視界を覆う手の隙間から漏れる光を見遣り、取り留めもないことをぽつぽつと考えていると、
気が済んだのか、政宗が視界を覆っていたその手を外してくれた。
開けた視界に入ってきた政宗の頬は、閉じる間際と同じく朱が走ったままだったが、その隻眼は幾らか落ち着きを取り戻している。
その更に奥は、未だ物足りなさげに情欲の光を浮かべており、
自然それに誘われる形で官兵衛は己の身体が火照るのを感じた。
「……なあ独眼竜、お前さん年は幾つだ?」
棚上げのつもりでは無くこれで自他共にやり過ごせないかと思い、
顔を近付けてくる政宗をそう揶揄してみるが、逆手に取られた。
「少なくとも、アンタよりは若ぇよ」
言い捨て、政宗は官兵衛に口付ける。
唇の端を舐めながら、縦に長い瞳孔を拡げ、捕らえた獲物は逃がさぬと嗤って揶揄を返した。
「だがまあ、あまり変わらねぇだろう?」
中に収められたままの萎えてはいないそれを指し、政宗は己の舌を官兵衛の口の中へ滑り込ませた。
まだ躊躇い混じりの彼の舌を追い掛け突っついて、乗ってきたので一旦逃げて逆に自らの口中に誘い込んでみる。
「……いいのか?」
その誘いに乗りながらも、先程から耳に入ってくる表の物音を気にしてか官兵衛は政宗にそう確認してくる。
「まだ、いいさ」
少し考えたが、政宗は面倒そうに言い捨てた。
口中の舌に己のそれを絡め、戯れ混じりに相手の口へと押し返す。
「だがなあ……」
「あと少し、ぐらいなら、構わねぇって」
躊躇っているその時間すら惜しいと、乱れた呼吸で政宗が焦れる。
「悪く思わんでくれよ。どうもツキには恵まれないんでね」
言葉とは裏腹に、口吸いで遊ぶ内に、官兵衛の身体も熱さを増していく。
中を貫いたそれが再び芯を持って、先程出された精液で滑りつつも内壁を擦り、
それが気持ちよくて、政宗もまた自ら腰を揺らめかせ、淫らな音を口から漏らしていく。
「ん、っあぁ、いい、もっと」
「もっと?」
耳元で続きを問われ、耳の中で舌が直接滑った音を立て、鼓膜を震わせる。
熱の篭もった音と舌とに耳を侵され、請われるままに政宗は応えた。
「も、もっと、突いて、」
「こうか?」
含み笑って、ゆっくりと突き上げられるが、
奥を掠めるに留まり、温い刺激に政宗は眉を寄せる。
それでは足りないのだ。
自ら腰を動かしてみるがやはり届かない。
もっと強いものが欲しい。
それを分かった上で官兵衛は敢えて責め手を緩め、政宗を焦らす。
「っ、そこじゃ、ない、お、奥まで」
矜持を保つ余裕すらなく、堪えきれずに政宗が頭を振った。
込み上げてきた涙で片目を潤ませて、息も絶え絶えに官兵衛にねだってくる。
その様に嗜虐の心を尚もそそられたが、同時に情をも呼び起こされた。
両方に煽られ、中に埋めたままの雄が固さと大きさを増し、
それに政宗が吐息と声を漏らして、官兵衛の肩に頭を押し付けもう一度ねだる。
とうとう無下には出来なくなり、官兵衛は微笑した。
「悪かった。ちょいと調子に乗り過ぎたな」
詫びと共に肩口にある頭に軽く口付けた後、
官兵衛は政宗に断りを入れてから、両者の身体に挟まれていた自身の両腕を頭上の方へと持ってきた。
拍子に鎖に繋がった先の鉄球が動いたらしく、また器の割れる音がした。
やっぱりな、と独りごちてから、訝しげに眉を寄せその行動を見ている政宗に、官兵衛は苦笑混じりに声を掛ける。
「部屋は壊さんようにするから、大目に見てくれよ」
そうして、頭上に上げていた両腕を下ろしながらその間に政宗をくぐらせて引き寄せてから、
官兵衛は勢いを付けて腰を突き上げた。
熱く固いそれを根元まで押し込み、一度引いてまた打ち付ける。
内壁を広げながら身を穿たれていく衝撃に政宗が息を詰まらせたが、
繰り返しの律動に合わせるように、途切れ途切れに啼き声を喉から漏らしていく。
「っう、あ、あぁっ」
