俺の躊躇いを包むみたいにして、カインは俺の上に乗る。ゆっくりと、沈み込んでくる。
お互いに、息を飲んだ。
だらり、塗りつけた潤滑油が、カインの太股を流れて落ちる。
「あ…………っ」
俺はカインの腰を支え、彼の動きを手伝う。俺の胸に手をつきながら、埋めていく。
きつい。そう思った。
「う、ぁ……あ」
汗ばんだ腰が震える。熱い中が蠢く。背に痺れが走った。
「すげ……全部……おさまった……」
痛みを堪えているのだろう。カインの額には汗が滲んでいる。
薄く開かれた目蓋から覗く碧眼が、涙に濡れていた。
「無理すんな。嫌ならやめても……」
「ここまできて……やめられるか……っ」
荒い息を吐きながら、カインは身を捩った。
くびれまで引き抜き、また埋め込む。潤滑油の湿った音が、俺の耳を支配していく。
「……エッ……ジ……っ」
指先で、結合部をなぞるように撫でてやると、カインは喉を晒して仰け反った。
「……んっ!や、やめ……!」
「……いっぱいだな」
ゆるゆると下から突き上げる。
力を失った手首を掴み、引き寄せた。腰を固定し、揺れる金髪を堪能する。
半開きの唇から、唾液が滴った。
唾液で濡れた唇に金糸がはりついている様が、何ともいえず淫靡だった。
「……なあ……あの野郎には、何回抱かれたんだよ?」
醜い嫉妬に胸を焦がしながら、囁く。
このいやらしい姿をゴルベーザに何度も見せていたのかと考えるだけで、頭の中がどうにかなってしまいそうだった。
カインは抱かれることに慣れている。現に、固かった筈の秘部は蕩け、快楽を貪り始めている。
「……わ、からな……い……っ」
カインは、操られて仕方なく奴に抱かれていたのだ。ゴルベーザの言うことを聞く、忠実な僕と化していたのだ。この苛立ちは、カインにぶつけるべきものではない。
本当は知っている。けれど。
「分からなくなる位、抱かれてたってことかよ」
「んんっ」
カインの唇が戦慄く。今にも泣き出しそうな表情で、彼は言った。
「……俺が好きなのは、エッジだけだ……」
自分自身を嘲笑った。
心は俺のものだ。カインの心は、確かに俺を見つめている。それだけでは駄目なのか。自問自答を繰り返す。
「エッ……ジ」
雄を引き抜いてカインを仰向けに寝かせ、両膝が胸につくほどに足を折り曲げた。
加減せず、埋め込む。カインの喉が、笛のような音で鳴った。
「き、つい」
「うるせえ……」
「あ、あっ……んっ」
「どうにもならねえことぐらい、俺だって分かってるんだよ……!」
カインが一際大きな声で喘ぎ、白濁を吐き出す。その液体は彼の顔を汚し、頬をどろりと伝っていった。
End