吐息が落ちた
そんな小さな一瞬のあわいに
掬いあげた言葉が在った

伝える言葉




瞳を閉じて
蓋をした視界に、熱く溶け落ちた雫が
空気に触れて、地面で波紋を落して弾ける
哀しくも無い
苦しくも無い
ただ、息も忘れて泣き出してしまう
自分でもどうしてなのか不思議なほどに
からっぽの感情のまま
たくさんの何かが詰まった雫が落ちる

あぁ、君は
僕なんだね

「はじめまして」
「ひさしぶり」

一つどうし、二つの言葉が交わって
いまひとつになって
また通り過ぎる

僕らは、伝わりすぎているんだ



+++

知っていたのに知らん振りして
誤魔化し切れなかった
たくさんの僕たち




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