まるで背比べのように。




「麻美!もしかしてあの人に気があるの?」


まっさかーあったらこわい。
ただ、悩んでるみたいだったから応援してきただけだ。
しかし、そんなことを恋のことしか頭にないこいつらにいうのは好ましくない。


「留守中、泥棒対策としてテレビつけるとうるさいからやめろって言ってきた」


すげーばればれのうそだ。でもどうやら信じてくれそうだ。


「で、本当のところさっき、何、喋っいたの?」


まあ、こいつになら本当のこと言ってもいいだろう。


「背比べしてたから、どっちが高いか見てきてあげた」


でも、少し不安だったんだ。
だから遠まわしに言ってみた。かなり遠くから。


「狂った?あそこ麻美とあの人しかいなかったんだよ?背比べなんてできないよ?」


予想通りの反応。
こういうのは結構楽しい。


「ライバルなんだってさ」


こいつは私が少しでもおかしなことを言うといつも不思議そうな顔をする。
それもまたおもしろい。


「別に、悩むほどの相手でもないのにね、悩んでたから」


もっと首をかしげた。
こいつにもわかりやすく言ってやろう。


「野村と沢田がテストの点で競ってた」


これならこいつでもわかるだろう。
でも、私の言いたいことは…。


「余裕で野村の勝ちってことを教えてあげてた。あの二人、ほんとに背比べみたいで、お互い面と向き合ってみると互いにどっちが高いかわからない。でもひとたび背中合わせで他人の目から見れば高いのがどっちかわかるってこと」


こいつ、ここまで考えてたかな?それはわからないけど自分の思ってること言うのってすごくすっきりする。


「う〜ん。よくわかんないけど、うちらは眺めてればいいの?」


なかなか、こいつもいいところにきてる。


「似たような感じだよ」








応援してるからね………。
がんばって。




−END−




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