寂しい友人の正しい慰め方
                              
 〜 ウメキュ様に貢ぐ10000ヒットおめでとうギフト小説   〜





 寿命が近い蛍光灯の、いかにも目に悪そうな光が床に転がったビールの空き缶に反射して、チカチカ煩かった。

「しっかしなぁ……。一体何が悲しくて、いい歳こいた男二人が、週末に自宅で飲み会なんてやらなきゃなんねーんだ?」
 
もう何本目か判らないビールの缶を片手で潰しながら、オレの隣で同じく散々飲んでいるコウタロウに文句を付けた。

「何でって、そりゃお前が今夜の合コン断ったからだろ? 参加したかったなら一人でも行けば良かったのに。いまさらオレのせいにするなんて卑怯だぞ、ケンジ」
 
 コウタロウはそう言うと、ビールの缶を一気に煽った。
 おいおい、そんな飲み方して、大丈夫かよ……。
 からんと乾いた音を立てて、床の上に空き缶がもう一つ、仲間入りした。


 先週から誘われていたサークルの合コンに参加したくなかったと言えば、それは嘘になる。特に狙っていた娘さんがいたというわけではないが、元気で可愛らしい女の子と一緒に酒を飲める機会、あるいはその内の誰かと運良く合体できたかもしれないチャンスを自ら逃してしまった事に、オレは苛立ち、誰かに八つ当たりしたかったのだ。

 コウタロウ。オレが今夜の合コンに参加しなかった、最も大きな理由。

 オレの目で見れば、コウタロウは結構まともな奴だ。それなりに明るく爽やかな性格で、誰にでも好かれそうなのに、なぜか奴には友達がいない。不細工とはほど遠い、稀に見る整った容姿をしているのに、なぜか彼女がいない。そんなコウタロウを、こんなにも寒くて人肌恋しくなる夜に独りにしておくほど、オレは薄情な男ではなかった

 けれどもコウタロウはオレのビールが空になったからといって、笑顔でお酌してくれるわけでもなく、自分のビールが空になり次第、勝手に冷蔵庫へと足を運び、俺の分までついでにもう一つ持って来てくれるわけでもない。オレがこんなにコウタロウの孤独を心配して、合コンを蹴ってまで一緒に飲んでやっているというのに、奴の薄情さときたらそりゃもう上等クラスだ。


「オレが卑怯だってか? 誰のために断ったのか、お前、解ってて言ってんだろうな」

 言わなくてもいい事まで、つい口が勝手に喋ってしまうのは、アルコールのせいということにしておこう。

「あぁ、解ってるさ。お前の可愛いコウタロウのためだろ?」

 にやりと意味ありげな笑顔は、皮肉をたっぷりと含み、可愛いというよりはむしろ不気味といったほうがいい。

「お前の可愛いコウタロウのために、何かしてやりたいなぁって思わない?」

 きれいに整った顔がゆっくりと近づいてくる。ビールで濡れた唇が半開きで、それは明らかにキスを強請る表情。

 コウタロウよ、お前は酔っているのか?

 オレは完全に酔っぱらってるぞ。酔ってなければ、お前のその表情を色っぽいだなんて思えないだろう? だがな、男同士でキスなんてしても面白いことなんて何もないぞ。いくら彼女がいなくて寂しいからって、男のオレでは何もしてやれないぞ。

 一人ごちゃごちゃと考えている隙に、コウタロウの舌がオレの唇を掠めた。

「うっわ、お前、何やってんだよっ!」

 コウタロウの体を突き放そうとしたけれど、すっかり酔っ払ったオレの体は思うように動いてくれず、反対ににコウタロウに押し倒された。

 細いコウタロウの一体どこにオレを押し倒すだけの力があるというのか。奴に押し倒されたショックよりも、奴にそんな力があったという事のほうが余程ショックでならない。だがしかしオレも一応男だ。無抵抗はあまりにも情けなさ過ぎる。ここはしっかり奴の腹にでも蹴りを入れておいたほうがいいだろう。

 暴れるオレの肩をコウタロウは両手で押さえつけ、オレが必死で蹴りを入れようとする足を奴は自らの体重で制する。さっきオレの唇を掠めた奴の舌は、オレの左頬をぬめりと共に這っていた。

