三代目拍手(2006.7.30〜2006.12.31)





それぞれのアプローチ


幸村の場合 (サナダテ)




 真田幸村は、はっきり言って犬だ。
無闇やたらに突進してくるところは猪とも言えるが、やっぱり例えるなら犬だ。




「ぅむわっさぁむぅねどぬおおぉぉぉ!!(政宗殿ー)」
どこから出ているんだと半ば感心する程の大声で、幸村がいつものように真っ直ぐ突進してきた。
ちなみにこれで三回目だ。




一回目は、政宗も油断していた。
ひと休みして、のんびりと愛用の煙管で喫煙していた時だった。
「ぅむわっさぁむぅねどぬおおぉぉぉ!!(政宗殿ー)」
と、いきなり幸村が突進してきた。
どこから来たんだ、お前は、
と心の中でツッコミを入れておいた。
「……」
しかし政宗は、幸村がてっきり自分の正面で止まると思っていた。
だって普通そういうもんだろ。
しかし幸村はそれに当てはまらなかった。
「――ぐえっ!」
そのまま政宗に突っ込んできたものだから、結構間抜けな声を上げ、政宗は強かに畳に頭を打ち付ける。
そらもう、全速力だからすごい勢いだ。
おかげで星が見えた。
 で、気が付いたらそのまま押し倒されていた。
「政宗殿、お久しぶりにござりまする!お会いしとうござった!」
しかも気にせずに、普通にこの体勢で嬉しそうに話しやがる。
ダメだ、こいつ。
「……Hey、幸村よぉ」
頭が痛いのはさっき打っただけじゃねぇよ、絶対。
自分の上に覆い被さっている幸村を見上げ、呆れた様子で声をかける。
「何でござりましょう?」
何でこんなに嬉しそうなんだ、こいつは。
無駄に目を輝かせ、幸村は手招きする政宗に顔を近付ける。
「とりあえず、は な れ ろ」
言うと同時に、持っていた煙管を幸村に頬に押しつけた。もちろん熱いところ。
これが一回目。




二回目。
「ぅむわっさぁむぅねどぬおおぉぉぉ!!(政宗殿ー)」
おお、おお、走ってきやがるよ。
元気が良いねぇ。
一回火傷したぐらいでは幸村は懲りないし、一回経験しているので政宗は対処できた。
「むわすぁ――ぐはぁっ!!」
案の定一向に止まる様子のない幸村の顔面に、政宗は拳を一つお見舞いした。
幸村の突進力も合わさって威力は凄まじかった。
相手は違っているが前回の様に間抜けな声が上がり、幸村は盛大に吹っ飛ばされた。
これが二回目だ。




で、前述通り今回で三回目。
「ぅむわっさぁむぅねどぬおおおぉぉぉ!!(政宗殿ー)」
「……」
突進してくる幸村を無言で睨み付け、静かに刀に手をかけた。
「!」
鞘から覗く刃に気が付き、幸村は足を止め、なんとか政宗の正面で踏み止まった。
「お、お久しぶりにござりまする」
両手を挙げ、殺気と半分抜かれた刀の鋭さに冷や汗をかきながら、
幸村は笑顔を作って挨拶した。
「グーッド、やればできるじゃねぇか」
物騒な笑みを浮かべ、政宗は刀を収めた。


こんな感じだが、幸村と政宗はやることはやっている。









慶次の場合 (ケイダテ)




 慶次は、そこらへんは幸村よりよっぽど利口だ。
というか、頭が回る。
「邪魔するよ、独眼竜」
ゆっくりと政宗のいる部屋に入ってきて、慶次は正面に腰を下ろした。
「ホントに邪魔だ、早く失せろ」
眉を顰められるのも、そう言い捨てられるのも、もう慣れた。
というか、政宗はこういう言い方しかできないのだ、と慶次は思っているし、あながち間違いでもない。
「良いもんが手に入ったんだ。あんたに見せてやろうと思ってな」
「てめぇの言うことなんざ、当てになんねぇよ」
そう言いつつ、慶次が懐を探り出したので、政宗はそれに目を向けた。
気になることは気になるのだ。
「お、これだこれ」
探り当てたのか、拳を握り、慶次は懐から手を出した。
「何だ?」
「見てみなよ」
慶次が手招きすると、政宗はそろそろと膝歩きで近付いてくる。
「見えねぇ…」
開いた拳を覗き込むが、何も見えない。
「もう少し近付かないと見えないよ」
「……」
少し不審そうに慶次を見たが、政宗は更に近付いてきた。
すぐ側まで来て、慶次の手の中を覗くが、やはり何もない。
「何もねぇぞ」
そう言って、政宗が慶次を見上げた時が慶次の狙い所だった。
抱き締めた後、慶次は政宗を押し倒した。
「てめぇ、騙したな!!」
暴れる手や足を押さえて、慶次は満面の笑顔で政宗に微笑みかけた。
「俺にとっての良いもんは、あんただけだよ」


そんな感じで口説いたら、直球の押しに割と弱い政宗は少したじろぐ。
何だかんだで政宗も慶次に惚れてるからだ。
その隙に、この先へともつれ込ませる。
最初は嫌がって暴れても、そのうち大人しくなるし。


だから二人はいつもそんな感じだ。









シゲルの場合 (シゲサト)




