「ゴチャゴチャゆうとる場合やあれへん、要は、穴ちう感じやね?」


 「・・・・・・地下4階・・・・まだ潜るんかい?」


 「えええ、まるっきし、ぜんぜん平気やよ、ヘッチャラやて。  あんなキミ、ワシんことそないジジイ扱いしたらシャァ〜ワセな所帯に今後くらぁい影さすよ、ほんまやで」


 「ハハ冗談やて、ハハ・・・キミ真ッさおや。  ぁ、来たで、アレか? はよしぃやなァ、モギ君、キミちょぉノロマさんとちゃうん?」


 「ホ〜レ、座れんかった! 駅幾つや? 三つ? 三つか?  ハァ〜三つか、 ・・・・・・・還暦過ぎるとキッツイなァ、しんど」


 「・・ォッ!?・・・・・なんや、今バチッと暗なったな、あぁ? 次ン駅の手前? またバチいうんかい? 長い? そんなにか?  ほぉ〜そらえぇなァ、そんなん真っ暗やったらそらキミ、チュウでもこう、してまうやろなァ、ほぉぉ〜〜」


 「――― で、キミもアヤコとチュウしたんか?」


 「い・ち・お・う!! 一応てキミ、ナニ勿体つけとんねや、人ンちの娘公衆の面前で傷モンにしといてからに、 ぁ、 消えた」


 「・・・・・・なぁんも見えへん・・・・・なんも見えへんやんかなぁモギ君、キミ、ウッカリ屋さんやからほんまはアヤコやのォてそん隣の冴えないオッさんとチュウしたったんとちゃうの? ジョリいッたとか仁丹の香りがしたとかもっぺんじっくり思い出してみ?」


 「はは、イワユル記念日やな ・・・・・オッさんの挑戦や」


 「じょ、冗談やて! 冗談、ジョーク、そんなんムキにならんでも ・・・・言っときまっけどキミ、ゆぅもあワカラン男は嫌われるよ、」


 「お?   あと二つか? 早いな、案外楽勝やったな、おぉモギ君、そや、キミ切符どないしたん? ポッケにあるんか? え? 定期? あぁ定期、そうねソレはえぇねェ   要するにワシはキミも一家の主なんやから忘れもんには気ィつけんとあかんよォて忠告したったんよ、わかる? まァ生活の知恵ゆうかワシの人生経験からなんやけど・・・・」


    次は〜スズシロアリヅカ〜スズシロアリヅカ〜御出口右側になりますぅ〜


 「ククク・・・・けったいな駅や、」


    ドア閉まりまァ〜す


 「・・・・!?・・・・・・・」


 「あかん・・・・・ドアにジャンパー挟んでもうた・・・・  こないだアヤコが送ってくれてん 『タマゴ色、おとうちゃんジグロやからようウツるんとちゃう?』 てなァ、ワシこれ着るとなかなかにダンディやろ?」


 「・・・・まァええよ、えぇよ、かまへん、次でパン開いたらノープロブレムや」


 「で、キミ、アヤコとはどうなん? アッツアツやってん?」


 「ぁア? 早くもカカァ殿下で ・・・・ッてアホゥ当たり前やんか、そんでエェンや、まさかオマエ人ンちの娘、女中にしよう思てたんか? キミ何様のつもりや?」


 「ウンウン、わかればエェンよ、パパこれで心配性やから、つい心配のあまりガラ悪うなってしまうの、」


    次は〜ハコベラオオサキ〜 ゴギョウ線乗り換えのお客様は〜・・・・・


 「 お、今度こそ降りるんやな?」


    御出口左側開きまァ〜す、御足元お気をつけくださァ〜い


 「ま、ままま待てッ! 左か?左なんか? ・・・・・・こ、ココんとこの、ちょ・・・この裾ンとこのボコが・・・ちッ・・・こンパッキンとこにあぁ・・・」


    ハイ!ドア閉まりまァ〜す!


