「で、何処でこんな怪我したんだ?」



いつもは死んでいる目が鋭くなって私を睨む。

その睨みに耐えられなくて目をそらすと、溜息が聞こえた。


誤算だった。

銀八先生が保健室にいたことに。

サボる時は屋上にいるからいないと思ったのに、今日に限って保健室に居た。



「なぁ、黙ってちゃ分かんねぇだろ」

「・・・・・・・・・・・」





頬をつかまれて、先生に向けられる。

さっきとは打って変わって、悲しそうな目をしていた。



「大丈夫だよ、先生。ちょっと階段でこけただけだから・・・・」



上手く笑えただろうか、もしかしたら笑えてなかったかもしれない。それ以前に、こんな見え透いた嘘ばれたかも知れない。

そっと顔を伺うと、先生は私をきつく抱きしめた。



「・・・・・せ、んせ」

「何があったか聞かれたくねぇんならそれでもいい。だけど無理して笑うな」



頬に何かが伝う。

それはとめどなく流れてきて、止めたくても止められなかった。

先生は、ただ私を抱きしめる。



「それでいい、泣きたいときは泣け。気が済むまで居てやっから」








守られていること



(初めて、気が付いた)




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