をねじり上げて、押し殺したまりあの悲鳴を引き出してから、腕を離した。折れてはいない。だが、しばらくは痛みがひどくて動かせないだろう。
「おめーが出てかねーなら、あたしが出て行かあ。あばよ」
あたしはさっさと服を着けて、後ろも見ずに部屋を出た。振り返ればよかったかなー、と後悔した。未練だった。
あたしは本気で、小坊のガキを気に入っちまってた。またやりたいと思った。
つまり、惚れたんだ。
そういうことだ。
まりあの分まで飲み代を払って、ラブホ代を払って、立て続けに財布から金が出て行っちまう。仕方なくあたしはダチに電話をかける。金貸せよ。
TVでお綺麗な広告やってるローン屋に引っかかって、えらい目に遭うのは真っ平ごめんだ。
が、ようやくやってきた野郎は、おまけも連れてきた。
「悪りー、頼まれたもんで、つい」
「こんりんざい、てめーに金なんざ借りねーぞー」
そそくさと遠ざかる阿呆の背中を、ぶすくれて見つめる。ダチに恵まれてねーなー、と嫌味なコマシは笑いやがった。
「その自慢のメン、ぶっ壊してやろーか? 秀人」
「……ったく、てめーって女は、女とも思えねーや。ホントはついてんじゃねえのか? アレ」
「だったらてめーにケツからぶち込んでやる、喜べ」
「いい加減チョーシこくのはやめろや」
白目が剥かれて、奸悪な素顔が剥き出しになった。優男のツラでこいつがどこぞの馬鹿の顔を切り刻み、少年院暮らしをしたってのは、わりかし有名な話だ。
「吉元さんが待ってっぜ。まりあって名前の子猫ちゃんもな」
「んだと?」
顔がこわばる。時計を見ると、まりあと別れてから、すでに一時間以上たっていた。
「まりあを、どしたよ」
自分の声が低くなるのがわかった。
「来りゃあわかる。来るよな」
悦に入ったコマシが笑う。あたしは秀人を見返し、どこだ、と訊いた。『アンダー』だ、と答えると、秀人を待たずに勝手に歩き出した。おいおいと呆れた声を上げて秀人が後を追う。歩きながら言った。
「あのガキに手ぇ出しやがったら殺すぞ。わかってっか? てめーら」
「惚れたもんだな。そんなに女がいいか。一度レズってるとこ、おれらにも見せてくれよ、なあ、ミーコ」
こいつは顔面粉砕の刑に決定した。この場でやらなかったのは、単に人目があるからだ。あたしは店に着くまで何度も、拳を握ったり開いたりして、一足ごとに気息を整えていった。
お馴染みの地上の扉を開けると、久住と目が合った。あたしの殺気に呼応して、半眼に目を落とした久住の筋肉がぴりぴりいってんのが伝わってくる。今度は肋骨二本で済むか、済まねえか。あたしは秀人を従えて階段を下りていった。
店内にオーナーの姿はなかった。オーナーの野郎、巻き込まれるのが嫌でトンズラしやがったな。カウンターにいるはずのジョンヘもいない。あたしのダチだから、何かあったら困ると思って引っ込めたか。カウンターでは、見たこともない男のバーテンがグラスを磨いていた。
トイレの隣のスタッフルームに、秀人はあたしを連れ込んだ。スタッフルームもやっぱり無人だった。ロッカールームの一番端、掃除用具入れのロッカーを秀人は両手で壁からどけた。隠し扉が現れた。噂の地下室へご案内だ。扉を開いて促され、あたしは先に立って階段を下りた。
第三の扉は分厚いスチールドアだった。たぶん、防音になっているのだろう。重い扉を力を込めて押し開ける。
地下室は十畳ほどのコンクリの打ちっ放しだった。何の装飾もない、灰色の密室だ。
部屋の中央寄り、やや奥に椅子が一つ、そこにまりあが後ろ手にくくりつけられていた。左右の脚を開かせられ、椅子の脚のそれぞれにくくりつけられている。体を二つに折り、うなだれた格好のまま動かないまりあを見て、あたしは目の前に血の色が広がっていくのを認識した。
