どうして堕ちないの? あんなにたくさん、本を読んであげたじゃない。 あんなにたくさん、色々教えてあげたじゃない。 あんなにたくさん、可愛がってあげたじゃない。 なのに、どうして簡単に忘れてしまったの? なのに、どうして思い出せなかったの? こんなにたくさん、優しくしているじゃない。 こんなにたくさん、愛しているじゃない。 こんなにたくさん、見つめているじゃない。 なのに、どうして俺じゃないの? なのに、どうしてアイツなの? こんなにたくさん、想っているのに。 こんなにたくさん、抱いてあげているのに。 こんなにたくさん、傷つけてあげたのに。 なのに、どうして泣かないの? なのに、どうして堕ちないの? どうしたら俺だけを見つめてくれる? どうしたら俺だけに微笑んでくれる? ―――…ねえ、教えて? ―――…俺の可愛い啓太。 |