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おはようとおやすみのキスは必ずして。
お風呂のあとは2人でくっついてのんびりして。
1日に3回はあなたが大好きよって言う。
そういうのもありかもしれない。
でも私は別にそういうのに憧れたりしない。
だっていつもそんなことばっかしてたら、きっと飽きてくるし、鬱陶しくなることもあるかもしれないじゃない。



「グリード、髪の毛乾かしてー。」
1人でお酒を飲んでいるグリードに後からべたりと抱きついた。
私の髪の毛から落ちた雫がグリードの肩を濡らすと、彼は少し眉をしかめて私にデコぴんをくらわせた。
「風呂上りのスキンケアは大事だから30分は話しかけるな、っていつも言ってんのはお前だろうが。
 スキンケアはいいのかよ。」
それでもなおグリードにくっついて、その首筋にキスしてあげた。
「今日はいいの。」
彼の唇からキツイお酒の匂いがする。
私には絶対飲めない。
「なんで今日はこんなにくっつきたがるんだよ。
 ベタベタしすぎるのは鬱陶しいがお前の口癖だろ?」
そう言いつつグリードは私の唇を塞いだ。
途端に口内に苦い味が広がる。
「・・・にっがー・・・・。
 グリード、なんでこんな匂いがきつくて苦いのが好きなの?」
「ほっとけ、好きなもんはどうしたって好きなんだよ。
 それにこれでたまに甘いの飲むと美味い気がするし。」
「うん、それは分かるわ。」
「ホントにか?」
「マジマジ。」



別に普段から愛の言葉を囁いたり、優しく触れ合ったりしなくてもいい。
だってそうじゃないとそのうちきっと飽きちゃうし。
だけどたまには嫌になるほどべったりくっついて、
唇がふやけちゃうかもってぐらいキスして、
耳が腐っちゃうぐらいの甘い言葉を言い合うのもいいじゃない。
きっと素敵な時間になるわ。



「グリード私のこと大好きでしょ。」
にこっと笑ってそう言ったら、グリードは右の眉を少し傾けた。
「はあ?」
「私はグリードのこと大好きよ、だーい好き。
 ね、私のこと大好きでしょ?」
そしたらグリードはにっと笑って、もう1度私にデコぴんした。
「・・・・・まあは酒みたいなもんだ。」
「お酒?・・・・・あ。」






『好きなもんはどうしたって好きなんだよ。』







・・・・おでこが痛いじゃない、グリード。