「オレのこと、慰めてくれるんじゃなかったのかよ?」

 真っ直ぐと見下ろしているコウタロウの目には、挑発的な野生の光を宿している。どう考えても大量のアルコールで酔っているようには見えなかった。いや、酔っているからこそ、オレを押し倒すなんて事ができるのだろう。

「慰めてやるのはいいけどよ、男相手に本気になったって、しょーがねぇだろ? 付いてるモンは同じだぞ?」
「同じじゃなきゃダメなんだよ、オレは」

 コウタロウはそう言ってオレの唇を塞いだ。熱を持った奴の舌がオレの口の中まで進入して、すっかり怖気づいて縮こまっているオレの舌に無理やり絡みつく。ねっとりとし舌はビールの味が染み込んでいるだけで、女とキスするのと大して変わりがなかったが、それを今コウタロウとやっているのだと改めて考えると、酔ってふわふわしていた頭が一気に冷えた。

 同じじゃなきゃダメって、コウタロウはホモだったのか? っつーか、オレ、今狙われてる?

 貞操の危機ってやつ?

「なぁ、お前さ……、オレのこと騙してたのか?」
「騙していたわけじゃないけど、気付かなかったケンジが悪い」
「言わなきゃわかんねぇだろうがっ!」
「もし言ってたら、お前だって離れていくだろう?」

 んな馬鹿な。オレはこう見えても友達は大切にするほうだ。ホモだろうが、オカマだろうが、そんな事は関係ない。

「言っとくが、オレはそんな薄情な男じゃない」
「そうなんだ? じゃ、いいじゃん。やろうぜ」

 女友達だったら酔った勢いで一夜の過ちなんて事もありえるが、男同士で、しかもオレが押し倒されるのはどうしても納得がいかない。でも何か大切な事を勘違いしているらしいコウタロウは、遠慮なしにオレの股間に手を伸ばしてきた。素早くジッパーを降ろし、トランクスの前開きから指を忍ばせて、オレのチンコに触れた。コウタロウの指はひんやりと冷たくて、酔って熱を持ったチンコが気持ちよかった。

 オレとした事が不覚だ。どれだけ酔っていても、どれだけ貞操の危機を感じていても、他人の手で触られるオレのチンコは正直だ。勃ってしまうものは仕方がない、生理現象というものだ。

「やる気あるみたいじゃん」

 オレの生理現象を面白がっているコウタロウは、調子に乗ってオレのチンコをやわやわと扱きながら、耳元、顎のライン、そして首筋へとぬめった舌を這わせる。下半身を直に刺激されながらの濡れた感触は思ったより不快感はなく、ひょっとして気持ちいいかも?などと思ってしまった。

 気持ちいいのは、いい。気持ちいい事をしてもらうのは大歓迎だ。だけど、いくら相手がコウタロウといっても、未開発の地に突っ込まれるのだけはご免だ。オレはそこまで許せるほど、奴を友達として愛していない。はっきり言って申し訳ないが。

 そうしているうちにもオレは上半身を裸に剥かれ、下半身はコウタロウの口の中にすっぽりと納まって、奴の舌がいい所に当たるたびに喘ぎにも似た、変な声が出てしまっていた。オレの正直なチンコ君は情けないことに、与えられている刺激に涎を流し、もっとくれ、と言わんばかりにびくびくと跳ねている。もっと抵抗しろよ、オレのチンコ。っつーか、もっと我慢しろ。

 このままコウタロウの絶妙なフェラテクで骨抜きにされ、何が何だか分からないうちにオレはケツ穴処女を失うのか。

 下半身に集まった快感で、アルコールで酔っているのとはまた違ったふわふわの頭で、オレはそんな事を考えていると、上半身にコウタロウの体温を感じた。一糸纏わぬ素っ裸で、その肌をオレの胸に擦り付けるように重ねていた。すっかり立ったお互いの乳首が触れ合い、オレの全身に鳥肌が立つ。

 こんな事でオレってば感じちゃってるよ、ヤバイよ、どうするよ……。あぁ、すげー気持ちいい、コウタロウ、そんなテクどこで覚えたんだ?

 そこら辺の女よりもずっと上手いしゃぶり方だ、マズイよ、もう出るよ……くぅっ…!

