「知ってる?人間の三大欲求がなにか・・・。」



淫靡な笑み。



「ああ・・・知っている。」

ゲンドウはどこか悲しそうに笑った。 (姫君の寵愛第6話より)





姫君の寵愛(外伝)
第6話:幕間『淫靡な笑み。』





口紅を世界で初めて考案した人は誰だったのだろう?

いったい何を思い、何を目的として作ったのだろうか?

美しさを求める狂気の女性。

太古の昔より彼女らが美の象徴としてきた紅。

いまだ人にすらなりきれていなかった原人でさえこの色を神聖で美しい色と捉えていたことはもはや周知の事実である。

しかしその始まりは何だったのだろう?

彼女たちは何の色を模して赤い塗料を体にぬりつけようとしたのだろうか?

太陽の光?

否、あれは肉眼では白と捉えられる。

では炎だろうか?

否、確かにそれは神聖なもの、されどあまりにも恐怖に彩られている。

では・・・何を彼女たちは体に塗りたくったのだろう?

私は推測する。

あるいはそれは血であったのではないだろうか?

太古の昔よりわれらの記憶を作り、生死をつかさどってきた血。

彼女たちはそこに何らかの美を見出したのだろう。

体や口にぬるようになった経緯は限りなく偶然に近い必然。

それは返り血であり、生の肉にむさぼりついたことにより口の周りに付着した血だったのだろう。

そう。

たとえば今、目の前にいる少女のように・・・。

讃えるものはいないだろう。

今はもうその血は役目を終えたはずだ。

口紅もある。

ボディペイントもある。

血はその役目を終えている。

・・・・だが。

ああ、目の前に立つ少女のなんと美しいことだろう。

私の知るいかなる化粧よりもその化粧は美しい。

この少女が本来持っていた清楚にして可憐な器。

この少女が手に入れた淫靡にして凄惨な過去。

この少女の想い。

誰にも言えずにいる儚き夢。

怒り。

悲しみ。

憎しみ。

それら全てを血は赤というひとつの色であらわしてみせる。

「ゲンドウ・・・いや、今は総司令と呼んだほうがいいのかしら?」

「どちらでもかまわんよ。リリス。」

「そう。なら呼び捨てにさせてもらうわ。まだ人間のシステムにはわからないことが多いの。」

「そうか。」

「暇じゃないんでしょう?早いとこ終わらせてしまいましょう。」

「そうだな。」

まるで倦怠期の夫婦のような会話。

もしくは淫売との会話だろうか?

なんにせよ、ろくな会話ではない。

そして、大方の予想どうり彼女は服を脱ぎ始めた。

薄紫の服を一枚ずつ。

まるで白雪のような白い肌がゆっくりと露になっていくさまは何かの果物を呼び起こさせた。

暗いケージの中にいるせいか彼女の肌の白さが余計に強調される。

14歳の少女とは思えない完璧な肉体。

魅せる事を仕事に選べばそれだけで食べていけるかもしれない。

それだけの美をこの少女は備えている。

「ああ、ゲンドウはそのままでいてね。脱がせる楽しみが減るから・・・。」

最後に残ったソックスを脱ぎ落としながらリリスはにやりと笑った。

この笑みは・・・リリスにしかできない笑みだ。

もちろんアキナもイヴも笑う。

だが二人にはこれほどに人を食ったような笑い方はできない。

アキナが笑えばそれは絶対的な力となるだろう。

イヴが笑えば人を和ませ、癒すことができるだろう。

だが、リリスの笑いは人を狂わせる。

行方知れぬ悪魔の妻としての自覚がそうさせるのだろう。

まだ幼い体には余りに似つかわしくない凶悪な血。

まとうものは狂気。

「いいわ。こっちへ来なさい。ゲンドウ。」

誘うように差し出された右手。

逆らえば・・・どうなるのだろう?

