この匂い、この感触、この声は私が求めていたものではない 処女を奪う行為に嘲笑。 「糞・・・!何処だよ!?」 「うむ・・・あいつらの家は森の中だからな・・・」 地図を手にとって見るが森しか載っていない 家どころか目印になるものすらないのだ 「焔で木を全て焼いちまえ!!」 「環境破壊だぞ!それに間違えて家も焼いてしまうかもしれん」 「ったくこの無能!!」 「今日は快晴だ!!」 息の合っていない二人は仲間割れ寸前 エドワードが文句を言おうと振り返ったとき、思わず目を見開いてしまった そこには黒い大きな物体、あいつらの仲間のグラトニーが奥の方にいたのだ 「どうかしたのか?」 「黙れ!グラトニーが居る」 ロイが指を指されたほうを見ると、目を凝らさないと見えない位置に居るグラトニーが 「追うぞ」 「あぁ」 「女相手に本気になるなんて」 「そりゃ、あいつだからなぁ」 の閉じ込められているところにはグリードがに夕飯を運びに来たのだ 「・・・あなたにも殴られるかと思ったわ」 「俺ぁ、女と戦う趣味ねぇ」 「戦うじゃなくて一方的でしょ?私は反撃しないし」 「ハッ!昨日はエンヴィー殴ってたくせによく言うぜ」 「あれは反撃じゃない、むかついたから殴っただけよ」 暖かいお茶を飲みながら言う エンヴィーは何故か顔だけは殴らなかった その代わり体は動いているのが不思議な程痛々しかった 「あいつ、等価交換に反してるわ!ちょっと叩いただけでこんなに殴って」 「等価交換?」 「ロイに聞いたの、エドワードは等価交換を基本とする技を使って戦ってるって」 「へー」 グリードが持ってきたフランスパンを食べる それをグリードは只見つめた 「何?」 「綺麗な顔立ちしてるなって思って」 「・・・おだててもなにもでないから、それよりこれから私をどうするつもり?」 「もうそろそろ、仲間が全員集まる 俺の彼女として紹介しようかなってな」 フランスパンを食べている手が止まった その光景をグリードは面白そうに見ている 「・・・何て?」 「だから彼女として紹介しようかと」 「私、エドワードが好きなんだけど?」 「ここで生き残るにはそれしかねぇぜ?」 嫌味な笑顔をみせるグリードには断る事が出来なかった コンコンと部屋がノックされる そこに現れた紛れもなく、昨日私を殴った人だった 「グリード、やっかいなことになった」 「何だ?」 「グラトニーの奴、後を付けられたんだよ、あいつらに」 グリードは緊張している顔をしていたが、は『グラトニー』も『あいつら』も分からなかった それより、殴られるか心配で怯えていた 「やっとついたな」 「ったく、あのデブ男歩くの遅すぎだ!」 いつの間にか、夜中だったはずが朝になっていた まぶしい、そう思いながら歩き続ける 「もう少しでに会える・・・」 「呼び捨てするな!は俺のだ!!」 ギャーギャー言い合っていると案の定、人が集まってくる でもそれは人ではなくて、黒い吸血鬼 「まったく、焔のも考えたね。二人なら敵うかもって」 「だがな。人数変わったところで、そうやすやすと結果はかわらねぇぜ?」 「錬金術と、お前の盾は相性が良いんでね」 「ちなみに私は遠距離でエンヴィーを攻撃すれば容易いだろう エドワードから聞いたが、本当の姿はでかいのだろう? 的が大きいと当てやすい」 「うっし!分かれるぞ!」 バチバチと練成音が鳴る エドワードとグリードの周りに囲いができた 「おい!そっちは遠距離だから囲いはいらねーよな?」 「あぁ、囲いがあっては身を隠せん」 「隠れて攻撃するつもりかよ!!」 