何が言いたいかなんて、行動全てで伝わるんだよ。



頬が赤くなるくらい




今日は任務が入った。あのうるさいディストと一緒だ。
アリエッタはリグレットと買い物に行くらしい。
アリエッタ曰く『女の子同士のお買い物』なんだそうだ。
ボクと買い物に行く時はなんて言うんだろうか…? あとで来た時に聞いてみよう。
「シンク。用意は出来ましたか?そろそろ出発しますよ。」
うるさいのが来た。
「出来てるよ。今行く。」
荷物を持って扉を開けようとしたが扉は途中で奇妙な音を立てて止まった。
同時にディストは「ゴフッ」と言ってしゃがみ込んだ。
「は…?どうしたの。アンタ。」
顔を両手で抑えている。やっぱり、ぶつかった音…?
「ド…ドアが…顔…。」
戸を指したり、顔を抑えたり…。
段々苛々してきた。
「キモい。船に乗り遅れるから早くしてくれない?」
ボクは顔を抑えてる馬鹿を置き去りにして歩きだした。
「ちょっと…待ちなさ!コラ!シンク!」
そう言いながらついてきた。
なんか違和感がある…。
「って…いつもの椅子は?」
立っていると尚更キモい。
「少々修理しているんですよ。色々ありましてね。」
「あっそ。」
別に立ってようが立ってまいが、ボクには関係ない。
しかし、ずっと座ってて、あれだけ痩せていられるなんて、ちょっと狂ってる。
それとも、座る為には体力を使うのか…?どうで良いけど。
…それにしても、ディストと任務とは運が悪い。
どうせならラルゴが良かった。
あんまりしゃべんないから楽だしね。
それに比べてコイツは…
「見てください!新しくロボを…」
一人でしゃべってるし。ホントうるさいヤツ…。
しばらくしてダアト港についた。
もうすぐ船が来るかと思った時、
「シンク…!!」
誰かに呼ばれた。
声がした方へと振り返ると、白いワンピースを着たアリエッタがこちらへと走っていた。
ピンクの髪の毛が、白い服によく映えて…かわいい、かな。
「何?」
アリエッタは不安そうな顔をしている。
「気をつけて…ください。」
今回は死ぬような任務じゃないんだけど。
「わかってる。アリエッタこそ、リグレットと楽しんできなよ。」
アリエッタはまだ不安そうな顔をする。
「ボクが居なくたって、何も困らないだろ?」
そう。一日くらい。
アリエッタは戸惑いながら首をフルフルと振った。
「何か差し支えがあるわけ?」
問題は、何もないはず…。
「アリエッタ…シンクが、いないと…////」
あぁ。そういうことか…。
「居ないと、何?」
ボクは意地悪そうに笑った。
たまには言わせてみたって良いだろ?
「さみ、しい……。」
絶対目を合わせようとしない。
「ふぅん?それで?」
段々アリエッタは顔を赤くして、泣きそうになっていく。
「早く、終わりにして…帰って、きて…です…////」
「わかったよ。努力するから。」
明日には帰って来れるんだけどね。
海を見ると、ちょうど船が港に入った所だった。
「じゃあ、ボクは行くよ。また、後でね。」
アリエッタはコクリと頷いて、もと来た方へ走っていったが、途中で思いっきりコケた。
「大丈夫かな、アイツ…。」
「私を忘れてもらっては困りますよ!」
あぁ…そういえばうるさいのが居たんだった。
さっき話してたときも何か言ってたかも…。
「早くするよ。なるべく今日中に終わらせるから」
アリエッタの希望通りに帰って来た方が良いだろう。
「?…シンクらしくないですねぇ…。」
ボク達は船に乗り込んだ。
任務が終わったのは夜で、帰って来たのは夜中だった。
疲れたから寝ようかと考えていたら、ノックの音がして、
「シンク…。」
という声がした。ちょっと挙動不振な感じだ。
アリエッタが夜中に来るなんて珍しい。
「何?アリエッタ。」
そう言いながら戸を開けると、途中でゴンッという音がして、扉が開かなくなった。
「いたい…です。」
顔を抑えて、涙目でボクを見上げてくる。
どうしてボクの周りにはこういうヤツが居るんだか…。
ボクは苦笑しながら、
「アンタとディストって意外と似てるのかもね。」
と言った。
「そんなこと…ないモン…。」
痛さのせいか、反論してるのだが、説得力のカケラもない。
「あぁ、もう、手どかして。」
アリエッタはアホっぽい声をだして手をどかした。
ボクはしゃがんで、アリエッタの前髪を上にあげた。
「目、つぶって。」
アリエッタは思いっきり目をつぶった。
ボクはアリエッタの額に軽く唇を触れさせた。
「もう痛くないだろ?」
そんな訳ないのに、アリエッタは顔を赤くしてコクンと頷いた。
ボクが少しクスッと笑うと、アリエッタはさらに頬を染めて、
「アリエッタ…そろそろ、寝ます…!おやすみ…。」
と言って、自室の方へ走っていった。
聞こえるはずないけど、「おやすみ。」と呟いて部屋に入った。
「あ…聞き忘れた。」
次来た時に聞こうって朝思ったのに…。
まぁいいや。またどうせ来るだろう。
明日も明後日も、時間はいっぱいあるんだし。
ボクは少し笑ってから布団に入った。




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