手と手を取り合って。




図書館で本に手を伸ばした、その指先が触れ合って。

「ぐーぜんだね」

ってニコリと笑ってくれたのが、丁度今頃の季節。


祭りの人波に、

「はぐれちゃアブナイでショ?」

ってすらりと差し出してくれた手を、初めて握った真夏の夜。


おはぎを作った私の指についたあんこ。

「おいしーね」

なんてぺろりと舐めていたずらっ子みたいに笑った、秋のお彼岸。


ちょっとの誤解と少しの行き違い。

「お願い離して」

って言う私の手を、それでも黙って離さずにいてくれた貴方の手の暖かさに泣いた、冬の雪。


掌をしっかりと握りなおしたら、

「俺はまだここにいるデショ?」

って少し切なそうに笑ったのは桜が舞い散る墓碑の前。




――――そして、一年。




今この身を包む白いシーツの代わりに、明日私は同じ色のドレスを身に纏う。

は何着ても似合うからねェ」

なんて。鼻の下、伸びてるよカカシ。
クスクス笑いあって、どちらともなく手と手を繋いで素肌を擦り合わせた。

この先、どれだけ離れても、
この手と手を、取り合って。

愛する、貴方と。




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