パチンと練成音が鳴り、戦いが始まる エドワードとグリードは向き合い、相手の様子を伺っている グリードは硬化する様子も無い エドワードが攻めようとすると、ため息をついて言い始めた 「馬鹿か、こっちにはグラトニーも・・・」 「グラトニーならさっき、蝶につられて何処かいったぜ?」 「・・・糞!だがなぁこんな囲い、俺の固さで・・・・!」 「お前の盾の仕組みならとっくに理解済みだ!」 エドワードの方が優勢なようだ 一方、ロイの方は苦戦していた 「む・・・やりすぎたな、なにもみえん エドワードの所は囲いがあるから被害はなさそうだが」 「・・・・」 「本性を現さないのか?こちらとしてはそっちの方がやりやすいのだが」 「・・・・」 煙が晴れた、が、そこにエンヴィーは居なかった あるのは、家から離れている足跡 「(逃げたか?)」 エンヴィーはロイの無能になるグラトニーを呼びに行っていたのだ が、ロイは逃げたと思い込み家へと向かった 「(抜け駆けではない、抜け駆けではないぞ)」 「ん・・・」 いつの間にか眠っていたらしい そこには、食べかけの夕食だけが残っていた グリードもエンヴィーも居なかった 「どっか出かけたのかな」 確か私を彼女として紹介するんじゃなかったっけ? そんな事を思いながら、食べかけの夕食に手を伸ばす もう一眠りしたいところだが、窓から差し込む光がまぶしかった 目を閉じれば、エドワードの不機嫌そうな顔が見える おかしくてクスクス笑っていた 他の人から見れば怪しい人だろうが 「会いたいな、声が聞きたい・・・」 いつの間にか、頬に涙が伝っていた 別に拭こうともせず、ただただ涙を流す エドワードに会いたい 暫く、会ってないだけならいい 死んでいるかもしれない、そして自分もここで死ぬかもしれない 会えるなんて奇跡で、辛い現実にどうしても涙を流さずにはいられなかった 「どうか、生きていて――――」 朝日の眩しい窓に、神なんて信じていないのに 太陽に向かって手を合わせていた カツン、カツンと足音がする エンヴィーはいつも裸足、とりあえずエンヴィーではないと安心する だが、グリードのような荒っぽい足音でもなかった 足音がドアの前で止まる 緊張で息を呑んだ 誰だろう、と。あの人たちを束ねる人かもしれない 不安が込み上げてきた ドアの前にいる人は警戒しているようで、なかなかドアを開けてこない 警戒するのはこっちだというのに もしかして迷い込んできた人かもしれない 私は家に入り、を探すためいろいろなドアの前に立つ そして、人の気配を感じるかどうか慎重に決める もし、相手が警戒していたらの可能性が高い そして全く警戒してなかったら私のことを仲間と思い気にしないだろう 人の気配の無いところは一応調べてみる もしかしたら、は意識を失っているかもしれないからだ そして、一番奥の部屋 初めて人の気配があった、相手は物音を立てないようにしていた だが、息をしている音は聞こえる 時計の秒針の音が煩い ここに誰か居る、そして私を警戒している 確かな可能性を秘めて、私はドアを開けた 「え・・・ロイ・・・?」 確かにそこにはがいた だが、私の家に居たときとは全然違っていた エドワードがあんなに大切にして傷一つ付けさせなかった彼女はたくさん傷つけられていて 今、が立っているのが不思議なくらいだ 「その傷はどうしたんだ!」 「・・・関係ないでしょう?」 こんなに心配しているのに、君は私の方を向かない それがとても嫌で、こちらを向いて欲しくて、いつの間にか押し倒していた は嫌だと止めてと抗議しながらそれでも快感に飲まれていく エドワードは私を信じ切り、外でグリードと戦っている の体に殴られた後とは別にキスマークを付ける 君の体は、そこらじゅうに傷跡とキスマークが残される 私が触れるたびに君は汚くなっていく―――――― |