おや、お客様、SEED学園にようこそいらっしゃいました。
今宵はまだ始まってはいませんよ。
クリスマスのパーティーは明日からでございます。
何?それでも覗いてみたい?
左様ですか・・・いや、わかりました。
他ならぬお客様のためです、門を開きましょう。
さあ、こちらへ・・・とはいってもお客様の期待しているようなものが観られるかどうかは定かではありませんが・・・。
SEED学園MS操縦研究部
(第二話):混戦必死!クリスマス恒例バトルロワイヤル!!
「フレイ先輩、ツリーはこっちで良いでしょうか?」
全高3mはあろうかというモミの木が男子学生(1年生)の手で体育館に運び込まれてくる。
明日がパーティー本番と言うこともあり、体育館の中は異様な熱気に包まれていた。
「ああ、そこで良いわ。飾り付けの手直しと散らばった土の片付けまでよろしくね!!」
「はい!」
その中央で連日陣頭指揮をとるフレイ。
準備最終日も終わりに近づくにつれ、このパーティーの仕掛け人にして最大の中心人物である彼女にも少量の疲れが見え始めていた。
一年のうちで最も執行部が(表立って)働く日であるクリスマス。
当然階級が上のものが最高権限を握っている。
「どう?調子は・・・。」
「ん?・・・ミリーか。見てのとおり順調よ。舞台裏のほうはどう?」
「アスランさんがうまく取り仕切ってくれているわ。さすがよね、あの1年生達をうまくまとめてるんですもの。」
「そう、人選のほうはうまく行ってる?」
「そっちはキラがやってるから問題ないでしょ。あ〜あ、これだけみんなが優秀だと伝令はすることがないのよね。」
だが、言葉とは裏腹にミリアリアはフレイの横にペタン、と座り込んでしまった。
「そう?でも、あんたはすこし休んだほうがよさそうね。こら、そこ、手を抜かない!!」
「う〜ん、そうみたいね。」
フレイは忙しそうに声を張り上げながらもそれを無碍には扱わなかった。
何だかんだといいながらも仕事はきっちりこなす彼女のことだ、どうせ朝からずっと走り回っていて疲れたのだろう。
長い付き合いの中で大体の行動パターンは読めるようになっているフレイはそれを踏まないように気をつけながら駆け寄ってきた一年生に指示を出した。
文化祭がないぶん、この時期の盛り上がりはすごい。
全コロニー中でも屈指の生徒数を誇るSEED学園の生徒、そのほぼ全員が作業や準備に追われるさまは壮絶といっても過言ではあるまい。
中でもフレイの担当する飾りつけは規模、質、ともに他校に大きく差をつけている。
当然伝令に頼む仕事も増えてしまうのが現実だった。
しかし、その甲斐もあって、毎年恒例となっている学園全体のイルミネーション作業もクライマックスを迎えつつあった。
どこからともなくカウントダウンの大合唱が起こる。
「発電機の準備はできてる?!LEDの挿し忘れはないわね?」
カウントダウンの最中もフレイは指示を飛ばしつづけていた。
普段の腐敗した学園からは考えられないほどの気力がそこにはあった。
3,2,1、0の大合唱とともに学園の全体に光が満ち満ちる。
すでに暗くなっていた廊下や教室の中にまで電飾が複雑な模様を描き出した。
窓から外を見れば学園全体が光り輝いているさまをみることができただろう。
「綺麗ね・・・。」
よいしょっとばかりに体を起こしたミリアリアの言葉は学園全員の総意だった。
「ッ・・・あたりまえでしょ。私が指揮してるんだから。」
「でもほら、フレイって意外とがさつなところあるし・・・。」
「何言ってるのよあんたは・・・。」
びしっと音を立ててフレイの手刀がミリアリア額に決まる。
昏倒して倒れているように見えるが気にしてはならないのだろう。
「さ〜て、明日は本番ね・・・。詰め詰め・・・。」
作業はその日の夜遅くまで続けられた。
そして翌日。
「ただいまよりクリスマスパーティーをはじめます。」
開会式の音頭をドレス姿のラクスが取り、クリスマスパーティーはお世辞にも厳かとはいえない雰囲気のまま始まった。
体育館に設置された急ごしらえのバイキングは開会前にそのほとんどが手をつけられている。
「キラ、これでよかったのか?やっぱり開会式が終わるまでは食事は控えさせたほうが・・・。」
「うん・・・。けど、そんなことをしたら興がそがれちゃうでしょ。」
部屋の片隅で主催者の二人が声を潜めて話していた。
アスランは正統派の黒のスーツ。
キラはまったく対照的な白のスーツだった。
「そうか。おまえがそういうならそれでも良いが・・・。」
