暁の誓い









「さっみー!」
「…大丈夫?兄さん…?」


元日の早朝。エドとアルは、朝日が良く見えるという丘の上に来ていた。
冬の朝の、身を刺すような寒さに、エドはさっきからずっと震えている。
アルは、せめて兄が風に当たらないようにと、風上の方に立った。


体があれば、くっついて暖め合うこともできるのに…。

こういう時は、自分の鎧の身体が心底恨めしく思う。


「もうダメだ!寒すぎ!なぁ、アル。手合わせしよう?」
「え…?」
「体動かしてないと寒くてダメだって!だから、な?」


なるほど。
これも昔から寒い時によくやっていた。
それなら今の僕にも出来るな、と思って、アルは少し嬉しくなる。


「分かった。今年初の手合わせだね。」
「あぁ。手加減なしで来いよ?」
「もちろん。」


そう言うとお互いに少し距離をとって。
一礼をした後、す、と構えた。



緊張の一瞬。



「いくぞ!アル!」
「うん!」











********



「ちっくしょー…。また負けた…。」
「そう簡単には勝たせないよ?これで今年は僕の1勝0敗だね♪」


結果は、やはりアルの勝利に終わった。
エドは地面に寝っ転がったまま、荒く息をつく。


「ちぇっ。でも、今年は1回でも多く勝ってみせるからな!」
「ふふ…。僕だって、負けないよ?」


そう言ってお互いに、不敵に笑い合う。
するとアルが突然、何かに気付いたように「あっ」と声を上げた。


「兄さん!もうすぐ初日の出、見えそうだよ!」


アルがエドの方に手を伸ばすと、エドはその手を掴んで起き上がる。


「お!本当だ!」


繋いだ手はそのままで、2人は朝日の昇る方角に向き直った。

太陽は、水平線の彼方から少しづつその姿を現して。
まばゆいその光を、2人は無言のままじっと見つめた。





今年こそは、

アルを、

兄さんを、



元に戻してみせる。




2人は心の中で、新しく生まれ出づる太陽に、誓いを立てた。


「兄さん。今、何考えてた?」
「秘密。アルは?」
「ん、僕?僕も内緒。」







新たな誓いは、心の中に。






「今年も、よろしくな。アル。」
「うん。こちらこそよろしく。兄さん。」

「じゃあ、戻るか!よっし、宿まで競争♪」
「あっ!待って!ずるいよ兄さん!」









今年こそは。
絶対に。

絶対に。















Fin.








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2005年のお正月に相互さんやお世話になっている方々に送りつけたお年賀SSでした。
もう時効かなと思い再利用。(駄人)

ぱっと思い付いてから、20分程度で一気に書いてしまった記憶があります。
短いなりにお気に入りだったり。

今年初の更新がこんなんですみません…!
不甲斐ない管理人ですが、本年もどうか「冥き黎明」を宜しくお願いします!


(作成日:05/01/01 加筆修正:06/01/31)








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