■アレなログ<1> SS習作系 |
「こんな冒険は嫌だ 〜ご都合主義編〜」 「こんな冒険は嫌だ 〜ちょっとだけリアリティ追求編〜」 「赤い三日月・3」(ボツ稿) |
「こんな冒険は嫌だ 〜ご都合主義編〜」 [TV版(ハグハグ合流直後?)。アデュー視点] 状況説明。古井戸に落ちたら、そこがダンジョンの入り口だった。 「ラッキー! ……って素直に喜べないなぁ。いくらなんでも都合よすぎないか?」 「大人の事情だ。そこは流せ」 いつの間にか降りて来ているサルトビ。 普段のこいつなら、上から冷たい言葉を投げかけるかロープを垂らすだけなのに。これも大人の事情ってやつ? 「アデュー! サルトビ! 怪我はないですか?」 上からパッフィーの声が降って来る。ここからだとよく見えないけど、イズミが後ろで身体を支えているみたいだ。 さすがに、身を乗り出しすぎて落っこちて全員集合ってなことにはならないらしい。パッフィーだけなら俺とサルトビで受け止められるけど、オッサンが降ってきたら潰されるし。 「大丈夫だよ〜! パッフィー!」 本当はまだ尻がジンジン痛いんだけど、元気良く手を振って見せた。騎士は弱音を吐かないんだ。 「この手の入り口は、底にトラップが仕込んであるのが常套手段なんだがな」 サルトビが爪先でトントンと地面をつついた。 「これも神の思し召しであろう」 そっかー、神の思し召しなら仕方ないな……って、やっぱり無理があるって! 今回はなんか変だ。 いきなり井戸の中から始まったのも、サルトビが妙にさめてるのも、上にいるイズミがサルトビのほとんど独り言みたいな呟きを聞き逃さなかったのも。 「諦めろ」 やっぱりテンション低いぞ、おい。 しかも今、オレの心の声に返事しなかったか? 「よし、俺達だけで先に進むぞ」 「都合の悪いときだけ流すなあああ! さっきは絶対に聞こえてただろ!?」 短い沈黙。 「……おまえはなにをいっているんだ」 「……アデュー、すこしつかれているのではありませんか?」 「……おちたときに、あたまをぶつけたのかもしれんな」 「……ハングゥ〜」 目を合わせてくれない仲間たちの白々しい言葉に、俺は一言しかツッコめなかった。 「居たのか、ハグハグ」 「ハグハグハ〜!」 ずっと居たハグ! 身振り手振りが見えなくてもなんとなく言いたいことがわかったのは、やっぱり大人の事情なんだろうな。 (2009/12/10 up) キャラ一人称での地の文の練習。 冒険者をダンジョンへと誘う導入部は重要だね、という話。 地の文でのツッコミはもう少し減らした方がアデューらしさが出ますかねぇ(思ったことは口に出すタイプですし)。 |
「こんな冒険は嫌だ 〜ちょっとだけリアリティ追求編〜」 [↑の続き] 「よし、俺達だけで先に進むぞ」 「そんな……! わたくし達もそちらに参りますわ。 イズミ、縄梯子を用意してください」 「パッフィー様、危険です!」 「ハングハグハグ〜!!」 「いや、ギャロップやワゴンを放っておくわけにもいかねぇだろ。 俺とこの五月蝿い馬鹿で探索するから、姫さんはおっさんと待機していてくれ」 「サルトビが仕切ってるのがなんか気に入らないけど、女の子を危険な目にあわせるわけにはいかないな。 騎士道大原則ひとーつ! 騎士は女子供を守らねばならない!」 (また始まったか) (また始まりましたな) (ふふ、アデューったら) (ハグ〜) 「二人とも、くれぐれも気をつけてくださいね」 「心配無用! どんな敵にも遅れはとらないぜ!」 「わかったわかった。一人で突っ込んで勝手に自滅するのは結構だが、トラップの連鎖に俺を巻き込むなよ」 「姫、我々は一旦町まで戻りましょう。 こんな場所に地下遺跡があるなどと町長殿は仰られていませんでしたからな。もう一度話を聞いてみなくては」 「そうですわね。わたくし達にできることをいたしましょう」 「うんうん、難しい話はそっちで頼むよ」 「おっさん、面倒だろうが俺達のギャロップも一緒に連れて帰っといてくれ」 「ああ、了解した」 「わかりましたわ」 「ハグハグハグ〜!」 「なあ、サルトビ」 「なんだ?」 「思ったんだけど、パッフィーとイズミの二人で、どうやってワゴンとギャロップ二頭を連れて帰ったんだ?」 「……姫さんはギャロップには乗れねぇはずだから、ワゴンを動かすだろ」 「うんうん。で、ギャロップは?」 「姫さんがワゴンなんだから、残りがどうにかしたんだろう」 「残りって……、イズミと……ハグハグぅ!?」 「俺が頼んだときに返事してたじゃねぇか」 「たしかに、任せろ!って感じでハグハグハグ〜!とか言ってたけど……」 「……」 「……」 「……なあ」 「なんだ?」 「もう、ふた…三人とも帰っちゃったよな」 「日暮れまでに町に着きたいと言ってたからな」 「帰るとこ、見たかったなあ」 「……ああ」 (2009/12/17 up) 3人以上の会話だけでの進行の練習。 ワゴンやギャロップを連れていると、事前準備なしでダンジョンに突入するのは色々面倒だよね、という話。 アデューが気付くのがもう少し早くて、慌てて井戸から上がっていたら……、そこには見事な手綱捌きでギャロップを乗りこなすハグハグの姿が! 相変わらず文章がぎこちない感じですが、会話に騎士道大原則を盛り込めて少し満足。 |
[続き物のボツ稿] 『赤い三日月』 3.濃緑の魔窟 その集落の歴史は、そのまま獣との戦いの歴史だった。 隣国との戦に備えて資源を得るための採掘場――を作るための作業場。そこに集められた人夫は模範囚や被差別階級の異民族たちで構成されていた。 彼らに最初に与えられた仕事は森を伐り開くことだった。逃亡を妨げるために動きづらい枷を付けられ、反乱を防ぐために扱いづらい農具しか与えられず、それでいて可及的速やかに作業を進めよと言う。堅強な砦の中で児戯のような軍事訓練しかしてこなかった上官にまともな陣頭指揮など出せるはずもない。 そのような劣悪な環境でも不平不満を言う者は一人も居なかったという。戦場に借り出されて捨石にされるよりは生きる芽があると、彼らはよく知っていたのだ。 酔ったはずみで同僚を殴り殺したという若い囚人は代々木こりの家系であった。彼は資材に適した樹木の選出と、倒木の方向を計算した人員の配置に大きな力を発揮した。 遠い異国から連れて来られた哀れな者たちは野生動物の習性を熟知していた。彼らは先行して獣道を探り、その行動範囲を調べ上げた。 政治犯として収監されていた壮年の男は高度な教育を受けていた。彼は数少ない読み書きの出来る者たちと協力し、個々が持つ優れた知識を共有する為に全力を尽くした。 そうして、人夫たちは少しずつ獣の領域を押し出し、安全に作業できる場所を広げていった。 (2010/8/25 up) ボツにした理由は単純明快。 「オ リ ジ ナ ル で や れ」。 |