「ありがとう、アスラン。」
二人して未成年にもかかわらずワインに口をつけている。
アスランの飲み方はさまになっているがキラの飲み方はぎこちなく、そもそも酒に弱いであろう事がすぐにわかった。
頬を紅潮させ、目もとろんとしている。
そしてそんなことに気づかないほどアスランは馬鹿ではなかった。
「キラ、飲めないならやめておけ。どうせ後でフレイに飲まされるんだろう。」
ひょい、とキラの手からグラスを奪い取る。
「はは・・・そうだね。」
キラは疲れたような、だが何処か満足感を伴った笑いで答える。
「疲れてるな。」
「午後の会のために連日徹夜だったからね。・・・ごめん、ちょっと休むよ。」
ニュアンスが微妙に違うのだがアスランは気にしないことにした。
何よりおぼつかないキラの足取りのほうが気になる。
「・・・あいつ・・・ああ、ちょうど良いところに・・アサギ、キラを保健室に連れて行ってやってくれ。一人で行かせるのは不安だ。」
ワイングラスを給仕役の学生に任せたまたま前を通りかかった女性を呼び止め、キラを任せる。
同じクラスであることもあって話はすぐに通った。
「わかりました。そういえばカガリさまが探してましたよ。行ってさしあげたらどうですか?」
「ん・・・ああ、考えておく。」
あいまいな返事。
おそらく彼女ならこちらから行かずともここを探し当てるだろう。
確信ともいえるそんな思いがあった。
「じゃあ、伝えましたからね!」
(ふう・・・カガリ・・・か。)
キラを追って走っていくアサギの後姿を眺めながらアスランは軽くため息をついた。
正直フレイ並の彼女の行動力には疲れるところが多い。
それでも彼女を遠ざけられずにいるのはなぜだろうか。
時々不思議に思う。
ラクスに捨てられ、自暴自棄になっていたところで彼女と出会った。
すでにキラの手がついていたが気にするべきことではなかった。
この学園の中で彼の手がついていない存在などほとんど存在しない。
そのまま無理やり彼女を襲った。
普段の自分では考えられないほどに荒々しい方法で。
行為を終え、正気に戻ったところで泣いている彼女が目に入った。
その瞬間、自分はだめになっていたんだと思う。
キラを説得し、彼女を高級女娼にまで持ち上げ、同時に執行部の中に組み込む。
キラはラクスのことで負い目があったのか何も聞かなかった。
そもそも連合とザフトのトップを手にしたに等しい彼にとってオーブなどは弱小国のひとつに過ぎなかったのかもしれない。
壁に体を預け、ワイングラスを傾ける。
「アスラン!探したぞ・・・まったく・・・。」
噂をすれば影。
萌葱色のドレスに体を包んだカガリが駆け寄ってきた。
意外に時間がかかったことを考えると思い当たるところすべてをあたっていたのかもしれない。
「そうか?それは悪かったな。」
並んで立つカガリに新しいワイングラスをとって与える。
「ヌーボーで良いか?」
「ん?ああ、悪いな。」
なれた手つきでワインを注ぎ手渡す。
「午後のミスコン、カガリも出るんだろう?」
「まあな。柄じゃないんだが・・・・。」
「良いじゃないか。応援するよ。」
「おまえの票だけなんてことにならない程度にはがんばるよ。」
実際の校内での人気を考えるとカガリは自分を過小評価しすぎている。
だがそのことには触れず、アスランは普段通りの話し方を心がけていた。
カガリもまたそれ以上その話題には触れなかった。
いつも通りの話題。
いつも通りの時間が過ぎていく。
「まもなくクリスマスパーティー恒例、コスプレミスコンをはじめます。参加が決まっている方は至急体育館裏の楽屋にお集まりください。」
アナウンスが響く。
「もうそんな時間か・・・。じゃあ行ってくる。」
「ああ、がんばれよ。」
カガリは体を伸ばしながら去っていった。
各学年十人という選考枠。
その中に残るのは並大抵のことではない。
ましてやこの学園ではそういうことのためだけに集められたかのように美人が集まる。
その国の政略のためだけに。
その中で勝ち残ったのだ。
十分すぎる戦果を収めたといって良いだろう。
「カガリ=ユラ=アスハ・・・か。」
かわいらしい、だが、それ以上に強い。
これまでこのような性の饗宴の中で暮らしたことなどなかっただろうに、もうなじんでいる。
大道具係が一部のバイキングの位置を変え、通路を設置するなどして準備を始める。
フレイがいなくてもこれほどに動けるのはいったい何と言って脅されたのだろうか?
