喧嘩



長戸の左の頬が真っ赤になっているのはもう慣れた




「またか」

「そんな言い方は無いですよぉ〜…」




長戸の頬がそうなっている時は桃坂と喧嘩した時だけだ。
喧嘩といっても長戸が他の女子に声をかけ
運悪くそれが桃坂に見られてしまった…等の一方的な喧嘩であるが





「ちょっとぐらい他の子と話すだけでもいいじゃないですか…」

「お前の軽さは酷いものがあるぞ」

「!!そ、そんな…」




一宮にぴしゃりと言われ落胆しても
大体次の日にはどちらかが謝ってそれで終わる
それでも長戸が懲りた事は無い

「喧嘩するほど仲がいい」とは長戸と桃坂の為にあるのかと
一宮は毎回思ってしまう





「…先輩は」


「?」






「かの子とは喧嘩しないんですか?」

「んなっ!!!」



そう言われて思いっきり動揺する
まさかここで自分の恋人の名前が出てくるとは思わなかった




「どぉなんですかぁ〜〜?」

「う、うるさい!!!///」



普段はお堅い一宮だが恋の話となると
名前を出されただけで恥かしくなってしまうほど純情である




「そうですよねぇ〜かの子は真面目で大人しくて優しいですからねぇ〜〜…はぁ〜〜〜〜……」




羨ましいと解りやすいほど遠まわしに喋った後は盛大の溜息
ここまで羨ましいと思われてると優越感を感じてしまう




「だったら桃坂に迷惑をかけない事だな」

「いや、解ってるんですけど…」






喧嘩が日常の2人
見守ってみようと面白半分に思った一宮だった




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