「あーーーー、あっちィーーーー!!」
「そうですね‥‥」



未だ五月なのに、夏の様な天気。
日本に来ていたディーノは、先程からに暑いと連呼していた。
ディーノはシャツ一枚なのに、はスーツをちゃんと着ていて。
其れだけで、ディーノはもっと暑く感じてしまう。
こんな日に、よく着ていられるものだ。



「暑いと咽渇くなー…」
「…あそこに売ってるみたいですね。少し待ってて下さい」



は前方にある自動販売機へと走り、何かを買ってディーノの所へと戻る。
彼女の手には、スポーツ飲料が。
プルタブを押し、缶を開けてからディーノに渡した。



「わりーな、
「いえ、別に。ボスの為ですから」



無表情なの顔を見て苦笑しながらも、ディーノはジュースを飲む。
咽にスッと通り、とても美味しい。
唯、直ぐにまた咽が乾いてしまうのだ。



「‥‥、お前は?」
「・・・・いえ、私は・・・・」
「流石にお前だって暑いだろ。ホラ、買って来いよ」
「・・・・・・・」



は無言で何かを考えた後、ディーノの持っていた缶を取る。
勢い良く二口三口飲んでから、ディーノに向かってニコリと笑った。



「飲みましたよ?」
「‥‥‥おま、其れ‥‥‥」
「何か不都合でも?」
「いや、えっと、その・・・・・」



何時も大人しく、消極的なの行動に、ディーノは口をパクパクさせて吃驚する。
今更間接キスがどーのこーのなど言わないが、最後の笑顔の意味が意味深なのだ。



「二つも買ったら勿体無いじゃないですか」
「‥‥そ、そんなんじゃ無くて!俺が前にふざけて飲みかけを飲ませようとしたら怒ったじゃねーか!」
「あんな人前でやられたら、誰だって嫌ですよ」



サラリと弁解するに、ディーノは溜息。
今日の彼女はサバサバしている。
はディーノに缶を渡すと、歩き始めた。
ディーノもその後を追う。



「‥‥人前じゃなきゃ、何やっても良いのかよ」
「私が嫌だと言わなければ」
「・・・・・・・今、キスしても良いのか?」



ニヤリと笑って、ディーノが言う。
流石に路地の真ん中でするとは思えない。
だが、やはりの方が上手だった。
ディーノの所迄行き、触れるだけのキスを、がしたのだ。



「これぐらいなら、幾らでもどうぞ」










間接キスだと分かっている缶ジュース。




(少しは積極的になってみる)




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