 耐え性のないオレの哀れなチンコは、コウタロウの口の中で思いっきり弾けた。びくん、びくんと精液を吐き出し、コウタロウの口に収まりきれなかったものが奴の唇の端から垂れ落ちる。出すものを出してすっきりしたオレの頭で考えても、それはいやらしい光景だった。

 コウタロウといえば何でもない涼しい顔をして、数回オレのチンコを扱き上げ、飲みきれなかった精液を指で掬い取っていた。

 あの精液まみれの指が、オレのケツに入ってくるのか? やっぱ嫌だよ、オレ。

「あ、あのさ。オレ、やっぱ怖いんだけど……」

 しっかりフェラで抜いてもらっておいて、今さらこんな事言ったって駄目だろうけど、今さら怖気づいてカッコ悪いけど、やはり突っ込まれるのは怖い。

「はぁ?」  

床に横たわったオレの身体を跨いだコウタロウが妙な顔をしてオレを見た。オレのチンコは扱かれたまま、精液とコウタロウの唾液で濡れてテカテカと光っている。

「怖いって、ケンジ。オレに突っ込まれるとでも思ってたのか?」

 途端に開ける救いの道。

「そんな勿体無い事するかよ、馬鹿」

 コウタロウはそう言って、精液の付いた指を自分のケツに突っ込んだ。片手はオレのチンコを扱き、もう片方はケツ穴を広げている。その両方から、くちくちといやらしい音が聞こえて、オレは今度こそ混乱の真っ只中に放り込まれたような気がした。

 それでも馬鹿なオレのチンコは、コウタロウの巧みな手業ですっかり精気を取り戻している。これではまるで節操無しだ。

「ちょっとキツイかもしんないけど、お前は痛くないから安心して突っ込め」

 こういうのを『男前』というのだろうか。

 ケツの穴にチンコを受け入れる事を恐れずに、オレに向かって堂々と安心しろと言えるコウタロウが、少しだけカッコ良く見える。オレの頭もイカレたもんだ。

 ゆっくりと腰を落としていくコウタロウの眉間に皺が寄っている。押し入るオレのチンコがでかくて、辛いのだろうか。それともチンコをケツ穴に入れる事自体が、そんなにも辛いことなのだろうか。そんなに辛い想いをしてまで、なぜチンコが欲しいのか、オレにはちっとも解らないし、解りたくもない。だがコウタロウが辛そうにしているのを見るのは嫌だった。せめてこのオレに何かしてやれる事はないのだろうか。

「お前、大丈夫なのか?」
「あ、平気、平気。そのうち良くなるから。お前こそ大丈夫か? きつ過ぎない?」

 あぁ、コウタロウよ。お前は人の心配などしている場合か。そんな事よりも、自分の心配しれよ。

 そう思っているうちにもオレのチンコはコウタロウのケツ穴に深く埋もれ、オレは奴の中で感じる熱さにくらくらしていた。だけど所詮そこは出るのみの場所、突っ込んでも女のアレほどの快感は得られない。しかしその考えはコウタロウが動きだした途端に、すっかり変わってしまった。

 きつく締め付けるコウタロウのケツ穴は、オレの吐き出した精液の滑りを借りてスムーズに出入りを始める。チンコが抜けそうなくらいぎりぎりまで腰を浮かせては、再びゆっくりと沈めていく。そのたびにコウタロウは苦痛とも快感とも取れる表情で、オレを真っ直ぐ見下ろす。コウタロウのチンコはオレの腹の上でゆらゆらと揺れ、割れ目からは透明の先走りが流れて亀頭を濡らしていた。コウタロウが感じているのを見るのが何となく嬉しくて、喘ぎ声なんか聞けないもんかと、下から突き上げてみた。

「んあぁっ!」

 どうやら奴の良い所を突いたらしい。同じ角度でそこばかりを何度も突き上げると、コウタロウは「もっと」と言わんばかりに腰を振り続ける。

 すごい淫らに動くコウタロウの身体。その肌から滴り流れる汗。オレのチンコを根元まで銜え込み、きゅうきゅう締め付ける奴のケツ穴。可愛い啼き声。良い所を突くたびにびくびくと震え、先走りが止めなく溢れる奴のチンコ。

