目を覚ませば、無理やり抱いたロイではなく 一番、会いたかった人 食い込ませる犬歯の感触。 暫く、声が出なかった だって、私は何処にいるかすら分かってないと思ったのに ロイに攫われてから、エドワードは生きているかすらわからなかった それに、エドワードだって見つけれないって思ってた その上、次は黒い二人組みに囚われた とうとう、絶対会えなんだなって確信してきた 窓に向かって、涙を流したって無駄だと思ってた 会いたい、と思っていたけれど叶うわけが無いと思っていた 「エド・・・なの?」 幻じゃなくて? ロイに抱かれたショック死でもしてしまったのだろうかと思ってた それは、一瞬で エドが抱きしめる、体の傷の痛みが蘇る 痛い でもそれが幻ではないと伝える 私の目からこぼれてくる涙 夢ではないと伝える 頬に生ぬるい暖かい感触がした それは確かに、エドワードの舌で 「ちょ・・・何!?」 「ゴメン・・・ゴメンな・・・、こんなつもりじゃなかった・・・っ 一生誰にも触れさせないで、大切にしてくつもりだったのに・・・ゴメン 吸血鬼なんて、俺が居なきゃ一生関わらなかったのに・・・」 私を抱きしめる手に力が篭った 痛さに、ぬくもりに、体と頭が覚醒する あぁ、そういえば 「ロイ・・・」 ロイってあんなオーラしてたっけ? 吸血鬼だから?あんなにオーラって変わるものなの? 「エンヴィーに殴られたときみたいなオーラだったような・・・」 驚いたように、エドワードは私を見た 余計な事口走っちゃった? ・・・でも、ロイとエドはきっと協力して助けに来てくれたんだよね そうじゃないと、場所とか分かるわけないしね だったら、殴られたのはエンヴィーって言っといていいのかもしれない ロイが私を抱いたのは私のせいでもあるし できれば、二人とも仲直りして欲しいと思う自分がいた 自分のせいで、友達を減らさないで 私と出会わなければ、エドワードは友人に銃で撃たれることもなく 平和に、ロイと仲良く暮らしてたのに・・・(多分) 「・・・エンヴィーに殴られたのか?」 「うん。そうだよ。ロイじゃない」 ロイを弁解するように言えば、エドの機嫌が悪くなる 本当、困ったなぁ 嫉妬してくれるのはうれしいんだけど 「だからね、仲直りしてよ」 「・・・・・・・はぁ!?」 眉間に皺を寄せて私を見た ・・・さっきより機嫌悪くなった? 「お前、こんなことされたのに許すのかよ!」 「だって、見てよ」 の指差した先にはエドワードに噛まれた跡 其処の周りには、キスマークは一つも無かった 他のところには沢山あるのに 「ね、今見つけたんだけど。これって絶対意図的だよね」 「・・・だから、なんだよ。俺の口が触れたところは 間接キスになるから触れたくなかったんじゃねーの」 「そーかなぁ、でもねロイはエドワードを友人としてとても大切って言ってたよ んで、幸せにしてくれだって、だからわざとエドの跡の周りにつけなかったのかなって思ったんだけど」 うーん、と首をかしげる姿は、とても可愛い でも、かしげている原因はロイ 「お前のが大切なんだよ、じゃなかったら俺を撃たねぇ、お前が欲しくて俺を捨てたんだ 幸せにしてくれとか、負け惜しみにすぎねェ 気づいてたんだろ、を抱いたら俺は絶対に会わせない事を だから、最後はカッコよく言っただけだ」 ‘もう、あいつの事なんか考えるな‘とをまた強く抱きしめる は傷が痛いが、それに答える 「・・・飲んで・・・良いか?グリードと戦ったせいで疲れた」 「ん、いーよ、沢山飲んでも」 「貧血になるぞ」 「元気になったエドが運んでくれるでしょ? どうせこのままでも、腰が痛くて歩けない」 「んじゃ、お言葉に甘えたて沢山飲ませていただきますよ 歯、結構食い込むけど我慢な」 犬歯がゆっくり入っていく 痛い 注射の針の何倍も太く、大きく、鋭く、そして長い 死にそうな痛みに耐える 血が吸い取られる 意識が朦朧としてくる 「やっぱ無理か」 飲み終わったエドワードは意識を飛ばしたを見る 愛しそうに髪を撫でると、家へ向かった 俺達の、家へ・・・ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 「兄さーん!」 「ん、アルフォンスか」 「わ〜可愛い!エドの弟!?」 それぞれの迎え方をされ、入ってきたのはアルフォンス その顔はとても笑顔だ 「はい、二人にプレゼント〜」 「え?