「‥‥、態々学校にクレープ持って来たの?」
「ふぇ?」



応接室で無心にクレープを食べるを見て、雲雀は思わず溜息。
彼女の甘いモノ好きは承知していたが、まさか学校に持って来て迄食べるとは思って無く。
因みに、中身は苺とカスタードと生クリーム。
見るからに甘ったるそうだ。



「本当に好きなんだね、其れ」
「はいっ!此処のクレープ、凄く美味しいんですよっ」



ニコニコとしながら食べ続ける
口の周りにベタベタとした生クリームが付いているのも気にせず。
雲雀はムスリと黙りながら今迄見ていたが、何を思ったのか突然立ち上がった。



「……恭弥、さん?」
、ちょっと動かないで」
「あっ、はい…」



何をするのかは判らない、という疑問を持ちながらも、は言われた通りにする。
雲雀は静かに近付くと、の顔に手を添えた。
ぺろり、とは頬に何かを感じた。
湿り気がある。



目の前には――――雲雀の顔。
しかも、ドアップだ。



「……っき、ききき恭弥さんっ!?」
「クリーム、沢山口の周りに付いてたよ」
「だ、だったら口で言って下さいよーーっ!」
「何で?」
「な、何で、って……」



恥ずかしいからに決まってるじゃないですか、とは顔を赤くして言うが、雲雀はしれっとした顔をして、言った。








肌についたクリームを嘗める行為。




(そんな事をさせる君が、いけないんだ)




■INDEX■