そのまりあの肩から背にかけて、撫で回しているのがデブの吉元だった。三本の指に石つきの指輪をはめた、芋虫みたいにぷくぷく太った指を見ていると、こいつをまっ二つに引き裂いて、こぼれ出る白い脂肪を踏みにじってやりたい、という凶悪な破壊欲に駆られた。その他にボディーガードが三人。みんなごつい。たかがメスガキ一人に、大層な歓迎ぶりじゃねえか。
「久しぶりだなあ、ミーコ」
吉元はまりあの体を撫で回しながら言った。鳥肌が立った。
「手を離せ。その子から、薄汚ねー手を離しやがれ」
あたしは唸った。ゴリラどもが色をなしてあたしにガンを飛ばす。ふぉほほほ、と吉元は妙な笑い方をした。
「離してもいいけど、タダってわけにゃいかねーなー。こっちも商売やってんだ。おめーに壊された事務所の修理費、あれ、利子が利子を呼んで、一億になってるぜ」
「ジャンボ宝くじでも買えってか」
「元金は無理としても、利子くれー入れてもらわねーとなー」
吉元はボンデージの隙間から露わにのぞくまりあの肩に手をかけ、爪を立てて引っかいた。白い肌に赤いみみず腫れが走った。気を失っていたらしいまりあが小さく呻いて身じろぎする。
「やめろ、畜生!」
「なあ、ミーコ」
吉元は抑揚のない声で繰り返した。
「利子くれー入れてもらわねーと困るんだよ」
「わかった。何をすればいい?」
あたしは掌を広げて、降参のポーズをとる。吉元は肉厚の顔で、感情がないような、ただ、目が細くなっただけの笑い方をし、三人の男があたしに近づいてきた。男の一人があたしの背後に回る。
「てめえは油断ならねェからなあ」
バックを取ったゴリラがあたしを押さえつけ、前の奴がにやにや黄色い歯を剥き出して笑いながら、たっぷり体重の乗ったフックをあたしの胃にぶち込んだ。あたしの体が持ち上がり、二つに折れた。衝撃で息が止まった。
同じ場所に膝頭が埋まった。あたしは膝頭に体重を預けたまま、血混じりの胃液を吐いた。
「古武道だかなんだか知らねーが、小娘のくせに馬鹿っ強えーときてやがる。ちったあ壊させてもらわねーと、危なくて何もできやしねえ」
もう一度、正拳で駄目押し。頭の中が白くなった。あたしはがくっと首を垂れた。
「おいおい、殺すな。顔も傷つけんなよ。骨も折るな。売り物になりゃしないからなあ」
吉元の声が遠くに聞こえる。ゴリラどもがあたしを床に投げ出し、服を引き裂き始めるのを、あたしはもうろうとした意識で感じていた。
まりあが意識を取り戻した時、あたしはコンクリの床の上で、三人目のゴリラに乗っかかられていた。前の二人にぶっかけられて、顔も体もザーメンまみれだ。畜生、ざまあねえ。
「ミーコ!」
薄目を開けて見ると、まりあが食いつきそうな形相をして、くくりつけられた椅子を揺らしながらもがいていた。おう、目が覚めたか、よかったな。
ピースサインのできる状況じゃねえけどな。
「お目覚めかい、お嬢ちゃん」
白々しく吉元が猫撫で声を出した。指先でまりあの体を撫で上げる。まりあはそそけ立つような顔をした。鳥肌の立っているのが容易に想像できた。
「このミーコって女はレズで有名でねえ、男とやっても全然感じないらしいんだよ。お嬢ちゃんとはどうだったのかな? 感じた? こいつ」
てめえ顔面粉砕じゃすまねーぞ。あたしはゴリラに突っ込まれながら歯ぎしりした。
「あたしだってレズ女よりは男のほうが好きよ」
どくん、と大きく心臓が鳴る。マリアは聞いたことのない、冷ややかな声を出していた。
「あなたがなかなか来てくれないから、この女の誘いに乗ったんじゃないの。ばかばかしい、誰が女なんか」
どくん、どくん、とこめかみの血管が脈動を打つ。頭に血が上るのと逆に、体が冷える。本気で言ってんのか、まりあ。
「もっと痛めつけてよ。あたしに声をかけてきた罰よ」
「聞いたか? ミーコ。おめーもとんでもねえ女に引っかかったもんだなあ」
吉元の嘲笑も、怒りのあまり脳みそが沸騰するほど血の煮えたぎっている頭には聞こえなかった。ばりばりと音を立てて、アドレナリンが全身を駆け巡る。
