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「……ヨサファ?お前も?」
目を丸くして、失礼なことに、彼は少年を指差した。
「まあね。君と違って、変身は得意なんだ」
正体を明かした後も、変わらぬ憎まれ口に、またもや少々機嫌を損ねられたが、
彼はこの少年に最後の望みを見出した。
 彼は膝を立てて立ち上がり、少年の腕を掴んだ。
彼の思わぬ行動に、少年は眉を寄せる。
構わず彼は言った。
「助けてくれ」
「……」
「この縄取れないんだ、頼むよ」
「……」
いきなり何を言い出すかと思えば、と少年は少々呆れながら、彼を見る。
「助けてくれたら、何でもお礼するから」
少年を見上げ、縋るように見つめてくる。
大きな白耳を頭に生やし、
これまた大きな黒い瞳――いや、よく見れば、雀のような色だ――
で見上げる姿は非常に愛らしいのだが、
自分の腕をしっかりと掴む、彼の腕の力は、正直痛くて、全然可愛くない。
だが、助けてやるまでは離してくれないだろうと、何となく理解した。
「……分かったから、腕を離してくれ」
「ありがとう!お前、いい奴だな!」
「…それはどうも」
笑顔の彼に、適当な返事を返して、少年はしゃがみ込み、縄を手に取った。
「……君、逆に引っ張っただろう。だから取れなかったんだよ」
彼が引っ張ったせいで、随分ときつく締まっていたが、少年はどうにか縄の結び目を解いた。
自由になった左足を両手で動かした後、彼は立ち上がった。
「やった、やった!」
さすがウサギというべきか、元気に辺りを跳びはね始めた。
どうやら、ケガはしていないらしい。
やれやれ、といった様子で、少年はため息をついた。
「あ、そうだ!」
思い出したように、彼は再び少年の元に駆け寄ってきた。
「助かったぜ、ありがとな。えーと……名前は?」
「……」
名前を尋ねるなら、先に自分から名乗るべきだろう、と思っていた矢先に、彼が付け加えた。
「オレはサトシ。マサラ山で暮らしてるウサギだよ」
お前は、と促されて、少年は仕方なく名乗った。
「……僕はシゲル。麓のマサラタウンに棲んでいる」
「……」
サトシがじっと自分の三角耳を見つめてくるので、
「……僕はネコだよ」
と付け加える。
「町に住んでいるのか、すごいな!」
サトシは尊敬の眼差しでシゲルを見つめてくる。
何がすごいのかは、シゲルにはよく分からない。
 が、突然サトシが叫んだ。
「あーっっ!!」
「……今度は何だい?」
「オレ、用事があったんだった!ゴメンな、シゲル、またな!!」
「ちょ……」
一方的にそう言って、シゲルに構わず、サトシは繁みの中へ走り去っていった。
「……」
またな、と言っていたが、おそらく、もう会うことはないだろう。
同じヨサファと言えども、ウサギとネコでは性質が違いすぎる。
上手く逃げたものだ、と半分感心した。
まあ、そんなものだろうな、
今日は台風にあったとでも思っておこう、
と諦めの境地で、シゲルは山を下っていった。
ちょっと残念に思う気持ちは、放っておくことにした。

























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せめて二人(二匹?)の名前くらいは出しておこうと思いました。
いかがでしょうか?
サトシは普通に白ウサギ、シゲルはロシアンブルーあたりをイメージ。
付け加えると、個人的にシゲルの瞳の色は青だと思うけど、
ロシアンブルーは目の色が緑なので、悩んだ末に、両方採用(笑)。
微妙なテンションのまま、次に続く……?