私にも?私がいるってこと知ってたの?」 「もちろん!さんの為に作ってたんだから」 コトンと置かれたビンを見てみる 小さいビンの中に、赤の液体と紫の液体 「これって・・・」 「うん、使ってよ兄さん、幸せに・・・・なってよ」 コレを使えば、確かに幸せになるかもな だが、来世でに会えるかなんて分からないじゃないか それに、また吸血鬼の野郎がきたらどうする? 生身の人間じゃ、負けは見えてる 「さん、赤い液体は兄さんが人間になる薬です そして、紫の液体は・・・貴方の前世の記憶を取り戻す薬です」 「前世・・・?」 「一度、前世で兄さんと会ってるんです でも、前世のさんは、兄さんを人間にしようと自分の処女の体にナイフを刺したんです 兄さんはそれを泣きながら飲みました、でもナイフについた血はのめなかったんです 『自分が人間になって、死んで、と会えなかったら・・・』と」 「だから俺はあの日から沢山の人間の家を見て回った んで、を見つけたんだ。全く同じだった。昔のと バーで会ったのなんて運命なんかじゃない、俺が会ったんだ、意図的に」 「・・・でも!私と昔の私は違う!」 「さん、吸血鬼の世界の理論では、前世の貴方と今世の貴方は全く同じなんです 人間は寿命は大体60〜80、でも吸血鬼は1000はいきます どちらの理論を信じるかなんて、見えてるでしょう?」 「・・・飲んで見ればわかるさ、きっと同じ考えをしてる。昔のと 俺は飲んで欲しい 怖いんだよ、いつナイフを持ってきて俺の前で刺すか だから、飲んでくれ。頼むから・・・前世のが望んだ願いと今世のの望み すべてかなえてやりたいんだ・・・今世のと前世のは別の人だ でも、俺は二人に恋をしているんだ、話す事すべて同じで顔も全く同じで・・・」 エドワードはそれだけいうと、下を向いてしまった 話すのが苦しいのだろう 「こんなことを話されたら、さんはこれからエドワードの目は昔の自分に向けられていると思いますよね でも、昔の自分は吸血鬼の理論的に今と同じ人間なんです だから・・・昔の自分に嫉妬したって意味はありません どうせなら、昔の自分と一緒に生きていけばいいじゃないですか 飲めば、今と昔の自分が同じだということを実感しますよ」 意を決したようにはアルフォンスへ顔を向ける 意を察知、アルフォンスはに笑顔を向けた 「あとは兄さんだけだね」 「エド飲んで、私が飲むんだから飲むわよね?」 「・・・・不安があるんだ」 「私は飲んで欲しい、エンヴィーとグリードがね、沢山の人の血を飲んで殺してたの 何十人も、それをみたときね。怖くなった。エドワードもこんなことをしてるんだなって わがままだって分かってる。でも、飲んで欲しい」 「それに、兄さんがさんを見つけるって事がもうすごいじゃない 地球の裏側に生まれてたら、きっとあえなかったよ、兄さんがどんなに頑張っても それにね、もしものことがあったら、僕が引き合わせてあげる」 「でも・・・・他の吸血鬼達が・・・・」 「僕が守ってあげるよ、二人を、兄さんが人間になったってことも誰にも言わない だから、お願い、二人とも・・・幸せになって欲しい」 エドワードはビンの中の赤い液体を見る ふ、と笑った 「これ、前世のの血だろ?」 「うん、魂と肉体は違うからね。今のさんが処女じゃなくても 処女のままにして死んでいった昔のさんの血 これを飲めば、人間になれるよ」 前世のの、命を懸けた贈り物 エドワードはの持っている紫の薬を取る また微かに笑ってアルフォンスを見た 「腕を上げたな」 「さんの遺体から、記憶だけを取り出すの大変だったんだよ」 「難しいやり方したなぁ、もっと簡単なやり方あるぞ お前はまだ、俺の理論に追いつけてねぇな 追いつけよ、俺の研究と理論はお前に見せてやらねぇ だが、俺は此処でリタイアだ。お前なら・・・人を此処まで思いやれるなら 立派な科学者になれるさ」 「・・・兄さんとさんの隣でね」 「アルフォンス君、なんでここまでしてくれるの・・・?」 「・・・兄さんとさんが大好きだからですよ 前世はなにもしてやれずに居た そのときすごく自分を責めました なんでなにもしてやれなかったんだって だから、今世、来世、ずっと幸せになってほしいんです 二人にね」 蓋を取る エドワードのビンからは鉄の匂いが のビンからは異様な光が 二人は、手を繋いで飲む これからが、本当の幸せの始まり――――― |