布団から出たくない





 目覚ましベルの音に、夢から覚めた。
まだ眠いので、目はまだ開いていない。
まだ鳴り続けているベルは、手だけ伸ばして、消した。
 冬が近づいてきているので、だいぶ朝や夜の気温が下がってきている。
外の空気はきっと、この布団の温かさとは全然違って、寒いだろうなぁ、
とそう考えただけで、布団から出るのが、起きるのが億劫になった。
 そのうちタケシが起こしにくるだろうけど、
それまではまだ布団の中にいよう。
うとうとしていよう。
少しだけでも、さっきまでの夢の続きが見られるかもしれない。
 とても幸せな夢だった。
あいつが出てきて、マサラを旅立つ前の時みたいに、一緒に遊んだ夢だった。
懐かしくて、まだ見ていたかった。
なのに、あの目覚ましめ、と少しだけ逆恨みする。
 あいつは今ごろ何しているだろう。
もう起きて、自分にはまったくわからない研究でもしてるのだろうか。
それか、オーキド博士みたいに、ポケモンの世話から始めるのだろうか。
それとも、自分みたいに、まだ布団の中でうとうとしているのだろうか。
どっちにしろ、あいつのことを考えると、心の中までぽかぽかしてくる。
なかなか会えないから、寂しくなることもあるけど、
でもその分たまに会えた時がものすごく嬉しいから、ここは我慢だ。
少なくとも今は、さっきの夢がシゲルと会わせてくれたから、
きっともう少しはがんばれる。メールだってあるしな。
 タケシはまだ起こしに来ない。
ならさっきの夢、もう一回見られないかな。
色々考えたので、意識はだいぶはっきりしてきたけど、
まだ布団から出ていないから、
まだ外の空気に触れていないから、
夢との繋がりはまだ切れていないはずだ。
もうちょっと、もうちょっとでまたいい夢見られるような気がするんだ。
 誰かが近づいてくる足音が聞こえた。
きっとタケシだ。
ちぇっ、もう少しゆっくり来てくれればいいのに。
「サトシ、朝だぞ」
やっぱりタケシの声だ。
返事する代わりに、布団の中に潜り込んだ。
「もうみんな起きてるぞ」
わかってる、わかってるよ、タケシ。
でもシゲルに会いたいんだよ。
やっぱ、ダメか、目、覚めちゃったもんな。
くそ〜、もう少しで会えると思ったのに……
「もう少しだったんだぞ!」
そう大声で言いながら、目を開いて、飛び起きた。
 しまった。自分から起きてしまった。
自分で出たくなかった布団から出てしまった。
外の空気の冷たさに触れたから、完全に目が覚めてしまった。
タケシはオレが寝ぼけていると思ったのだろう、少しも動じなかった。
「おはよう、サトシ。先に食堂の方に行っているからな」
そう言い残して、さっさと行ってしまった。
 しょうがない、夢で会うのは諦めよう。
その代わり、今すぐシゲルにメールしよう。
起きてたら返事してくれるだろうし、
もしまだシゲルが起きていなかったら、このメールで起こしてやろう。

 よし、一日を始めよう。

























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サトシ、前向きに、うだうだしてます。