嬌声と荒い呼吸と滑った音とが混ざり合いながら部屋に響き、なけなしの理性を剥ぎ落としていく。
挟まれていた両腕が無くなった分身体は余計に密着して、先程よりも更に奥を抉ってくる。
無意識に引きかける腰も、両側の腕と背後の枷に阻まれ逃げられない。
奥まで貫かれ、抜く際には先程知られた感じどころを撫でられ、
その強い刺激で再度反応を見せていた政宗の性器の先端から先走りが溢れ、互いの腹に粘液を塗りつける。
先端が擦れる感触すらも快楽となり、甘い啼き声がひっきりなしに漏れていく。
「あ、あっ、もう…っ」
「ああ、こっちもだ…っ」
速さを増していく性器の動きと、達する間際の中の収縮で、共に限界まで追い詰められ、
まず政宗が、中を穿つ官兵衛の雄に押し出される形で先端から精を吐き出す。
それから間もなく、官兵衛もまた低く呻いて政宗の中に吐精した。
 互いに肩で呼吸をしていると、官兵衛が鼻で政宗の頬を小突いてきた。
応えて政宗は彼に唇を重ねたが、息苦しさですぐに唇を離してしまう。
それに微笑して官兵衛は政宗の唇の端から零れてしまった唾液を舌で舐め取り、
腰を挟んでいた両腕を背中の方まで上げて彼を抱き寄せる。
少し驚いたが、力を抜いて政宗も官兵衛に身体を預け、乱れた呼吸を整える。
落ち着いた頃合いに、官兵衛が少しばつが悪そうに声を掛ける。
「……すまんな、二度も中に出しちまった」
出した手前、きちんと掻き出してやりたいが、この手では大した成果は期待できまい。
腹を下さないかと案じる官兵衛に、政宗は彼の肩口に載せていた頭を怠そうに上げて、微かに笑う。
「Never mind.」
「ね、ま……?」
「No worry. どのみち湯には行くつもりだしな」
異国の言葉に些か戸惑う官兵衛に、政宗がそれだけ付け加えてやると、
教えるつもりがないことを察して、官兵衛は少しその眉を顰めた。
そして常の如く皮肉を言うつもりか、その唇を弛緩させたが、結局は何も言わなかった。
それに笑みを零した後、政宗は官兵衛に預けていた身体を少し起こして彼を見下ろし、代わりに問う。
「少しは、楽しんでもらえたかい?」
相も変わらぬ小生意気さを表に出して、政宗は官兵衛を見下ろす。
つい先程まであれだけに乱れて甘えていたことなど、おくびにも出していない。
それを指摘された場合の政宗の反応は容易に想像がつくので、それについては何も言わずに留め、
官兵衛は政宗の問いに頷いた。
「ああ、存外ここは心地良いもんだな」
二重か三重か、含ませたものに全て気付いたかまでは知らないが、
その意外にも素直な答えに政宗は二、三度目を瞬かせる。
が、持ち直して、再びその臥竜の眼を細め唇の端をつり上げると、
そのまま官兵衛の顔に近付ける。
「だったら、また来いよ。いつでも歓迎するぜ?」
唇を重ねられ言の葉は紡げなかったので、政宗の背にある両腕で官兵衛なりに政宗を抱き締めて、
それを官兵衛は応えとすることにした。

























Novel TOP





ムダに荒ぶってたので、がっつりエロを書くぞーという意気込みはありました。出来は置いといて。
で、安心の黒官オチにしようとしたら色々と止められました。


以下どうでも良い補足。
ねりぎってのは現代でいうローションのことで、
実際は粉末状のものに水を加えて滑りを出して使うようですが、
ここでは既にその状態にしたものを準備させたってことにしておいてください。
黒脛巾は抜かりないよ。

あとは何かな、伊達のドSのくせにS心をくすぐるのが上手な性質は、
こう見えて優しい官兵衛さん相手ですら有効だったという。パネェな。
と言いつつも、書いていて思ったのは、
この二人ってあまりやる気ないよねでした。
すぐ話を逸らしたがって先に進もうとしてくれないんだ。いや、個人的な感想です。