project/second ORIGIN
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そも事の発端は、彼らの神が崩壊を起こしたことにありました。 世界は消え去り、後に残った神さえも、既に元の形を保ってはいませんでした。 彼らに見えるのは、二つの数字の羅列のみ。 彼らは長い時間をかけてその数字を解読することに成功しましたが、 同じように並べても、彼らの神は元の姿を取り戻しませんでした。 なぜだろう、と彼らは考えます。 そして、ある日彼らは閃きました。 神が元に戻らないのは、神が神でいられる“世界”が無いからではないかと。 彼らは長い時間をかけて、消え去った世界にさわろうとしました。 しかし、一度無くなってしまったものは、どうしても現れてはくれませんでした。 それでも彼らは諦めません。 散らばる記憶をかき集め、失われた世界をもう一度作ろうとしました。 しかし、どうしても、まったく同じにはなりません。 少しずつ、少しずつ。僅かなずれが積もり大きくなり、違うものになってしまうのです。 彼らは段々と疲弊してゆきます。 彼らはまだ知りませんでした。 彼らもまた、彼らの神が崩壊を起こした時と同じ理由で、 ここから消え去ろうとしているのだ、ということに。 あらゆる道を模索して、あらゆる手を尽くして、 彼らはやがて理解しました。 原初の世界は、既に無いのだと。 あの美しい景色を取り戻すことは、もう叶うことはないのだと。 それでも彼らは諦めません。 もうどうしようもないのだと、痛いほど理解していながら。 彼らはようやく知りました。 彼らもまた、彼らの神が崩壊を起こした時と同じ理由で、 ここから消え去ろうとしているのだ、ということに。 それでも彼らは諦めません。 彼らは何としてでも、彼らの神と同じ場所にありたかったのです。 一人は言いました。 神の数字を並べ替え、新たな“世界”を作ろうと。 そしてそこに、皆で一緒に住まえば良いと。 もう一人は言いました。 神の形を書き換えるなんて、もってのほかだ。 神の数字は神の数字のまま。 皆で一緒に消滅しようと。 彼らは、そこではじめて袂を分かちました。 彼らは彼らの神の在り方をめぐり、争いました。 長い長い戦いの後。 一人が勝ち、一人が敗れ、負けた一人は向こう側へ追放されました。 彼は神を分解し、並べ替え、新たな“世界”を構築しました。 仕事をし終えたその時、彼の形に限界が訪れました。 消滅しないため、生きるために、彼は自らの形をも並べ替えました。 一人は二つに形を変え、なんとか生き長らえることができました。 しかし理が変わってしまったために、新たな“世界”に生きることは叶わなくなりました。 向こう側へ追放された彼も、形を変えて生きたのか。 それともそのまま死んだのか。 彼らには、確かめる術がありません。 神がさみしくないように。 彼らは新たな“世界”に、数多の“世界”を繋ぎました。 街に音が満ち、色が咲き、人があふれて。 それを幾度も繰り返しても。 それでも神は、元の姿を取り戻しはしませんでした。 その後その街に、その“世界”に、ある重大な転換期が訪れることになるのですが、 それはまた、別のところで語りましょう。 今はただ、すべてのものに優しい祈りを。 まことに、そうでありますように。
マスターハンドとクレイジーハンドとそれからタブーのお話 |