会いたい、と思えば思うほど君は離れていく










光を求められず、闇を求む。




「・・・・の野郎・・・・覚えてろよ」




ゆっくりとエドワードの体が起き上がる
しばらく寝ていたからか結構動けるようになっていた
治癒力はそれほど人間とかけ離れているわけではないが、比べれば吸血鬼の方が高い
の血を最後に少しでも飲めたのがせめてもの救いだろう
あの状況で飲んでいなかったら、きっと動けなかったと思う
人間より頑丈な体は弾丸を突き抜けてはいなかった
台所へ行き、包丁と取りナイフで弾丸を取り出す
そこらへんに弾丸を投げ捨て血を吐いた口を拭う




の血、旨かったな」




夜を歩き、適当に熟女の血を飲む
一滴残らず飲み干した後、又、適当に熟女を捕まえ飲んだ
次で三人目・・・



「ちょっといいか?」



「え、・・・はい」




夜、人通りの少ない所で男に声をかけられて素直に応じる人は少ない
だが、綺麗な髪とは裏腹に真っ黒な服
綺麗な顔立ち・・・
息を飲んでしまうのも無理は無い
そうして、女を捕まえていたのだ
エドワードは5人の血を飲み干した後、ロイの元へと向かった











































「おーい、返事してよ」



「返事ねぇな」



「言葉しゃべれないとか?」



「それはねぇだろう」




ためしにグリードがデコピンしてみる
‘のうっ‘と奇妙な声を発してから倒れた




「痛いよ」



「あぁ、痛くしてるからな」




おでこを摩って涙目でコチラを見てくる
その仕草が可愛らしく見とれてしまっていた



「何か言ってよ」



「え・・・あーそのあれだ」



「分かんない」




強気な彼女に嫌気がさしたのはエンヴィーが先だった
怯えて下につくはずの彼女があまりにも見下しているような感じがして気に食わなかったのだ



「おチビさん・・・えーと確か本名エドワードだっけ?君を一番に飼ってた人」



「飼ってたって・・・!エドはそんな人じゃ無いっ!」



「名前合ってたかって聞いただけだよ。煩い、いちいち叫ぶな」




グッと堪えたような彼女の姿
そうそう、これがみたかったんだ




「あーそうそう。おチビさんを殺しちゃったんだよね」



「なっ」



「僕が行ったときは生きてたよ、虫の息だったけどね、止め刺してきちゃった」




パンッと乾いた音が響いた
暫くして理解する
只の幼い人間に殴られたのだ、と





「残念、見捨てただけだよ、手当てするほど優しくないんでね!」





もちろん叩かれて痛いだとか思わなかったけれど、ものすごく気に食わなかった
い程度に顔を避け殴っていく
とっくに意識を失っても殴り続けていた




「やめとけ、医者に連れて行くようになったら面倒だ
 どうせ血飲むだけじゃねぇんだろ?
 ヤる時までに怪我させたら後々面倒だ」




「ったく、この人間は吸血鬼の心を動かしやすぎる
 だからおチビさんと焔のは惚れて、俺は簡単に頭に血が上るんだ」




「なんというか、肝が座ってると言うか
 嫌な特技持ってるなこのお嬢ちゃんは」













































「焔の!何処だ!」



「遅かったね、家まで迎えに行ったのに何故居なかった?」



「血、飲みに行ってたんだよ」




‘‘そんなことはどうでも良い、は何処だ!‘‘
いまにも飛び掛ってきそうな勢いに苦笑する
きっとコイツは最悪の事態、つまり【死】を考えているだろう






「何処だ!?さっさと吐け!」





本当に掴みかかってきた
ここでやり合っている暇は無いんだと伝えたら、君は怒るだろうか?
大切にしていたをあの黒の集団に捕らえられたのだ





「捕まっているよ、エンヴィーとグリードに」



「は?お前なに言って・・・」



「私一人で取り返すのは無理だったから君と戦おうと思ってね」



「ふざけんな!」



手を離しそのまま飛び出していった
本当、昔からの友人ながら呆れるよ




「馬鹿か、一人で行ってなにになる。負けて終わりだぞ」



「・・・うるせぇ!お前なんかに誰が頼るか」



「プライドを捨てるか、彼女を捨てるかだぞ、簡単に言えば」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・倒せるって言うのかよ!お前が入れば倒せるって言うのかよ!」




驚いた
頭に血が上ってあいつらに敵わないということを忘れていると思っていた
だが、しっかりと敵わないと分かっていたらしい
子供のようにすがっているような台詞に可笑しくなってくる





は生きてるかわからねーんだぞ!よりにもよってあいつらにっ・・・!」



「生きてるさ、多分な」



「・・・っあいつらの所に着いたらお前はエンヴィーを殺れ
 俺はグリードを殺る」



「・・・分かった、を持ち逃げするなよ?」



「もともとは俺のだ」





しっかりと独占欲を露わにする
昔は照れてこんなことはいえなかったはずだが
彼女がこんなに君を変えたのか?
確か昔は『俺の傍から離れんなよ』とリアーネ(元々は私の恋人だった)に言っていた
ものすごく顔を真っ赤にして


それから比べると、前世のに会ったときから本当に変わった
物事をまっすぐに言うようになった




「・・・私も自分を犠牲にしても守りたいと思ったのはだけだ
 守るためには冷静さも必要だ、敵わない相手に向かって負けるのは本当に守ることにならない」



「それを言い訳にして、をあいつらに渡したっていうのかよ!」


「私が刃向かったところでなんにもなるまい 
 それならば君と一緒に戦った方が勝率はある」




顔色一つ変えずにキッパリというロイに腹が立つ
そんなに年の差はないのに自分が子供のようで悔しかった
そしてなにより、を奪われた事が一番悔しかった
殴りたかったロイを殴れない自分が悔しかった
こいつと手を組んでを助けに行く事が悔しかった































なにより、の生死を確認できない事が一番悔しかった































































「・・・最後にエドワードの顔・・・見たかったな・・・・・」




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