取り合えず何のライバル?




「取り合えず何のライバル?」
って僕は君に聞いたよね
そしたら君は笑ったっけ

「理解できないよ」
っていいながら


その言葉の方が理解できないよ


「あっ!ごめん」


君はなぜか急にすまなそうな顔をしていたよ
だから、僕は驚いたんだ


「えっ!?」って

笑ってる君しか見たことがなかったから


「ずっと、ライバルっていう存在がほしかったんだ。急に変なこと言い出しておかしいよね!」


いつもの笑顔で君は言う
でもね、僕はそのことで驚いたんじゃないんだよ


「何のライバルなんだよ!取り合えず。恋のライバルとか勉強とかいろいろあるだろ!」


ちょっときつく言い過ぎたと思ったんだ
でも、その笑顔は変わらない


「んん〜。そこにこだわる?」


あの笑みにはどうあがいたって勝てないよ


「のれてる?話に」


君の言葉はわからない
そんな僕を放っておいてどんどん話を進めるんだから


「ライバルなだけでいいんだ。何のライバルでもない。何のライバルって言う方がおかしいのかな?ライバルはライバルであって、何のライバルでもないんだから」


ますます、わからなくなる僕に
ますます大きく微笑みかかける


「意味わからん」


その一言で僕は精一杯だったんだ。
もう、頭がパンクしそうだったから


「馬鹿らしい話だよ。ただ、ぼくと何事に関しても張り合ってほしいだけなんだ。正々堂々戦ってもいいし、汚い手を使ったっていい。僕をけちょんけちょんにしたっていい」


意味はわかってきたけど、微笑みながらそんなこと言われても困る


「ルールなんでいう高い柵はないから。どんな卑怯な手を使おうとかまわない。それがライバルだからね!
・・・・・・・・・ぼくもたまには誰かに追い抜かされてみたいんだ」


そしてまた笑う


「?」


最後のあの笑顔が忘れられない
僕は君のライバルになれるのだろうか?




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