俺の守ってきたものは、脆くて・・・儚くて・・・・そして愛しい










冷えた身体を抱き締め。




グリードとの戦いも大詰め
脆くなった盾は意味を無くしている



「ったく相性悪ィ・・・お前じゃなかったら簡単に倒せるのにな!」



「だから、だろ?だから俺は相性の悪ィエンヴィーと戦わなかったんだ」



剣を二本練成し、グリードと床に刺す
グリードは剣を抜く気力もでず、体は再生と破壊を繰り返した



「っしゃ!初めて勝ったぞ!」



囲いを破壊し、残ったのはエドワードと剣の刺さったグリードだけ



「あれ?あの無能と嫉妬何処行った?」



あたりを見渡してみるが、人の居る気配は無い
あるのは、エンヴィーの裸足が森へ向かっているのと、ロイの靴が家に向かってるのだ




「・・・っあの野郎!抜け駆けしやがって!援護とかしよな!!」




家へと向かう
の笑顔を想像して・・・
いまにも自分の笑みも零れてしまいそうだ








































行為の終わったロイは自分の上着をに着せる
行為中叫んでいた『エド』『嫌だ』『やめて』『大嫌い』
の全ての言葉を覚えている
最初から最後まで
そして、が拒絶の言葉やエドと言うだけで胸が締め付けられた
エドワードの守ってきたものは、エドワードの一生をかけて守っていたものは
こんなにも簡単に壊せた
大事なものこそ、失われやすい
にある程度着させると、また自己嫌悪に陥るのだった―――



「ったくあの野郎、ちゃんとを守ってなかったら承知しねーぞ!」



コツンコツンと聞こえてくる、足音
走ればいいものの、やはりウロボロスの仲間を警戒しているらしい
もし、走って色欲でも出てきたら大変だ



「・・・・これを見たら、一体エドワードはどんな顔をするのかな」



キスマークに殴られた後
きっと殴られた後も私がやったと思うだろう
・・・エドワードに殴られるくらい別に良いが
二度とあわせてもらえなくなると思うととても辛くなってきた



「・・・さぁ、そろそろ君の本当の王子様に会えるよ」



愛しそうにの顔を撫でる
少し嬉しそうな顔をして、上着に潜った
ピタッと足音が止まる
ここが一番奥の最後の部屋だ

























「人の息の音が・・・二つ・・・か」



エドワードは一応警戒しているらしい
の寝息と私の息に確信を秘め、ドアを開けた
下着しか着ていない、軽く私の上着を被せた
上半身裸の私を見て、君は何を思ったのだろう?



「・・・どういうことだ・・・?」



納得したくないらしい
当たり前だ、前世も大切すぎて抱けなくて
今世も誰にも触らせなかった彼女を私にとられた
そして、否定しても確かな証拠が沢山付いているのだ、彼女に




「見て分からないのかい?見えないのか、コレが」



「――――ふざけんなっ!!てめぇ最初から裏切る気で・・・っ」




掴みかかって、殴ってきた
当たり前だろう



「私のことより、彼女はいいのか?」



「――――っ」



「あとから殴ればいいだろう?が一番に求めていたのは君だよ」




そのまま、部屋を出た
もう二度と会えないを、もう少し見たかった
最後にこの目に焼き付けておきたかった
でも、そんなことをしたらまたエドワードに殴られるが
会えない、それだけで涙が出そうになるくらい辛かったんだ――――
















































聞こえるのは、あいつの足音と、の寝息
会いたかった、ずっとずっと探してた
なのに、体を見れば生きているくらいが不思議なくらいの殴られた跡がある
こんな形で会うことになるなんて
そうだ、生きているか分からなかったんだ
ウロボロス組に囚われてから
生きている事を喜ばなければならいのに、それでも素直に喜べない
触れたかった、触りたかった、抱きしめたかった
その彼女が生きて、今目の前に居る
絶対あったら抱きしめるだろうな、と思っていたけれど視界には痛々しい傷跡が
触りたくても、壊れそうで触れない
それでも、触りたい
そっと左手を伸ばして、の頬に触れる
ふにっとしたやわらかい感触が泣きそうなくらい愛しい



「んっ・・・」



ちょっと眉間に皺がよったが、安心できる匂いに可愛らしい寝顔で擦り寄った
エドワードは我慢できなくなり、声が聞きたくなり、もっと表情が見たくなり、痛々しいを抱きしめた





そうだ、この匂いだ
この、感触だ
そして、愛しい前世と変わらない声だ






前世の君を重ねてみてるわけなじゃない
前世の君に申し訳なくて、抱かなかったわけじゃない
君の瞳から前世の君を見ていたなんて有り得ない





前世の君と、今世の君に恋してるんだ



































似てる、瓜二つだ
でもを昔のと見てないよ
昔ので過ちを犯してしまったから
今のを大切にするだけ
二番煎じの恋なんかじゃない
でも、過去を引きずっていたのもあるかもしれない




























君が目を開けたとき、俺はどんな顔をすればいい?




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