回転木馬と鮫
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ある雨の日、道端に猫が捨てられていました。 赤い傘をさして歩いていた赤い髪の少年は、猫の前で立ち止まりました。 赤い髪の少年は不機嫌そうな顔でしばらく猫を見つめていましたが、 やがて、さしていた傘を猫にあげて、走って帰って行きました。 ある雪の日、木の下に猫が捨てられていました。 白いマフラーを巻いて歩いていた緑の衣の青年は、猫の前で立ち止まりました。 緑の衣の青年は猫を自分の住んでいるところに連れて行こうとしましたが、 いちばん仲良しの親友が、猫がきらいだったことを思い出したので、 白いマフラーをあげて、白い息を吐きながら帰って行きました。 ある風の強い日、街角に猫が捨てられていました。 蒼い服の裾をなびかせて歩いていた蒼い髪の青年は、猫の前で立ち止まりました。 蒼い髪の青年は特に何も思っていなさそうな、それかとても熱心そうな目で猫を見つめていましたが、 にゃあと鳴いた喉を撫でただけで、そのまま帰って行きました。 ある晴れた日、家の前に猫が捨てられていました。 あざやかな色彩の花束を抱えて帰ってきた青い髪の青年は、猫の前で立ち止まりました。 青い髪の青年は言葉も無く、びっくり顔で猫を見ましたが、 花のように優しく笑って、猫を抱き上げ連れて帰りました。 翌日のことです。 猫を連れて帰ってきた青年が、朝になっても起きてこないので、 皆は見に行きました。 彼は、自分の部屋で死んでいました。 猫が、かたわらで鳴いていました。 赤い命が、食い千切られた白い喉からあふれ、髪の色を蒼く染めていました。 猫は、優しい彼のことがとても大好きで大好きで、 彼を殺してしまったのです。 誰かが、ぽつりと言いました。 おれだって、ずっとがまんしていたのに。 ねこはころされ、じめんにすてられました。 彼は花に抱かれて、大地に埋められました。 彼がいなくなって、彼を殺したものがいなくなっても、世界はまわりつづけるので、 この話はここでおしまいです。 |