 それらのどれもがオレの感覚をマックスに追い上げていった。

「……っ!」

 ふいにコウタロウの指がオレの乳首を捕らえ、びりっとした刺激が胸に走った。  痛いじゃねぇか、コウタロウ。そんなにきつく引っ掻くな。

 オレが声を上げたのをいい事に、奴はオレの乳首を千切れるかと思うほど強く摘み、時折爪できりきりと痛めつける。見上げたコウタロウの顔には勝利の笑顔が浮かんでいた。

「痛いのが気持ちいいんだ?」
「うるせぇよ。お前に言われたかねぇっつーの」
「ふぅん……。これでも?」

 コウタロウはそう言いながら、散々弄られて薄っすらと赤くなり始めた乳首を捻り上げた。

「ぅああっ!」

 その刺激に思わず声を上げる、情けないオレ。

 さらに情けないのは、その刺激に感じてしまうオレのチンコだ。張り詰めていたものが出口を求めて一段と激しく脈を打ち、それを感じ取ったコウタロウのケツ穴がオレの脈を包み込む。快感に絶え、奴を串刺しするように下から突き上げてやると、奴も限界が近いのか、自分のチンコを扱き始めた。もちろん、もう片方の手はオレの乳首をしっかり摘んだままで。

 乳首いてぇよ、コウタロウ。チンコ気持ちいいよ、コウタロウ。なぁ、このままイってもいいか?

「ケンジ、早くイっとけよ。こっちだってもう持たねぇ」

 コウタロウはチンコを扱く手を速め、そのたびにケツ穴をきゅうきゅう締めてオレを追い上げる。その勢いは精魂そっくり持って行かれるようで、実は少しだけ怖かったり。でもそんなちんけな恐怖よりも、コウタロウのケツ穴がオレのチンコに与える快感のほうが、断然上回っていた。せめて外出ししようと思っていたのに、オレは堪らずコウタロウのケツ穴奥深く、精液をぶちまけた。奴はオレの熱い飛沫を中で感じたのか、それを合図に手の中のチンコをびくびくさせて射精した。そしてコウタロウの精液はまっすぐオレの顔めがけて飛んできた。

 こってりと白く濁って生温かい液体は、オレの顔に見事着陸する。激しい運動後の開放感で頬が薄っすらと染まったコウタロウは、自分の精液で汚れたオレの顔を、勝利の笑顔でオレを見下ろした。

「ケンジ、いい顔してるじゃん。すっげぇエロい顔。オレ、惚れたかも」

 コウタロウは腰を浮かせてオレのチンコを抜く。すっかりオレのチンコの大きさに広がってしまっただろうコウタロウのケツ穴から、オレが放った精液が垂れ流れて腹の上にぽたぽた落ちた。奴は両膝でオレをしっかり押さえつけたまま、半分萎えかけたチンコをオレの口元に持ってきた。

「オレのチンコ舐めて、きれいにしてよ」

 コウタロウのチンコは、さっきの残りの精液が割れ目から垂れ流れて、半透明に濡れている。その言葉にオレは呆気に取られ、何も言えないでいると、奴は遠慮せずに濡れたチンコをオレの唇に押し付けた。

 本番前にコウタロウが一発抜いてくれたからなぁ。ここで嫌だなんて言ったら、男が廃るよなぁ。

 オレは何だか色々諦めて、コウタロウのチンコを口に含んだ。

 酒の勢いとは言え、一人ぼっちのコウタロウを慰めてやるのが友人であるオレの仕事。顔にぶっかけられても、チンコしゃぶらされても、オレのケツ穴さえ未開通なら、とりあえずはそれで良し。





         おわり

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    10000ヒット、おめでとうございます。
    ギフトリクエストお題『襲い受』、泣きそうになるほど難しくて、こんな訳わからんモノが
    できあがってしまいました。どうも申し訳ありません。ちなみに返品不可でございます。
    どうかご了承くださいませ〜。 これからも末永く、どうぞよろしくお願い致します。                  
                       〜佐伯





      * 何から何まで、2002のラストは佐伯様にオンブ抱っこのわたくし。 
          コウタロウの漢っぷりに惚れます。 
          ケンジの流されっぷりも相当にツボです。 有り難う!!