「そんなことより、あたしにも楽しませてよ。ねえ、ちょうだい、あなたの。しゃぶりたいわ。しゃぶらせて」
ぴちゃぴちゃと舌なめずりする音がした。
「オーケー、子猫ちゃん」
たぶんやに下がってやがるんだろう。ジッパーを降ろす金属音がやけに地下室に響く。
「あん、これじゃしゃぶれない。解いてよ、これ、ほどいてえ」
小学生とは思えないほど、欲情に満ちた声だった。
「ガキのくせに色っぽい声出しやがるなあ」
あたしの上で動いていた馬鹿が、余計なことを言いやがる。てめえ、殺す。
かちゃかちゃ音を立てて、ベルトのバックル外したまんまの吉元が、くくった椅子からまりあを外してやってるらしい。ほら咥えろ、と吉元の声がして、くぐもった、淫猥な音が聞こえ出した。ぴちゃぴちゃ猫がミルクを舐めるような音も加わり、吉元が女のような甲高い声で喘ぐ。想像したかあないが、まりあのフェラテクはかなりのものらしく、ますますあたしは頭に血が上った。
突然、絶叫があたりをつんざいた。壊れたサイレンを思わせて、身の毛もよだつような悲鳴が延々ととぎれもなく続く。視界の隅で、ゴリラ二人が動こうかどうしようかと迷った顔で、吉元の方を見ているのが見えた。
「噛み切りやがった、このガキ、吉元さん噛み切りやがった、いかれてやがる!」
上ずった秀人の声が、吉元の悲鳴にかぶさる。あたしは爆笑した。やったねまりあ、おめーはサイコーのイカレガキだ。
愛してるぜ。
あたしは上で動いている馬鹿の首に腕を廻し、強引に引き寄せて、喉に手刀を突き立てた。男は悶絶して意識を失った。その体を押しのけると、濡れた音を立てて、まだ湯気の出ている男のモノがあたしから抜き出される。そいつを思いっきり踏み砕く。
まりあと秀人が揉みあっているのが気配でわかったが、今はとにかくゴリラ二匹だ。
「来な、粗チンヤローども」
あたしは挑発した。
「てめえばっかりイきやがってあたしはイかせられなかったくせによ、そんなみっともねーもんぶら下げてんじゃねーや。役立たずが」
掴みかかってくる一人のゴリラの前で体を沈めた。股間に手を伸ばし、ぶらぶらするモノを掴み、握り潰した。さらにひねってねじり上げると、そいつはウサギのようにぴょんぴょん飛び跳ね始める。手を離してやるとあたしから離れてからもかなりの間飛び跳ねていたが、そのうち横倒しになって、脚をばたばたさせていた。なんだかぜんまい仕掛けのおもちゃのようだ。
もう一人が十分なタイミングで蹴りを放ってきた。あたしは裸のまま引く。男の拳が伸びる。フェイント気味のストレート。続けて反対側からフック。連続技にしても、てめえらじゃ久住に比べりゃあカスだ。
蹴りが振られる。折り畳んでいた膝が急激に伸びる蹴り上げ。あたしは引くと見せかけて前へ出る。待ってましたとばかりに垂直にかかとが落ちる。あたしの脳天にか、肩口にか。だけどあたしが前へ出る方が半歩、早い。
掌底をみぞおちに叩き込まれて、男は完全にバランスを失い、よろけて後ずさった。あとは片脚を宙に上げたままの不安定な男の軸足を薙ぎ払い、倒れかかる首筋に、こっちがかかとを叩き込んでやればいい。くずおれて横になった顔面に前蹴り。鼻が砕かれて、整形科行きだ。
向こうで喚き声が聞こえた。
息を乱したまりあの足元に、秀人がひっくり返っている。まりあの手に握られたスタンスティックを見て、あたしはにんまり笑った。
「ミーコお!」
まりあが飛びついてくる。あたしはしっかりと細っこい体を抱きしめ、吉元の薄汚ねえモノを噛み切って血まみれの唇にキスをした。しょっぱくて生臭い鉄の味がたまらずに、何度も何度もキスを繰り返す。
「ふ、それやめて、また、イっちゃう……」
はあ、と欲情に染まった息を吐いて、まりあはあたしの体を押しのけた。
そういえば、吉元はまだ呻きを上げて床を転がっていた。あたしはまりあに食いちぎられた肉片を摘み上げ、ぶらぶら揺らしながら吉元の前に行った。
