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※メモリアルブック本文の引用もしているので、未読の方はご注意を。

■TV版サルトビと『騎士』について■

 キャラの設定画での細かな指定とか、字書きの人間にも参考になる情報がたくさん載っているありがたい資料『メモリアルブック』。
 その中で、個人的に一番衝撃を受けたのはTV版サルトビの紹介ページの以下の記述でした。

(P52より引用)
 「黒いリューナイト(シュテル)」によって炎に包まれたサルトビの村。ガルデンの目的は騎士としての腕を磨くためである。アデューとの対立も、アデューが「騎士」であることに心のどこかで抵抗があったのかもしれない。(後略)

 本当に目から鱗でした。
 ガルデンの戦いぶりは「魔法剣士」という感じですし、12話でアデューにも「お前なんか騎士じゃない」とキッパリ言い切られていたので、自分の中では「ガルデン=騎士」という印象が薄くなっていました。
 そうだよね、ガルデンとシュテルの外見はどう見ても「騎士」だよね。同じ「騎士」のリューの乗り手で、騎士道大原則を連呼しているアデューには不信感を持っちゃうよね。
 ……私は今までサルトビの何を見ていたんだろう。

 今まで、サルトビがアデューに何かと突っかかっていたのは単純に「底抜けに明るく真っ直ぐなアデューは忍者の価値観からすると気に障る」からだと思っていましたが、潜在的に騎士への不信感があったとなると、最初の溝は予想以上に深かったんだなぁ。
 そこから、口喧嘩しつつ旅を続ける中で「アデューの正義感は本物で、仇敵とは違う存在である」と徐々に認めていったんだと思うと、素直じゃないサルトビの心境変化のタイミングがどの辺りだったのか本編をじっくり見返したくなります。
 アデューがガルデンと直接戦うことで「違う」存在であると示すのは12話ですが、それより前の10話の地下宮殿の戦いでサルトビはアデューと抜群のコンビネーションを見せているので、この時点ですでに不信感は薄れつつある?

 まとめ。
 十数年間サルトビのファンでいながら、彼のトラウマが「騎士」という存在自体に不信感を持つほど根深いものであると、今の今まで気付かなかった自分が腹立たしい。
 そのトラウマを乗り越えてアデューと「喧嘩するほど仲がいい」関係になれたのは、アデューが「音速バカ」だったのが良い方向に働いたのかなと思う。
 アデューが音速バカで本当に良かった! ……なんという酷いまとめ。


おまけ.TV版サルトビと「姫」
 さっき引用した文章にはまだ続きがありました。

(同じくP52より引用)
 パッフィーたちと行動していたのも、各地を回ることでガルデンに辿り着こうとしていたのだ。

 ガルデンを追って各地を回っていたところで、見聞を広めるために旅をしているパッフィーと出会い、行動を共にするようになった。
 これは、アニメ本編を見ただけでも十分に視聴者に伝わってくる情報です。知り合ったきっかけも「賞金首のソリッド乗り集団が暴れているところに偶然居合わせて共闘したのかな?」なんて予想できますよね。その後、1話〜2話の冒頭のように、パッフィーの方から同行を申し出た、と。

 そこで疑問が。
 「同じリュー使いで各地を回っている者同士」というだけでサルトビはパッフィー達との同行を決めるでしょうか?
 今までは「サルトビはなんだかんだでお人好しだから」という理由で納得していたんですが、「騎士への不信感」を踏まえてもう少し考えてみます。

 パッフィーが「姫」だと知って、魔法国家の情報力でガルデンに辿り着こうとした?
 ノー。サルトビは12話までパッフィー達にガルデンとの因縁を話していません。黒い騎士のリューについて探りを入れることすらしていなかったようです(そういう経緯があれば、「前にサルトビが言っていた…」的な反応を見せたはず)。

 何故、尋ねなかったのか?
 ……パッフィーが「姫」だからなのかなぁ。「騎士」は高貴な身分の方々に仕える存在ですし。

 「姫」に不信感があって、情報収集も目的ではないのなら、どうして同行したのか?
 パッフィーが「魔法を使うリューの乗り手」だから……? シュテルは忍の里を襲う際に魔法攻撃を使用していた様子があります。魔法使いのリューの戦いぶりを間近で見ることで、対策を考えたかったのではないかな、と。
 単なる親切心での同行でないとすると、この理由が一番説得力があるかなと思います。

 まあ、そんな深い理由はなくて、「騎士」と同じく「姫」という肩書きには不信感があったのに、可愛い女の子に誘われてついうっかり同行をOKしちゃったサルトビ……というのも萌えますが。



おまけのおまけ.コミック版サルトビと「ヤリ使いのリュー」
 コミック版は、サルトビ本人はシュテルと遭遇していないんですよね。
 ボロボロの爆烈丸でパッフィーを助け出したサルトビが、アデューに「父がこときれる寸前ヤリ使いのリューと言い残した」と説明しています(このコマ、雑誌掲載時はガルデンに向けて発せられた言葉で、父上はなぶり殺しにされたというような内容だった記憶があるんですが、どうして修正されちゃったんでしょう)。
 そのため、武器がヤリと言うだけで月心の疾風丸に襲い掛かって見事に返り討ちに。

 結論。
 遺言はちゃんと残そう。(※)
 多分、「ヤリ使いのリュー……黒い騎士の…」と言おうとして途中で事切れてしまわれたのでしょうが……。

※今川泰宏監督のアニメでは、これを守らなかったばっかりに悲劇の連鎖が起こるのがお約束。

 (2010/8/4 up)
 (2017/10/9 改題&ちょこっと加筆修正)

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