煩いほどににゃーにゃーと文句。



眠い。本当に眠い。

ああ、眠いのは仕方がないことか。

両腕に感じる人の体温に、この眠たさの原因を思い出しながら、今だ腕の中で眠るその者の姿を目に入れようと視線を落とした。

 

ヒク・・・・

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ヒク・・・・・・

動くオレンジ色のもの。動いている・・・・・・

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

猫・・・?猫耳・・・・?いや、しかし何故猫耳?てか生きてるのか?

ヒク、ヒクと風の音に反応するように動くその耳に、そっと手を伸ばした。

感じるその毛並みの良さに感心しながら、強く掴んでみた。

 

 

「ミギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

 


大声で叫んだかと思えば、耳を押さえ後ろへと逃げるように移動しようとするが、自分の体が何も着ていないことを思い出し、仕方なくか恋次の胸へと抱きついた。オレンジの耳が何か音を探るようにヒクヒクと動き、新しく視界に入ったそのオレンジの、毛を立てているものを見て軽いめまいに襲われた。


「・・・、これ・・・」

「なに、これ?ねえ、何?何なの?あたしはどこの愛玩用モルモット!?!」

「落ち着けって、本当に」


もうかなり涙目のの頭を軽く撫でてやりながら、ありえないぐらいにやばいこのシチュエーションに、恋次は視線を逸らした。

夜の激しさを物語るもの赤い華に、素肌に猫耳尻尾と言うのは軽く理性を失わせてしまう代物だ。

今すぐもう押し倒し、朝食へとありつきたいと思う反面、今日コイツは現世へ戻るのだからなんとかしなくてはと善良な心が働く。本当は邪心の方がはるかに働いているのだが。

「どうしよう・・・・これじゃあ帰れない」

「・・・・・・・・」



よし。このままでいさせよう。


現世になど帰れば、もうそう簡単にに会いに行く事はできない。

いつか戻る事は分かっていた。だから毎晩毎晩を求めていたのだ。だが、この状態でが現世に戻るのはかなり厄介である。

ナイスだ!どこの誰だがしらないが!


「恋次ぃ・・・・どうすればいい?やっぱ、ここに残ったほうがいいのか?」

「・・・・・その方がいいだろ?その姿で現世に戻ってみろ。珍獣扱いされっぞ」

「・・・・・・・・・・珍獣は夜一さんだけで充分だ」


ボソッと悪態をつくの頭を撫でてやりながら、とりあえずは着る物とあたりを探す

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


、死覇装・・・」

「・・・・・恋次が風呂場で脱がしてそれっきり・・・」

「「・・・・・・・・・・」」


ああ、びしょ濡れだな。

着る物が無い事が判明し、何か貸そうと恋次は重たい腰をあげた。

だが、こちらに脱兎の勢いよろしく物凄い足音たててやってくる霊圧に、立ち上がるのを止めた。いや、止めざる終えなかった。


、どうした・・・・・・・・・・ッ」

猫耳と尻尾でシーツに包まり、恋次にしがみ付いている妹の姿。そのあられもない姿は、別に一護が赤面するような物ではなかった。

ただ、その首筋に見えた紅い物に赤面をしたのだ。


「恋次・・・・てめぇ・・・」

「一護、死覇装貸して!!!」


恋次から一護へと抱きつき、死覇装を貸すように強請った。ここは恋次の部屋なのだから、今着ているのしかない一護にねだっても意味が無い。だが、は恋次と一護を天秤にかけ、一護に物凄い勢いでかたむいただけ。悪いのはではない。天秤にかけられ負けた恋次だ。






一護の死覇装に身をつつんだはいいが、その姿はかなりエロい。一護と恋次が両側に立ち、野郎共を睨み霊圧をバシバシ放つことによってその視線は回避できた。だが、隊長格はそう簡単に行かない。


「おやまぁ、可愛らしくなってちゃん」

「どうしたんだ?そんな・・・・・その・・」

「ハッキリ言え!ハッキリ!!」

尻尾を逆立て、耳も綺麗に立たせては怒りを示した。あまり尻尾を立てると見えるぞと忠告しながら、恋次はさりげなくの尻を触る。その手を一護が叩き落とし、は見上げるように恋次をにらみつけた。


「どさぐさにまぎれて触るなぁ!!」

「いいじゃねえかよ、今更」

「今更とかいうな!てゆーかさっさと四番隊連れって!連れてけ!そこどけ阿呆コンビ!!」

「・・・・・・・なんか、いつもよりうるせえな」


にゃーにゃー言っているわけではないが、その耳と尻尾の影響か、今日は僅かかにうるさく感じ取れた。

苦笑をしながら道をゆずる京楽と浮竹だったが、その開かれた向こうに見える人物に、は瞬歩を使って逃げた。逃げた方向は四番隊。ならいいか。


「・・・・・・・・・・今のは・・・・・・・・・」

そりゃ逃げたくなるよな。

どういうわけか敵視している白哉に、今の姿を見られるのはにとってはかなりの屈辱。そりゃ瞬歩使ってでも逃げるわなと、首をかしげる白哉に気にするなと一護は一言言った。










「で、帰れないのか?」


しくしくと恋次にしがみ付き泣くの頭を撫でながら、何改めて聞いてやがんだよお前は?と恋次に睨まれた。

確かに、その耳と尻尾で今現世に帰ったら間違いなく浦原の格好のえさに・・・・・・・・・それを思うと、ここに残ってその呪いを解くのが一番なのだろう。

呪い。そう、あのもしかしたら奥様から人気を取れるかもしれない演技をしてないと言い張る演技の貴公子藍染が、なにかしらの呪いをのかけたのだ。

その呪いは一生付きまとうものではないが、何そののろいが解けるのか分からないらしい。現世にもどるようりも、尸魂界で元の姿に戻るのをまず待つべきだ。

それが、卯ノ花がに持ち上げた提案。それをはのんだ。


「でもよ、その間どこに住むんだよ?」

「俺が面倒みる」


即答で答えた恋次の顔面に、一護の拳が決まった。見事にきまったそれに、周りで観戦を決め込む隊長副隊長。

石田達に関しては少し動揺している。


「俺が面倒みるだあ!?!ああ?!」

「何きれてんだよお前?!いけないのか?俺がの面倒みんのがそんなにいけないのか?!」

「どうしてをお前と同じ屋根の下に住ませなきゃいけないんだよ?!あ?俺は認めねえぞ!!」

「お前に認められる筋合いなんかねえよ!がそれでいいって言ってんだからいいだろ?!」

「本当にこんな眉毛でいいのか?!」

「眉毛関係ないし!え?何?この眉毛じゃ駄目なの?別に眉毛きにしなきゃ言いだけの話しじゃないの?」

「眉毛眉毛言うな!!」





いつのまにか話しが脱線。やけに高く響く文句は、の声。なぜかいつもと違うように思えるのは、やはりその尻尾と耳のせいなのだろうか?




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