ゼロス・・・俺はお前が隣にいるだけで幸せだよ?

だから・・・だから。



其処にいる幸せ




「ハニー?朝だぜぇ〜?」

朝・・・か。雪のせいか、窓から差し込む朝日が眩しい。

「ん〜。ふぁぁあ。」

まだ眠い・・・。

「ロイド君は寝ぼすけだなぁ?みんなもう下で待ってるぜ?」

「へ!?ゴメン!」

俺はすぐに支度をして、ゼロスと一緒に部屋を出た。

実は、夜あんまり寝れなかったんだよな・・・。

「おっそいよロイド〜!」

ジーニアスが待ちくたびれたようにそう言った。

俺は両手を合わせて、

「本っ当にゴメン!」

と言った。するとゼロスが俺の頭の上に手を載せて、

「ロイド君は昨日寝れなかったんだと。ま、許してやれよ。」

と笑って言った。

何で知って・・・?同じ部屋だったから知っててもおかしくはないけど・・・。

「そうなの・・・?ロイドが眠れないなんて珍しいね。」

コレットが心配そうにそう言ってくれた。

「大丈夫だよ。それより、はやく食おうぜ!」

ゼロスと同じ部屋だったから、緊張して寝れなかっただなんて死んでも言えない。

全員でもぐもぐと朝食を食べた後、少々自由行動の時間があると伝えられた。

午後にフラノールをでるらしい。

部屋に戻った俺は、何もすることがなく、とても退屈だった。

「ロイドく〜ん。ちょっと、付き合ってくんね?」

ゼロスは窓の外を指さした。

「ん?別に良いけど。」

2人で先生に宿を出ることを告げてから外に出た。

着いたそこは――

――そこは、街全てが見渡せる場所だった。

「すっげぇ〜!!この街、結構広かったんだな。」

本当に綺麗で、感動した。

「ロイド君。俺様、ロイド君が好きだぜ?」

「・・・うん。俺も。」

何度も確認した互いの意思。

でも、やっぱりいざ言うときとなると、恥ずかしい・・・。

ゼロスは全然平気そうに言うけど。

「俺、ゼロスがいれば・・・何もいらないとは言えないけど、幸せだよ・・・?世界を一つに戻してからも・・・」

「もっちろんだぜ?ハニー。」

笑って言うけど、何か違う。いつもの笑顔と違う気がする・・・。

胸騒ぎがする。願いが、叶わない気がする。。。

「絶対、絶対な?」

「あぁ。」

何で?何が違うんだろう・・・。

「俺に・・・隠し事してる?」

信じたい・・・だけど、何か隠してる・・・気がする。

気がするだけで終わって欲しい。

「・・・・・・してねぇよ。心配すんな。俺様はいつでもロイド君の味方だから♪」

「そ・・・そっか。」

ゼロスが言うんだからそうなんだろう・・・。

信じなくちゃ。

柵から手を離すと、丁度ゼロスの手にぶつかった。

「あ、ゴメ・・・。」

謝ろうとしたら、ゼロスの冷たい手に包まれた。

不安な時、いつもなら安心させてくれるのに・・・。

今は・・・違う・・・。

俺達は自然と向かい合った。

ゼロスは耳元に口を寄せて、少し、トーンを落として、

「ハニー。愛してるぜ。」

と言って、顔を話してニカッと笑った。

ゼロスの顔は少し赤くなってるようにも見えた。気のせいかも知れないけど。

ゼロスは俺の背中に手を回し、優しくホントに優しく抱きしめた。

「こっこんな所、人に見られたらっ・・・!」

ジーニアスなんかに見られたら一巻の終わりだ。

「相変わらず色気がねぇなぁ?まぁ、見られたらマズイってのは間違ってねぇから、今日の所は帰るかw」

抱きしめられるのが嫌なわけじゃ無いんだけど、まだ恥ずかしさが・・・。

「ただいま〜。」

戸を開けると、先生がメモを持って立っていた。

「あらロイド。丁度良いわ。少し、買い出しがあるのだけれど、一緒に来てくれる?」

「リフィルせんせぇ〜?俺様を忘れてもらっちゃぁ困るぜぇ?」

ひょっこりとゼロスが顔を出した。

女たらしな所を見ると不安になる・・・。

自分から離れていっちゃうんじゃないかって。

でも、これもカモフラージュの為なんだろ・・・?

そうであってほしい。。。

「あらゼロス。いたのね。でも、私とロイドで十分な買い物だから二人で行ってくるわ。」

「だって。ゼロスは部屋で待っててくれ。」

今はゼロスと離れたくないんだけど、仕方ない・・・。

「はいはいっと。じゃ、俺様は部屋にいるからなぁ?」

「ん。じゃあ行ってくる。」

俺はゼロスに手を振って先生と外にでた。

「ロイド。私がどうこう言う事じゃないとわかっているのだけれど、一つ言っておくわ。・・・少しは疑う事も必要よ。」

何故か先生が俺にそう忠告した。

ゼロス・・・?違う。絶対違う。ゼロスを疑いたくなんてない。

そのまま俺達は店に行った。

先生が俺を買い物に連れていったのは、少し思い物を買うからだった。

袋に入ってて、中身はなんだか知らないけど。

ヒーヒー良いながらやっとの思いで宿屋に帰ってきた。

「それはそこに置いておいてちょうだい。そう。ありがとう。」

「俺は部屋に戻るな?何かあったら呼んでくれて良いから。」

そう言って、すぐに階段を駆け上がって部屋の戸を開けた。

見回すと、ベットに寝ころんでるゼロスが居た。

「寝てる・・・のか?」

近づいても動かない・・・。

顔の前で手を振ってみるが、反応がない。

やっぱり綺麗、だな。こんな、綺麗な人、俺と・・・釣り合う、のかな・・・。

「ゼロス・・・」

思わず顔を近づけると、

「寝てる間に襲うなんて、反則だぜ?」

と、ゼロスが片目を開けてそう言った。

「うわぁ!」

俺はとっさに、部屋の端まで下がってしまった。

顔が熱い。ゼロスが目を覚まさなかったら俺は・・・。

ゼロスはニカッと笑って、

「ロイド君は変態だなぁ?」

と言った。

「へ・・・変態なんかじゃ・・・!!」

「でも今、俺様にキスしようとしてたんじゃねぇの?」

「そっ・・・それは・・・ゼロスが綺麗な寝顔してるから悪いんだろ!!」

あんな寝顔見たら誰だって・・・。

「俺様のせいだってのか??ロイド君には色々教えてあげなきゃいけないみてぇだな?」

そう言って、ゼロスは俺をベットへと引きずり込んだ。

「やっ!やめ・・・!!」

俺の抵抗は意味をなさなかった。。。




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