ネコ騒動 後日談


 それから、シゲルの案内で、シュウはその日の内にトキワシティに辿り着いていた。
「……何で簡単に分かるんだ……」
シゲルに聞こえないように思わず呟いてしまった。
シゲルの頭の中はどうなっているんだろう。
やはり、人間に飼われていると、頭が良くなるんだろうか。
あんな芝居で人間からヨサファのことを聞き出していたし、などと考えていて、
そういえば、とあの時何となく考えたことを思い出した。
あの博士は、本当は、シゲルの正体を知っているんじゃないのだろうか。
いやいやまさか。分かっているなら、シゲルのことを色々と調べないはずはない。
人間っていうのはそういうものだと、シュウは経験的に知っているのだ。
「それじゃ、僕は帰るよ」
一匹色々と考えていたシュウに、ネコの姿に戻ってから、シゲルは声を掛けた。
「どうもありがとう」
我に返り、礼を言うシュウに微笑して、シゲルは去っていった。
博士のことを聞き損なったが、
まあいい、もう会うこともないだろう、と自分の方向音痴を棚に上げ、
シュウは今日は疲れたと大きな欠伸をするのだった。








 サトシは自分の前足をにぎにぎと動かしてみる。
それからハナコママに触ってみるが、ハナコママに不思議そうに見つめられただけだった。
「……エネルギーか……全然わかんないな」
あれから数日後、改めてシゲルと再会した際に、色々と説明してもらったが、
いつも何となく、しかも不完全な変身しかできないサトシとしては、
何の実感もないし、正直説明を全部理解できたわけでもなかった。
「タケシ、どう思う?」
タケシのところまで遊びに来て、事の次第を説明すると、
それより、あれほどダメって言っていたのに保護区から出たな、とお説教されてしまった。
「シゲル、どう思う?」
また別の日、シゲルと待ち合わせていた時に、シゲルにも聞いてみる。
「まあ…いつもどおりでいいんじゃないか?」
ヨサファ的にはシュウの方が珍しいわけだし、そうそうこんなことはないだろうし、と続け、
それよりも、とシゲルに食べられた。




「……そうだよな、考えたってどうしようもないもんな」
終わった後に、ようやく納得したのか、サトシは頷いた。
それから、不意にというかやっとというか、そもそもの発端を思い出した。
「そういえば、シゲルは何であの日来なかったんだ?」
オレ、ずーっと待ってたんだぜ。
と文句を言うと、シゲルは思い出したようにポンと前足で地面を叩いた。
「博士が出かけてる間、家の中に閉じこめられていたんだ」
変身すれば脱出は簡単だが、正体がばれるかもしれないというリスクがある。
「何で閉じこめられるんだ? シゲル、何か悪いことしたのか?」
「するかもしれないから閉じこめるんだろ。
 それに何だろ、博士が家にいない時に、僕が勝手に出て行ったら、博士が怒られるんだよ」
マサラ山で生まれ育ったサトシに、人間のことはよく分からないし、
その人間に飼われるということがどういうことなのかもよく分からない。
ただ何となく思った。
「シゲルは大変だな」
だから、この前のことは許してやるよ、と言うと、
シゲルはにっこりと笑ってサトシに顔をくっつけた。

























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博士は何でも知っています。