「おや、。何をしているのです?」
「あ、骸さん!」



日曜日、台所で忙しそうに動いているを見て、骸が声を掛ける。
その瞬間、の顔が明るくなる。
彼女の手には、オーブンシートが。



「今、クッキー作ってるんです」
「クッキー、ですか……」
「えぇ。あ、さっき焼けたの在りますけど、食べます?」
「良いんですか?」
「その為に焼いたんですからっ!」



はテーブルに置いてある皿を指差す。
中には十枚程のクッキーが入っていて。
骸は丁寧に一枚取ると、口の中に入れる。
ゆっくりと口を動かして、味わっていく。



「味、どうですか?」
「‥‥‥えぇ、とても美味しいですよ」
「本当ですか!?また焼くので、全部食べても良いですよっ!!」



は笑顔でそう言うと、二回目クッキー焼きの準備を始めた。
骸はその姿を見て微笑んでから、クッキーをまた口の中に入れた。










手作りのお菓子を口に含む時の貴方の顔。




(其れだけが、私は見たかったんだ)




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