ボビンの舌がソレを押しやって、甘ったるいメントールが鼻にすゥとキタ。

『噛んでみ、紀州梅入ってる。』

噛んじゃイカンだろうと思う。 それに梅ってナニ? 梅って、

『なんか美味いんだよ、ソレ、』

けど、噛んだらノド飴ッちゅう意味、ねぇだろうよ。 ボビン。

『オレ、別にのど痛くねぇもん。』

はぁ、そうですか。 嗜好品ッてヤツね、一種の。

『シコオ? 歯ァ磨けよ、タマにはよ、』

ダァッ、ソッチんじゃねぇよ、し・こ・う・ なんてかな、あぁ、モハヤ趣味ッつう好きなモンだよ。 毎ンちでも、しょっちゅうでもイイ見たいな、そういうもんだ、嗜好

『オレとヤんのとか、嗜好か?』

ま・・・・・・だな。

『あぁ〜ン してみ?』

ん?

『あ、そろそろ梅だ、』

え?


そして、ボビンの舌は再び進入し、オレの舌はやんわりと除けられる。
もうすぐ梅味のノド飴は、メントールのみを残し、再び持ち主へと還った。





      :: おわり ::



         百のお題  025 のどあめ