〜 どこにいても、見つけてやるから安心しな 〜
雲ひとつない晴れ上がった空を見上げて、静かに目を閉じた。
万感の想いが胸を駆け抜ける。
遠い日に失ったあの笑顔も、今となっては美しい思い出の一つとなった。
「お疲れですか?」
柔らかい声にゆっくりと目を開け振り返る。
たった今、祝言を挙げたばかりのの瞳が心配そうに見つめていた。
「いや。私より、お前の方が心配だ。
慣れぬ衣装で疲れてはいないか?」
「私は、ぜんぜん大丈夫。 体力には自信があるから」
そう言って、小さくガッツポーズをとるに口元が緩む。
「元気な体でこちら(尸魂界)に来られて良かった ・・・」
「もしかして、私の前世を知ってるとか?
あっ、もしかしたら、恋人同士だったとか?
って、そんな事ないか、その頃は、私、人間だものね」
屈託なく微笑むに、優しく微笑に返した。
それは、妻を亡くしルキアを引き取ってから暫くしての事。
現世の任務で、私は、運命的な出会いをした。
人と死神
決して結ばれる事のないその女性こそ、今日、晴れて妻となっただった。
強力な霊感を持つは、百年に一度の『いたこ』と言われていた。
その力故に、私と見える事が出来た。
しかし、命の灯が早く燃え尽きるのも、その為で。
皮肉なものだと嘆くに、私は誓った。
必ず見つけ出すと。
「そうだとしても、こうして白哉と巡り会えた事は、奇跡だよね。
私は、白哉の事とか、全部忘れちゃってるから、私は探せないもの」
魂魄となると記憶の全ては消え、死神に導かれて流魂街へとたどり着く。
兄弟でも出逢うなどまれな事だ。
「奇跡ではないよ。 これが、私とお前の運命なんだよ」
「運命?」
頬に触れた白哉の指がとても温かく優しかったから、はその温もりに全てを委ねてそっと瞳を閉じた。
「もしも、二人別つ時が来ても、私は、何度でも、必ずお前を見つけ出す」
ゆっくりと唇を近づけながら囁いた。
「どこにいても、見つけてやるから安心しろ」
触れるだけなのに、暫し離れることのない唇が漸く解放された時、の頬に一筋の涙が零れていた。
「・・・・ ? 」
照れた微笑を浮かべながら、白哉をみつめる。
「どうしてだろう ・・・・。
私、その言葉、聞いたことがある気がする。
とっても、懐かしくて、嬉しくて ・・・・・。
そう思ったら、涙が出ちゃった ・・・・・。
ごめんね、驚かしちゃって ?! ・・・・・・」
「 ・・・・・・」
言葉の途中で力一杯抱きしめられた。
最初は驚いたも、その細い腕で同じように白哉を抱きしめた。
「もう、一人ではないのだな、私は ・・・・。
・・・・・ 愛している。
前世(かこ)も未来も ・・・・ お前の全てを ・・・・」
「うん ・・・ 一人じゃないよ。一緒に居るよ、これからずっと ・・・・。
でも、もしも ・・・・・ もしも、また、はぐれちゃったら、見つけてね、必ず ・・・・・・」
どこにいてもの言葉は、再び重ねられた白哉の唇で途切れていった。
お題素材サイト様:宵闇図書館
2007/11/28
四周年企画 リクエスト夢
七見 結祈様に捧げます。
リクエスト、ありがとうございました。
*現世での記憶を失くすというのは、映画からの引用です。