上が下を守るのは当然!




俺は4人兄弟の一番上・・


だから、下の弟や妹達を守るのは当然だった・・


それは高校生になった今も変わらない・・


けど、1つ下の弟・・


"一護"はそれが不満みたいだった・・




「一護!!お弁当忘れてるよ!!」

「うるせぇ!!」




1つ下の中学生である弟は最近反抗期らしい・・


少し前まではちゃんと素直にお弁当を持って行ったのに・・


最近はお弁当を差し出せば「いらない」とばかり言い・・


少ししつこく言えば声を荒げて暴言を吐く・・


それの繰り返しばかりだ・・




「ったく・・俺・・何か悪い事したかな・・・」




前にも同じような事があった気がするが・・


今回は流石に一護だって、子供じゃないし・・


ありえないと思う・・


だって、年齢が上がり進学して学校が変わっただけで機嫌が悪く
なったって、言うのは小学校っきりにしてほしいし・・


やっぱり、心当たりはない・・




「まさか、本当に学校が別になった事で怒ってるのか・・?」

「な訳ないじゃん・・」

「・・・・・・・・・・それはないと思うけどな・・」




ボソリと呟けば下の妹達が的確なツッコミを入れてくれる・・


じゃぁ、なにが原因なのだろうか・・・?




兄・・それ本当に言ってるの?」

「?・・・あぁ・・そうだけど・・・」

「・・・・・・一兄が可哀想だよ・・」




そう言って溜息を吐いた妹に首をかしげる・・




兄・・去年の秋の事忘れたの?」

「去年の秋・・・?」




去年の秋・・


それはちょうど一護が反抗期に突入した時期であり・・


俺自身も高校受験で忙しくなっていた時期だ・・・




「去年の秋かぁ・・・なんかあったけ・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」



妹達は顔を見合わせ、あからさまな溜息を吐く・・


俺はそんな2人を視界に入れながらもボォッと考え込んでいた・・




「去年の秋・・・俺が折角受かった有名私立の入学を蹴ったくらいし
か・・」

「「それだよ、兄」」




ボンヤリと言った原因らしき出来事に声をそろえて、肯定する妹達・・


俺が私立入学を蹴ったぐらいで一護は何を怒っているんだか・・


そういえば、俺が私立入学を蹴った原因って何だっけ・・?




「そこの高校の教師に一兄を貶されて、兄キレてさ」

「その先生を殴ったんだよ・・」

「「兄、覚えてないの?」」




いつの間にか声に出ていた考えは見事に妹達の手で解決する・・

もしかして、一護はそんな事で怒っていたのか・・?




「そりゃ・・自分のせいで兄の夢を壊してしまったって、一兄
は思ってるみたいだし・・」

「責任・・かんじてるんだよ、きっと・・」




妹達は声を揃え、俺を見る・・


俺に至ってはやっと一護の反抗期の理由がわかり、一安心・・


そして、クツクツと笑いがこみ上げてきた・・・




「アハハハハッ・・あいつ、馬鹿だな・・・自分のせいで俺が私立入学蹴った
って思ってるのか・・」

「「兄・・・?」」




突然、笑い出した俺に顔を見合わせて首をかしげる妹達・・


本当にあいつは馬鹿だと思う・・


俺は最初からあの私立高校に入る気はなかった・・


少し自分を試してみたかっただけで入試を受けた・・


ただ、それだけ・・


元々、俺は今通ってる高校に入るつもりだった・・


きっと、一護も入学してくるだろうから・・


今は一護や妹達を守るために俺は生きているんだ・・


だから、あいつを守るためなら他はどうでもいい・・


勿論、自分のことだって・・


それが俺にとっては"当然"なんだ・・


"上"の兄貴である俺が"下"である一護や妹達を守るのは・・


俺にとっては確かな日常で"当然"なんだ・・


だから・・


お前が気に病む必要なんてないんだ・・


お前を守るためなら俺は何だってする・・


それが"当然"なんだから・・






END




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