そうは思いつつも私はその手をとる。

魅かれているのだろう。

この家族といっても差し支えのない少女に。

リリスは満足したといった風にうなずくと私の肩に手を回してきた。

淡い体臭が鼻をくすぐる。

「目覚めなさい、第3の欲望よ・・・。」

謡うようにつぶやき、首筋を白い手がなでる。

冷たい感触が肌を伝い延髄をも冷やしていく。

同時に下半身がすごい熱を持ち始めた。

陽根が痛みすら伴うほどの速さで肥大化する。

すぐさまリリスの口がそれをくわえ込んだ。

熱い。

人の口の中の温度ではない。

溶岩の中にものを突っ込んだような感覚だった。

時にゆっくり、時に激しく。

リリスの口は私のものを加えたまま変幻自在に動いた。

その間指は陰嚢の周りをゆっくりと揉みしだくように動く。

それだけで危うく射精しそうになった。

「ぐ・・・・。」

快楽をこえた快楽。

頭の中に火花が散り、記憶が攪拌される。

ペチャリ、ペチャリ、という湿った音をたて彼女が口を打ち付けてくるたびに赤い残り血が陰毛に絡み付いてくる。

舌先に痺れが出はじめていた。

もう・・・長くは持たない。

体が急速に発射体制を整えている。

「リリス、もう・・・。」

後がない。

そう言おうとした瞬間、彼女は口の中からものを吐き出した。

中途半端な興奮状態に私の体は取り残されてしまった。

「まだよ・・・。まだ私は満足していない・・・。」

神経はいまだ異常な興奮状態にあるのに体は急速に熱を失っていく。

「ふふ・・・、いかせてほしかった?」

すっと竿の裏を指先がなでる。

それだけで体の中に黒い情欲が駆け抜けた。

「ふふふ・・・。まだだめ。ほら、早く私を満足させないと、このまま生殺しよ。・・・それともこういうののほうが好きなの?」

言いたいように言ってくれる。

だが、私の体はもはやそれどころではなくなっていた。

射精欲に満たされている。

全身の何処もが・・・。

「あらまあ、なんて無様な顔・・・。ユイが見たらどう思うかしらね・・・?」

「それとも・・・・あいつも見たことがあるのかしら?あんたのこんな顔を・・・。」

「馬鹿みたい。自分の息子と同年代の体に欲情するなんて・・・。」

「こんなロリコンによくネルフの総指揮官なんて任せられるわね・・・ここの人間は・・・。」

いろいろな言葉が頭の中を荒らしまわる。

理性や知性などリリスの前では無力なのだ。

脳の中を白いものが埋め尽くしていく。

霧・・・いや、靄だろうか?

「壊れなさい、ゲンドウ。そうすれば私がもっと高いところへ連れて行ってあげる。」

声。

遠ざかっていく意識。

その中で私の頭に一瞬何かの影がよぎった。

真っ白な靄の中では黒い影としか見えなかったがあれは・・・・。

「ユ・・・・イ・・・・・」

意識が暗転する。

先ほどの影の意味を問いただす間もなきままに・・・。




「総司令・・・・。」

何処からか声が聞こえてくる。

「総司令、起きてください。」

誰かの声が聞こえる・・・。

ただこれは・・・人の声では・・・ない・・・・。

「早く起きてください。まったく、起動テスト中に眠るなんて何を考えているんですか?」

「ん・・・・・どうした?マギ?」

しばらく考えて出た結論。

マギの電子音。

「どうした?じゃありません。今から起動実験だというのに・・・。」

起動実験?

「今日はしないんじゃなかったのか・・・?」

「は?何をいっているんですか、総司令?」

「・・・そもそもここは何処だ?私は格納庫に行って・・・。」

「起動実験、開始してもよろしいでしょうか?総司令。」

「ん?ああ、始めたまえ。」

いかん、つい癖で始めさせてしまった。

まずは今どうなっているのか確認しないと・・・。

「マギ、今誰の起動実験をしている?」

「・・・大丈夫ですか総司令?今日はアキナちゃんの実機テスト初日ですよ?」

実機テスト・・・初日・・・?

まさか・・・・。

「いかん、やめズン」

大きな破壊音が響いた。

正面のガラス面に巨大なひびが入り、大量のガラスが中に吹き込んでくる。

「きゃあぁぁぁ!!!」

女性オペレーターの悲鳴。

「助けてくれ!目が・・・目がああぁぁぁ!!」

男たちのうめき。

それらの中でもさらに異質な声が部屋の中を満たしていく。

ーーーーウオオオォォォンーーーー

鬼の慟哭。

激情の迸り。

「なぜ・・・。」

わからない。

なぜまたこの光景が繰り返されている?

なぜこの呪われた光景が繰り返される?

