バサラ風邪ネタ


バカはバカなりにバカやってんだ! (ケイダテ)




「馬鹿は風邪引かないって言うが、ありゃ嘘だな」
「それはあんましじゃない? 伊達男さん」
障子を開けた途端の言葉と、心配どころかからかい混じりの声音に、慶次は思わず言い返した。
「そう思うだろ、夢吉?」
政宗の肩に乗った夢吉に同意を求めるが、
夢吉は誰から貰ったのか(予想はつくが)、団子を食べるのに夢中だ。
「夢吉、馬鹿も引く風邪だ、近付くんじゃねぇぞ」
くすくすと忍び笑いながら、政宗は持っていた団子を串ごと夢吉に渡した。
夢吉は嬉しそうに団子を受け取ると、愛想良く、きい、と一鳴きした。
「夢吉ぃ」
恨みがましい声を避けるように、団子を手に持ったまま、夢吉は政宗の肩から飛び降りると、
再び部屋の外へと出て行ってしまった。
「Ha-ha、近付きたくねぇってさ」
先程夢吉に言った言葉を自分自身も守っているのか、慶次に近付かずに、部屋の壁にもたれたまま、
政宗は楽しそうに笑いながら、そう言った。
「あんたも大概ひどい人だねぇ」
「夢吉もな」
くつくつと笑い、しかし漸く政宗は床についている慶次の側に腰を下ろした。
「具合は?」
「あんたが冷たいから、何か寒気がしてきた」
ふて腐れ、慶次はごろんと横になると、政宗に背を向けた。
「Oh、It's a joke. 本気にすんなって」
苦笑混じりで声をかけ、慶次の背中を指で突っつくと、慶次が顔を半分程、政宗の方に向けた。
「こちとら、わざわざ加賀まで来てやったってのになぁ」
「……」
「そういや真田幸村も風邪引いたとか言ってたなぁ。
客に背を向けたままの奴なんか放っておいて、そっちに行った方が楽しめそうかもなぁ」
見え見えの売り言葉ということは分かっているし、でも仮にも病人なのに、
と色々な不満を口には出さずに抱いたまま、
慶次は先程夢吉に向けたものより数倍恨みがましい目を政宗に向けた。
「政宗の意地悪」
「意地悪はどっちだよ、いい加減こっち向け」
政宗の拗ねたような口調に驚き、慶次は慌てて半身を起こしながら、政宗の方を向いた。
政宗はにやにやと笑みを浮かべたままだ。
ひどい、騙された。
流石にムカムカとしてきて、もう一度そっぽを向いた。
「慶――わっ!」
流石にやりすぎたか、と少々声音を優しくして、再び慶次に呼びかけた時だった。
突然、そっぽを向いていた慶次に押し倒された。
「ひどいよ、政宗」
組み敷いた政宗に、拗ねた口調でそう言うと、政宗が漸く謝ってきた。
「sorry、sorry」
「許さない、って言ったら?」
「そん時ゃ、さっさと上田に行くまでだ」
いつも嘘ばかりつくくせに、こういう時だけ、本気の口調だ。
「ホントにひどいな、あんたは」
「ひどくねぇさ。こっちは、まず、アンタの見舞いに来てやってんだぜ?」
「……」
「上田と加賀両方から文が着て、遠い加賀の方にまず来てやったんだぜ? 小十郎の小言、覚悟の上で。
これだけ言っても、まだ意味分からねぇか?」
「あ…」
つまりそれは、何よりも俺を優先して来てくれたってことじゃないか。
ああ、ホントに俺ってバカだった。
「政宗、大好きっ!!」
押し倒していた政宗に勢いよく抱き付いた。
バカ、どけ、風邪が移る!
って言われたけど、口調と対照的に、背中を叩いてくれる手も、表情も、優しかった。

























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伊達は子供好き(でかさは気にしない)
そうやって油断してるから食われるんだよ。