命を懸けても守らなければならない君












「貴方の首に噛み付きたい」

















「エドワードの腕さえ解けば・・・簡単だな」




すっかり寝ているエドワードの腕を持つ
だが案外しっかり握っているらしい
その姿に苦笑しながらも両手で片手をどかした
そしてエドワードが大切にしている【漢字】に触れようとする




「触んな」



今起きたのか、それとも血が足りないのか、うっすら目を開けて私の腕を掴んできた
その姿に又苦笑してしまう。そんなに大切な人間かと




「貧血か、顔が白い」


「もとから白いだろーかっ」



エドワードの息が荒い。意識も怪しい。
完璧に貧血だな、奪うのは容易いかもしれない




「そんな状態で戦う気か?」


「うるせぇ」



本当にこいつでよかったと思う
外は雨、コイツの所だけ屋根を壊せば【漢字】にも当たらない
うっすらとした意識を必死に繋ぎとめ俺は手を打ち鳴らした
ロイは何かが来ると身構えるが
まさか上からだとは思ってなかったのは上から下までずぶぬれになった




「かえ・・・れっ」



「甘いな。焔が使えなくても今の君から【漢字】を奪うのは容易いよ」



「んっ・・・・」




しまったと思ったときには遅く、【漢字】は起きてしまった
キョロキョロと目を動かすがよく状況が理解できていない



「・・・貴方誰・・・?」



「初めまして【漢字】嬢、一緒に来てくれますか?」


「何で私の名前?それに何処に行くのよ?って貴方ずぶ濡れじゃない!
 タオル貸してあげるから早く乾かしてっ!
 あ、お風呂沸かすから、あと服全部脱いで洗濯しとくから!」




ほらほら、と背中を押され脱衣所にタオルを放り込まれて押し込められる
この私を何だと思っているのだ!
だが、「服はかごに出しといて!」と言われたからには全部脱いでおいておいた







私はずぶぬれの人が風呂に入ったのを確かめてから脱衣所に入って取っていった
すぐに洗おうとしたのだが、出てきたらすぐにエドワードと会った




「【漢字】、その手袋かせ」



「え?」



「これはあいつの大切なものだから、俺が預かっとく。(切り刻んで捨てないといけねーし)」



「分かった・・・けど大丈夫?すごく辛そう寝てたら?」



「・・・洗濯機回してたら俺の所来てくれ」



そのままエドワードは自室に戻る
【漢字】は訳が分からず服を洗濯機に放り込んだ










































その会話を私は風呂から聞いていた
エドワードがあの子を殺さずにそばに置いておくのが分かった気がする
『恋』というものでもしているのか
私の煩い心臓も【漢字】に反応しているのかな?
風呂から上がって用意されていたエドワードにしては大きいシャツと大きいズボン
【漢字】はエドワードが大きくなるだろうと買ったんだろうな
そういえばエドワードは170くらいあったかな・・・
吸血鬼にしては小さいが人間にしては標準に値する・・・と思う
なんにせよ、エドワードの着るはずの服は【漢字】が用意したというだけで妙に暖かかった












































言われた通りにエドワードの部屋に入る
エドワードはベットの上につらそうに座っていた
すぐに駆け寄ってエドワードを寝かせようとする



「・・・寝ない」



「え?」



「悪ィ・・・俺このままじゃお前を守る自信ねぇんだ・・・
 それに我慢の限界だ」




【漢字】の手を掴みベットに押し倒す
そりゃビックリするよな
俺がこんな事するなんて思っていもみないかっただろう
不安そうにこっちをみてくる【漢字】
そう、これが見たかったんだ
ずっと・・・な




「な・・・・何!?」



「騙してて・・・ゴメンな」




【漢字】の首に吸い付き少量の血を貰う
白い首筋、不健康なわけではないが外に出るのは俺が大丈夫な雨の日だけ
外に出る回数が少ないのに出るのはほとんど夜とか雨だから綺麗な白色なんだ





「・・・痛・・・ぁ・・・・」




噛み付かれるときはすごく痛かった
それはもう体が引き裂かれるように
でも暫くしたらそれも快感に変わっていく
目の前のエドワードが初めて怖いと思った
そして綺麗だとも



【漢字】のはじめてみる表情にエドワードは気を良くしていた
はじめてキス以外で【漢字】の声を聴いた気がする











これが初めて【漢字】の血の味が分かった瞬間だった









その幸せなときもロイによって奪われる

















パンッ












乾いた音が部屋に響いた





私がうすっらと見えたのは愛しい人の背中が真っ赤に染まっていた事・・・







撃った人が視界入る前に私は意識を失った


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