君は自分だけのもの。



薄暗い僕の部屋に、どちらのものか判らない…獣のような息遣いだけが木霊する。

―――…声も無く、虚ろな視線。

額から落ちた雫が君の頬を濡らすのに、反応を示さない君。

僕が君のあちこちに咲かせた紅い華はとても綺麗で。

憔悴したように眠る、青い顔の君とのコントラストは震えるくらい美しい―――…。



―――…こんなに愛を伝えているのに。

―――…こんなにもまだ欲しているのに。



押さえる事なんて出来なかった―――…。



夢の中での君は、嫌がりながらも従順だった。

最後にはちゃんとその腕を、僕の首に絡めてくれた。



嫌がる君を無理やり抱くつもりは無かった。
君を泣かせるつもりなんか無かった。
余裕なんてどこにも無かった。



ただ、欲しくて欲しくて欲しくて…っ!!



―――…君の笑顔が見たいだけだった。

全身からこの愛を伝えたいだけだった―――…。



―――…君は自分だけのもの。



あの人なんかより、幸せにしてあげるから。


もう君を離さないよ。


いっぱい、いっぱい、愛してあげるからね。




―――…幸せになろうね…啓太。




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