葦浦迷宮案内07







たち5人がホールに戻ると、瀬中・布久萩・繭・米神がすでに戻ってきていた。


「異常はありませんでしたか」


が瀬中に聞いた。


「ああ、この屋敷の中には俺たち以外いなさそうだよ」


ぶっきらぼうに瀬中が答えた。


「じゃぁ、犯人は僕たちの中の誰か、ってわけですね」
「!」


全員がとんでもない発言をした飛座に注目する。


「だってそうでしょう、他に誰もいないんだったら」


まるで「僕じゃありませんよ」とでも言うような余裕の微笑みで。


「もっとも、全員の部屋を探したところで盗まれた現金なんかは出てこないでしょうけどね。
きっとどこかに隠しているんですよ」
「現金が盗まれているの?!じゃぁ、強盗ってこと?」
「さぁ、どうでしょうね。そんな驚いた振りしたって、容疑者からは外れませんよ布久萩さん」
「ひどい・・・!!」


意地悪そうに笑う飛座。
嫌な奴だ、とは思う。


一方、攻撃された布久萩は顔を覆って須根の後ろに隠れた。


(犯人じゃないとは思うけど、さすがにそれはうそ臭いよ)


と彼女の行動を冷静に見ている。須根マジックにかかった布久萩をかわいそうだと思いながら。


「少し冷静になりましょう、皆さん」


須根が「皆さん」というよりは「飛座さん」とでも言うようにたしなめた。


「煩いな、あんただって犯人かもしれないんだ、僕は誰の指図も受けませんよ」
「オマエな!さっきから俺たちを犯人犯人って!!」


瀬中が飛座につかみかかった。


「やめましょうよ、瀬中さん」
「そうですよ、今争ったって仕方ないでしょう?」


繭と米神がなだめようとするが、瀬中はそれを聞かない。


「いいや、言わしてもらうぞ!そういう飛座だって充分に怪しいんだ!お前が犯人なんじゃないのか?!」
「何を言うんですか!僕は!」
「やめましょう、落ち着いてくださいって!」


ついに喧嘩になった二人を引き剥がそうと須根が入っていく。


きゃー、福武さんも戦ってーッvと心で応援しながら福武を見るだったが、福武はただおろおろと
その状況を見ているだけで手を出そうとはしなかった。ちょっとショック。




そうこうしているうちに、




ガシャーン!!




とスゴイ音が響き渡った。


もみ合った3人が台にぶつかり、その上に乗っていた花瓶が落ちて割れたのだ。


「お、お怪我はありませんか皆さん」


踝が3人に駆け寄った。

瀬中と飛座はようやくおとなしくなり、割れてしまった花瓶を眺めていた。

花瓶の破片が四方に飛び散っている。
それは少し離れていたたちの足元の方まで届いていた。


「・・・・・・」


はそれを眺める。

これだ、これかもしれない、あの部屋の違和感は・・・。

ぐっと顔を上げ、階段の方を見る。視界に入った須根も同じように何かに気が付いたようだ。





二人は同時に3階へ向かって走り出す。







「あ、おい、ちょっと!」

瀬中が呼ぶが、それはもう無視だ。







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