壁に寄りかかり、必死に体を支えているうちにまた靄がかかり始めた。

エヴァの周囲から急速に発生しているそれはすぐさまわれわれの視界を完全にさえぎってしまった。

意識がまたも遠ざかっていく。

だがまるで何かに飲み込まれるような感触。

「ぐぅぅ・・・。」

逆らえない力がそこにはあった。

ーーー助けてーーー

呼び声。

錯覚かもしれないが私はそれを確かに聞き取っていた。

「ゼロ・・・何処にいる・・・?」

自分の手の先さえ見えないほどの靄の中を手探りで進んでいく。

すぐに何か柔らかいものに当たった。

あわててその相手が何なのかを確かめる。

大方の予想通りまだ幼さを残すゼロがそこに横たわっていた。

「なぜだ・・・。」

あの日と同じだ。

それも・・・まったく同じだ・・・。

記憶の通りなら彼女は・・・。

その時だれかに服の袖をつかまれた。

いや、誰かにという言い方は適切ではないかもしれない。

そこには私とこの少女しかいないのだから。

「われ告げる。長き夢より目覚めし悪魔、ソロモンの悪魔にわれ告げる。我が名はリリス、汝らが長にしてサタンの妻。さあ、このリリンを束縛せよ。」

呪文のようなものが唱えられ、赤い布が全身に絡み付いてくる。

「・・・こんなことをしなくとも・・・逃げはせんよ・・・リリス・・・。」

どれほど強く力をこめても絶対に解くことのできない魔布。

「そうよね、2回目だものね・・・。」

布にかけられた力が少し弱まった。

「今度はこのまま犯してあげる・・・。」

ピン、というリリスの指音とともに私の服は全てはじけ飛んだ。

「狂いなさい、ゲンドウ。」

小さな指がペニスを弄り回す。

しばらく単調に竿を刺激していたかと思えば唐突に尿道を刺激する。

そうしていたかと思えば体中の性感帯に舌を這わせていく。

さっきの余韻がとけ切っていなかった私の体はすぐに素直な反応を示した。

「ふふ・・・始めるわよ・・・。」

今度はリリスもじらすようなまねはしなかった。

幼児用プラグスーツの前の部分を驚異的な力で破り去り、無理やり横たわらせた私の上に馬乗りになる。

一瞬顔をゆがめながらも竿は彼女の体内を完全に埋め尽くした。

こつん、と先に子宮口の感触が感じられる。

処女幕はなかった。

というよりこの少女の処女幕は検査のときに破れてしまっていてあろうはずがないのだ。

「あ・・・・」

リリスの口からかすかなあえぎ声が漏れた。

「あは・・・大きい・・・。」

当たり前だ。

自分のが取り立てて大きいなどというつもりはないが7歳の体には大きすぎる代物だろう。

私から言えば相手がきつすぎる、といったところである。

だがそれをリリスは嬉々として受け入れている。

「やっぱり・・・これぐらいなくちゃね・・・・ほら、早く・・・動いて・・・。」

自分でもすでに腰を降り始めている。

そこから射精までの間、二人そろって何度も腰を打ち付けあった。

輸精管を通り精子が出る瞬間、私はあまりの快楽に完全に気絶してしまった。

頭の中に白い靄が走る。



「ぐ・・・うう・・・。」

目を覚ましたときにはもうケージの中に戻ってきていた。

前にはアキナも裸のままうつ伏せに横たわっている。

「リリスは・・・眠ったか・・・。ならそこにいるのは・・・・。」

考えるまでもないことだった。

アキナは一度眠ればおきるまでに数時間の時間を要する。

あと残りは一人だけ。

アキナの背中から巨大な羽が広がる。

計12枚の神秘の羽。

「それで・・・お話とは何ですか?司令官・・・。」

頭を抑えながら立ち上がったのは・・・・。



ーーーーイヴーーーー



最後の人格・・・。







あとがき

「ばかばかばかばかぁぁ!!」

「うお、いきなり何事だね、妹よ。」

「誰が大量受注を取れといった?誰が・・・。」

「さて、なんのことやら・・・。」

「ならSS予約欄に何で6人もの名前があるのかな・・・?え?この馬鹿兄貴・・・。」

「むう・・・気にしないのが一番だと思うぞ?」

「いっぺん死んでこい!!」


以上、この一週間で最も印象に残った会話でした。次回更新分はすでに神々の旋律で確定していますので今回は感想はつけても着けなくてもいいですよ〜。(holiiさん、感想ありがとうございました。)

ああ〜忙しい忙しい・・・。

蒼來の感想(?)
・・・ ええと痛いねこれ・・・・_| ̄|○
リリス・イヴが揃うと・・・あのゲーム思い出すのですが・・・
ちびリリスとかあって面白かったねえ・・・
って脱線(現実逃避ともいう)してしまいましたが・・・感想かけないやヽ(TдT)ノ
しかしゲンドウ?目的変わっとらんか?ユイと会う目的は何処に・・・(−−;;;;
ああ、他のEVA小説と混じってたら御免ね<(_ _)>
なんせ1週間に読む量10作越えてるから>EVAのSSのみ
・・・最後に妹さんにばれて良かったの?>SS書き
予約6人ですか・・・売れっ子ですねえ・・・(−−;