エンドスタート





 改めてそういうことになると戸惑ってしまう。
だが、けじめはつけなければ。
何せ初めてのことだ。
「……あの、ハルカくん」
「やめて!いきなり話しかけないで!!」
抱き合ってるというのに、それはあんまりじゃないか。
そう思いつつも、惚れた弱みかシュウは大人しく口を閉じた。
「…………どうして黙ってるのよ!!」
「……」
理不尽。
話しかけても黙っても怒られるのならば、一体どうしろと?
そう呆れたが、腕の中の彼女の耳の真っ赤さを見てしまえば、まあ仕方がないと思った。
「…じゃあ、独り言でも聞いてくれ」
シュウは自分の胸に顔を埋めたままのハルカにそう囁いた。




 シュウとハルカが、初めの出逢いからこうなることを誰が予想しただろうか。
お互いにいつ惹かれたかもいつ惚れたかも覚えていない。
気が付けば、堪らないくらい愛しい存在になっていたのだ。
自覚した時すらはっきりとは覚えていないけれど、不意に気が付いてしまった。
好きなのだと。
 ただし二人ともコーディネーターとしての関係があったせいか、
無意識にそれが前に出てしまってなかなかそれ以上の関係に進めなかった。
例え端から見れば十分のラブオーラを発していたとしても、
二人の思うコーディネータとしての関係が恋人同士のそれに見えなくもないものであったとしても、だ。
当人達が気付かない限りはどうしようもない。
そこらへんはやはりどこぞの幼なじみバカップルと似ている、かもしれない。
 だがしかし、めくるめくようなエピソードを経て、
二人はようやくお互いに好き合っていたことに気付いたのである!
むしろ気付くことこそが、二人にとっては何よりも重要なことだったのだ。




「…さっき言ったことに嘘は無い。僕は君のことが――むぐっ」
「いい!何度も言わなくていいから!!」
シュウの胸に顔を埋めていたハルカは、シュウの二度目の告白(不発に終わる)に慌てて顔を上げると、
両手を突き出してシュウの口を塞いだ。
おかげで抱き合っていた二人の身体が少しだけ離れた。
「何度も言わなくたって、分かってるわよ…」
シュウの口を塞いだままハルカは再び俯いてしまうが、未だに頬を赤く染めているのはすぐに分かった。
自分の口を覆っている手を握り、シュウは苦笑する。
「…ハルカ」
そう呼びかけると、ハルカは微妙に視線を逸らしながら顔を上げた。
「…どうしてシュウはそんなに冷静なのよ……」
「…そんなに冷静でもないんだけどね」
正直頭も身体も火照ったように熱いし、心臓はバクバクだけれども、
そこはそれ、オーバーリアクションの彼女を見れば、妙に落ち着いてしまう。
「と、とにかく、話を進めましょう!」
シュウにつられて少しは落ち着いてきたのか、
それともその逆が過ぎて訳が分からなくなってしまったのか、ハルカはそう促した。
シュウにとってはいい加減後者で無いことを祈るばかりだ。
「…そうだな」
それは置いておいて、シュウはハルカの言葉に同意してゴクリと生唾を飲んだ。
「…ハルカくん、僕は今までの僕らの関係を進めたいと思っている」
「…わ、私もそう思ってる…かも」
言い返しにも似た応えは、彼女の負けず嫌いな性格のせいかもしれない。
シュウは吐息めいた笑みを漏らし、今度はハルカの肩に手を置いた。
「じゃあ……」
「……うん」
ハルカは小さく頷き、覚悟を決めたのか漸くシュウを真っ直ぐに見据えた。
「最初は君からでいいかい?」
「……分かったわ」
ハルカの答えに、シュウはおもむろに自分の懐に手を入れた。
「じゃあ、宜しく」
そして、懐から取り出したそれをハルカに手渡した。
それを受け取り、ハルカは微笑した。
シュウも応え、笑みを浮かべる。




まずは交換日記から!





















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ちょこっと未来のお話。
当サイトのシュウハルが実際どうなるかは、定かではありませんので、
ifバージョンでお願いいたします。

3歩進んで5歩下がる、みたいな関係で良いと思うよ。