 「ま 待ていッッ、」


    シュッパァツ!  次は〜〜   


 「・・・・・・・セッカチな電車やな・・・・」


 「あああ ・・・・こォ言うンは不測の事態やし、一個戻るくらい屁でもないやろ?」


    次は〜アカボシィ〜〜アカボシィ〜。  御出口左側になりますぅ〜


 「・・・・・・」


    アカボシより先ィ〜アカボシイワナカまで電車は停車致しません〜〜


 「・・・モギ君、アカボシイワナカ言うンは、遠いんか?」


 「・・・せやキミ、ちーとばかし頼まれたってな? キミを息子と見込んでのギリチチ命令や、そこ、そこの赤いレバーあるやんか、それをギュッ引っ張ったって、せぇの、」




 「ボケェ・・・カスゥ・・・・・・・・何のための緊急時や、ワシ今まさに緊急時やんけ。 キミもアレや、案外小さい男やね・・・・・」


 「断言する! 君は近い将来アヤコに捨てられる! ―― ワタシ小さい人なんや好かんわ、ホナナ〜 ―― 言われてポイやで?ポイ! そん時になって 『おとうさんボク、アホでした、ごっつ気ィきかんスモールマンで したすンません』 ゆってベソベソしてもう無駄やからな、もぉ遅いわ」


 「ァあ? ナニ自信たっぷりに、 さぁ〜わからんよ、女はそぉいう決断すんの滅茶苦茶素早いんよ、ワシ経験者やからムッチャわかるわ」


 「も、ジャカシわッ! ボク今な、人生にこゆぅいブルー入ってん、しやからキミ、ちょぉ黙っといたって」


 「・・・・・・サイテェや、地下鉄サイテェ、ほんで神さんはごっつイケズや、たまッたま一人娘に会いに、たまッたま東京に出てきただけのワシやのに、あぁぁ、なんでやろなぁ、何でワシ、こないな酷い目に、 」


 「・・・・キミね、何で今日はタクシー使こぉてくれへんかったのやろ、おかげでワシどうや? イズコとも知れんアカボシうんちゃらまでアホ電車と一心同体や・・・・・、」


 「なァ、なんか間違ごうてんとちゃう? ワシ真面目なラーメン屋やのに嫁はイキナリ イルカを助ける とか言うてどっかワカラン奴らと出てってまうし、シャァないからヨチヨチの娘おぶって健気に頑張って来たそン大事な娘を、ポッと出のサラリーマンなんぞにアッちゅう間にパチられてまうし ・・・・・・クソォッ! 何でおまえラーメン屋継がんのじゃ? 背広が好きか? ラーメン嫌か? 蕎麦がえぇんか?」 


 「シッ! 黙れ!図星やろ? あぁぁ最初から変や変やと思おてたんや、キミ、シナチク喰えんのやろ? なァ、キミいつも上手にシナチク選り分けて喰ってるやんか、な? ドアホッッ! シナチク喰えへん癖に「ボクラーメン大好きです」いうなッ!!ワシの店にケチつけるんかッ?! タダじゃおかんど!」」


 「・・・・え? ・・・あぁカンニンなァ、オバちゃんら吃驚したッたん? いやぁ〜あんな、ワシ、営業の癖に気ィ利かない婿にゲンクソ悪い地下鉄なんか乗せられてなァ、コレ、コレや、オバちゃんどこまで行くン? アカボシチュウオウ? ヘェェ遠いンか? 孫に会いに行くんか? はぁ〜ソラ楽しみやなァ、はははは・・・・   なんや? 停まったやんけ、」


    時間調節の為、電車暫く停まりまァ〜す
 

 「したらドア開けッちゅうねん!    で、」


    只今から左右ドア〜一度開閉致します〜ドア付近に御立ちの御客様ぁ〜御注意くださ〜い


 「?!    抜けたッ!!」



 「わ、黒ッ」







      :: おわり ::



         百のお題  038 地下鉄


  * 突込み所満載。       だって、わたくし関東から出た事ナイも〜ん。

関西弁表記について不審な点を感じた方はどうぞ、正しい表記をわたくしに告って下さいませ。 直ちに修正いたします。