 シゲルはまた違う。
サトシと二人きりになった時が狙い目だ。
だから誰もいない時を見計らって、サトシの前に現れる。
誰だって、他人がいると気分が乗らないものだし。
サトシはスキンシップが好きなので、撫でると喜ぶ。
アレな意味じゃなくて、普通に頭を撫でたりすると実は結構喜ぶのだ。
「何だよ、いきなり」
そうは言うものの、二人きりだとサトシもいくらか素直なので、
ソファに寄りかかって、シゲルのされるがままにしてやる。
 シゲルは隣のサトシの髪をくしゃくしゃと撫で回す。
くすぐったそうに笑うサトシに対し、誘っているみたいだな、という感想を抱きながら、
シゲルは今度はサトシの頬を撫でた。
「サトシ」
息を吐く時のように自然に優しくサトシの名前を呼び、シゲルはサトシに顔を近付ける。
「シゲル…」
それにサトシは頬を赤く染める。が、嫌がりはしない。
そんな雰囲気になったら、しめたものだ。
触れるだけのキスをして、真っ赤になるサトシにシゲルは微笑みかける。
「していい?」
一応尋ねるのはシゲルの律儀さでもあるし、少しの罪悪感からだ。
「……」
先程よりももっと真っ赤になって、サトシはしばらく何も言わなかったが、
「…いいよ」
と答えた。
ちなみに答えずに、ただ頷く時もある。
色々あったけど、サトシが自分を受け入れてくれることに幸せを感じつつ、
シゲルはサトシを抱き寄せる。
あとはご想像に。



当然、嫌がる時だってある。
その場合は、大抵は恥ずかしさに堪えきれずに逃げ出そうとする。
「きょ、今日はダメだ〜!」
そう叫んで、そのまま逃げてしまう時もあるし、掴まえられる時もある。
運良く掴まえられた時、シゲルは苦笑しつつ、サトシをもう一度抱き締める。
「なら、キスだけ」
言葉通り素早くキスだけすると、シゲルはサトシを解放する。




どちらにしろ、その後はいつも通りだ。
そこらへんが幼なじみの強み。









グリーンの場合 (グリレ)




 グリーンはそれよりもっと積極的だ。
というよりは、自分の欲求に忠実だ。
「レッド」
ベッドに寝転んで読書しつつ、くつろいでいるレッドに声をかける。
「何?」
本から目を離さずに、レッドは声だけで返事をする。
グリーンは近付いて、寝転がっているレッドに覆い被さった。
「何したいの、お前?」
「したくなった、やらせろ」
それだけ言って、顔だけこちらに向けたレッドに、早速口付ける。
もごもごと唸るレッドの体勢を変えさせ、こちらに向けさせると、服を脱がしにかかる。
「バカ、止めろって」
困ってはいるが、先程のキスのせいか満更でもない様なので、グリーンは気にしない。
「…お前も好きだねぇ」
諦め混じりに、苦笑しながらレッドはそう言ってやる。
「お前もな」
グリーンもそう言い返す。
「終わった後、動けるぐらいの体力は残しておいてくれよ」
料理とか洗濯とか、やることはあるんだぜ、とレッドが所帯じみたことを言うと、
グリーンはしばらく考えた後、言ってやった。
「動けない時は、オレがしてやる」
「…期待しないでおくよ」
ため息をついて、レッドからグリーンに口付けた。



で、レッドだって嫌がる時もある。
「嫌だ、今日はしない」
「オレはしたいんだ、やらせろ」
「い や だ !」
頑としてきかない時に無理矢理したら、一ヶ月程おあずけを食らう(前科あり)ので、
グリーンもこれ以上は強く言えない。
「…何でしたくないんだ?」
気分が乗らなくても、そのうち乗ってくるだろうし、来客の予定もない。
問題ないはずだ。
「何もないはずだろう?」
「オレには家事という仕事があるの!」
拒否の理由は大体これだ。
やっぱり所帯じみている。




実はこの二人は誰よりも熟年している、
かもしれない。









元親の場合 (チカダテ)




 元親はその辺は誰よりも楽だ。何しろ相手が超協力的だ。
 したくなった時に、まずは声をかける。
「なぁ、政宗」
「…何だよ?」
気怠そうに返事をする政宗に、とりあえずお誘いしてみる。
「やらねぇか?」
「……」
しばしの間冷たい目で元親を見ていたが、政宗は億劫そうに側まで近付き、
盛ってんじゃねぇよ、と憎まれ口を叩きつつも寝転んでいる元親の上に乗っかってきた。
「仕方ねぇから付き合ってやる」
そう承諾して、政宗の方から口付けた。
お前も十分盛ってんじゃねぇか、という感想を抱きながら、元親はその先に及ぶ。



 政宗から誘う場合だってある。
「元親」
呼ぶと同時に政宗は元親を押し倒す。
「どうした?」
押し倒されながらも、返事すると、
「やらせろ」
とほとんど脅しめいた口調で誘ってくる。
「…強引な奴だ」
苦笑混じりの笑みを向け、腕を引っ張って抱き寄せる。
そして色々としながら互いに着物を脱がしていく。




が、こんなんでもやっぱり政宗はちゃんと受けだし、元親は攻めだ。
念のため。

























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