いつから目の敵にした?




 いつから目の敵にした?
 それは多分、置いていかれた時から。
 だって、置いていかれたくなかった。置いていきたくもなかった。
 けど、どうしても置いていかなくてはならなくなったのなら、自分が置いていかれないようにするしかないじゃないか。
 視界から外れないように。
 記憶から抜け落ちないように。
 思ってもいない事を言って、気をひいて、いがみあって。
 ここにいるんだよ、って事を、ないものねだりをする子供のように叫んで主張して。
 ちょっとでも近づけるだろうか。
 ライバルだってなんだって構わない。
 ライバルだって事は、つまり、張り合える相手だという事で。
 それはつまり、対等であると、そういう事だろう。
 親友とか、軽口で言い合う悪友とかいうのとは、ちょっと違うかもしれない。
 でも、ライバルであれたなら、ずぅっと、この先も張り合っていけたら、互いを高めあえるなら、理想的な関係じゃないだろうか。
 ただ足を引っ張るだけの位置は嫌なんだ。
 でも、手を引いてやるだけも嫌なんだ。
 頼りっぱなしも嫌だし、逆にあいつも頼ったりするのは嫌だろう。

 頼りあえない自分達の、『ライバル同士』というこの関係が、理想的な友人関係。
 最近はそれでもいいかなって思うよ。

 だからずっと、アイツは俺の標的なんだ。




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