「コレ欲しいか? あ? 吉元」
血まみれの股間を掴んでのたうち回っていたデブは、あたしがぶら下げたものを見て目の色を変えた。
「か、返せっ、今ならくっつくんだ、返せえええ!」
「返してもやってもいいぜ。今なら確かにくっつくだろうしな」
目の前に下ろして振ってやると、催眠術師の五円玉を食い入るように見るカモみたいに、元は自分の一部だったその肉片から目が離せなくなる。
「欲しいか? 欲しかったらあたしとまりあから手を引きな。久住をけしかけるのもナシだ。一筆書いてもらおうか」
吉元がいつも持ってる手帳のページを破って、一札入れさせた。血判を押させる。
まだ何かやることがあったよーな……あたしはそこらを見回して、秀人が転がっているのを見つけた。顔面粉砕の刑だったな。あたしは秀人の顔を踏みつけ、秀人の自慢のメンは肉塊に変わった。ひいと息を呑んだ吉元は、熱病にかかったように震え出した。
吉元に言ってオーナーを呼び出させると、ややあってやってきたオーナーは、惨状を見るなり悲鳴を上げた。
「なによこれ、あんたたちやったの? 出入り禁止にするわよ! うち、やってけないじゃないの」
「吉元が潰させやしないさ。なあ、そうだろう? 吉元」
吉元は金切り声を上げて、何でもいいから医者を呼べ、と喚いた。この際だ、何でも言うこと聞いてやる、何でも許す。
「だとさ。あんたもまだタマついてんだろ? 腹くくれよ」
「悪かったわねえ、まだ取ってなくてっ」
それからいくらも時間が経たないうちに、ヤバいこと専門の医者がやってくる。連れてきたのは久住だった。
「やんちゃが二人になりやがって」
久住はあたしとまりあを見比べて、苦い声を出した。違いねえ。あたしとまりあはお互いの顔を見て笑った。久住だけが苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
にぇむい……
高校の制服、肩掛けのスクールバック。翌朝、生あくびのあたしは、眠い目をこすりこすり、歩く。あれから何時に家、帰ったっけ。結構ハードな夜だったな。まあ、あんな夜ばっかしでも困るけど。
「ミーコ、まーた暴れたってえ? ろっくな死に方しねーよ、あんた」
「うっせーよ……にぇむい……」
やる気ゼロでほてほてと歩いていくと、あ、とダチの一人が、青と白に塗り分けられた小型のバスを指さした。
「松柏学院のスクールバスだ。こんなとこ走ってんの珍しーなー」
「また遠足にでも行くんじゃねーか? いーねー、リッチなガキは」
松柏学院? ガキ?
目を見開くあたしの前を、スクールバスは通り過ぎていく。窓際の席、青と白の制服をきちんと着て、優等生じみたまじめな顔を窓の外に向けている、日本人形のように端麗な少女も、なんだか眠たいらしく、生あくびをしていた。授業中に居眠りしてなきゃいいが、とあたしはいらん心配をした。
まりあ、
また遊ぼうぜ。
終
* スウゴイでしょぉ〜〜〜ッッ!! 人を楽しませる文章、エンタメってこう云うのなのッッ!!
と、カネガネってかサイト開く前、わたくしは さの様 の文章にうっかり出会ったが為、『うをぉおっ!』
っと、N体大4年レスリング部所属 童貞(三浪)、とかに成り下がる日々でしたが。
そんなわたくしの興奮が、皆様にも嫌ってほどに、わかって頂けた事と思います。 何しろ、テメェが
試みた事のない長編、大作、コレを太っ腹に二本も頂いてイイものなのか?いえ、良い訳があるまい
・・・と、ホラ、いかさま和訳文になるくらいに、わたくしは動揺しているのです。
して、もう一本がコレ、凄いんだようおう・・・・
鼻血吹かないようにねッ!! また遊んでくれヨッ!!(誰に言ってるの、アンタ・・・)
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