寝転がって考えるのは貴方の事だった



『カタカタカタ・・・・』パソコンのキーボードの音。

『カタ・・・』白い指先がEnterボタンを押す。その途端ずっと画面を見つめていた朱に近いオレンジ色のの瞳が画面から離れ、

先程までキーボードに触れていた指先がブロンドの髪を結っていた紐を軽く引っ張り軽いウェーブのかかった髪をバサリと下ろす。

はァ・・・とため息をつくとボソリとつぶやく。「さすがの俺様も3日間不眠はキツいぜェ・・・」

そう。クルルは徹夜で書類の整理と提出用の経過報告書をまとめていたのだ。

隊長がやれよとかそういうのは言ってはいけない。口が上手いケロロだがいささかぼんやりしているのでいつ口を・・ボロが出てしまうか判らない。

という事で作戦参謀でもあるクルルが作戦内容と需要、結果を記し、ケロン軍本部に送っているのだ。

とことん使えない隊長である。

疲れているせいか目元のクマが濃いな・・・まァいつもの事だがなァ。くっくっく・・・寝りゃあ消えるだろォよ・・・。

そう考えめったに使わない仮眠用ベッドにゴロリと寝転がる。 ふと脳裏に赤い色が甦る。

ここんとこ会ってねェなぁ・・・あのオッサンクソ真面目だかんなァ。

また隊長に罵声飛ばしてんだろうな・・・くっくっく・・・飽きないこったぜェ。。

それにしても普段なら地球侵略兵器の作成具合はどうだとか言ってズカズカ入って来んのによォ・・・一週間以上来てないぜェ・・・

ま、報告書作ってるって誰かに聞いて入って来んのやめたってとこか・・・?

ふと気付くとオッサンの事ばかり考える。

あんなウザったくて暑苦しくて大嫌いなヤツの事考えてるなんてどうかしてるぜェ・・・

しかも容易に想像出来る隊長に罵声飛ばしてる姿や夏美の前で真っ赤になってる姿を想像して顔がニヤけてるってこった。

マジでどうかしてるぜェ・・・・。

俺様も落ちたモンだぜェ。

あんなオッサンの事・・・・

想ってるだなんてよォ・・・。

ましてや大ッ嫌いで敵である地球人の女にベタ惚れな男をよ。

こんな感情初めてだった。

あの人が他のヤツと話したり笑いあったりしているトコ見るたびイラついたり、嫌がらせしたくなったり。

本気になんてなった事無かった。なる事も無いって思ってた。

嫉妬なんて言葉俺の辞書には無かった。する事も無いって思ってた。

アンタは勝手にラボン中だけじゃなくて人の心ン中まで入り込んでた。

俺が心を開かないって判ってるから誰も開こうとしなかった。

けどあの人は無理やりにでも・・・いや無意識に俺の心を開いてた。

俺が・・・開いても良いって思ったのかは判ンねェ。

まァ良いぜェ・・・俺様の心に入ってきたんだからな。

ぜってェ振り向かしてやるかんなァ・・・・

あんな女の事なんてどうでもよくなるぐれぇ夢中にさせてやるぜェ。

その前に朝まで一眠りしてあの人に会いに行こう。

そんで俺の居ぬ間にちょっかい出しているであろう隊長やブラコン兄貴をひっぺがしてラブラブなとこ見せ付けてココまで連れてきて楽しい実験と行こう。

俺様を本気にさせた罰だぜェェ??

く〜くっくっくっくっくぅ〜


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