ろくでもない想像はしないに限る。
アスランは頭を振っていやな考えを頭から追いやった。
「では、これよりミスコンを始めます。司会は私、ディアッカ=エルスマンと。」
「イザーク=ジュールが。」
「お送りいたしま〜す。はい拍手〜。」
のりのいいディアッカといやいややっているのが丸わかりのイザーク。
でこぼこコンビだがこれまでに何度も司会を成功させてきた実績がある。
「ではルールを説明します。イザークよろしく〜。」
「え〜、一次審査は水着審査。」
「グゥレイトォ!寒さの中で何所まで露出を多くできるかが勝敗を分けそうですね〜。当然ポロリもありますよ〜」
「黙っていろ。」
かなり本気気味の延髄蹴りが決まり、ディアッカの体が吹き飛んだ。
「二次審査は毎年恒例サンタコスでの審査です。それぞれの審査は審査員5名各十点の持ち点と会場の皆さんの票の合計で決まります。なお、こちらは各一点です。」
吹っ飛んでいった先に何があったのかすら確認せずにイザークは司会を続ける。
「各学年10人、選ばれた方達は以下のとおりです。 一年、ルナマリア=ホーク、ステラ・・・・・2年、ラクス=クライン、フレイ=アルスター、・・・・。なお優勝者にはさまざまな特権が与えられるので各人がんばっていただきましょう。」
「皆の票が優勝者を決めます!各人、直感と偏見と思い込みで今のうちに入れる対象は決めておこうな〜。」
「何のための投票制だ。」
音速の復活を果たしたディアッカの鼻っ面に今度は回転裏拳が決まる。
相変わらず無表情だったがよく見るとこめかみのあたりが引きつっていた。
「いけず〜。」
「いいかげんに落ちろ!!」
顔面に最大パワーでの右ストレートが決まる。
バン、という何かが破裂したような音。
それととともにディアッカの体が観客席のはるか上空を(血を撒き散らしながら)飛んでいき、反対正面にあったバスケゴールに深々と突き刺さった。
大型電光掲示板に大きく映し出されるGOALの文字。
巻き起こる歓声が痛い。
「ではまず一年生、水着審査からです。」
何事もなかったかのように下がっていくイザーク。
同時に大げさなまでの光演出と音が場を盛り上げる。
吹き上がるスモーク。
四方八方に撒き散らされるレーザー。
なぜか設置されたせり上がり式の床から十人の少女が現れると歓声があちこちから起こる。
ん?ああ、もうお帰りの時間ですか。
残念ですね。
これからがクライマックスだというのに・・・。
いや、わかっております。
一番残念に思っておられるのはお客様、あなたでしょうからね・・・。
ですが今宵はクリスマス。
私からもささやかな祝いの言葉を送らせてくださいませ。
Merry Ctristmas to you!!
あとがき
手抜きとか言わないで〜。これでも精一杯がんばったんです。
たったこれだけに当社比5倍の時間かけてるんです!!
・・・レヴェル低いな〜。
多少遅れてしまいましたが・・・クリスマス用SSです
あなたにもよいクリスマスが訪れていたことを祈ります。
今回家系的にギャグはダメだということに気づきました。
兄もダメだし従姉は恋愛系専門だし・・・。
どうしよう・・・。
さて、次回は何かな?
T神々の旋律
Uパラレルシリーズ
Vお正月特別編。(何系かは決めていないのでダークとかになってしまっても私は知りません)
Wガンダムもの
Xナデシコ、エヴァなどアニメ系その他
Yオリジナル系
ではでは〜(^^)ノシ
蒼來の感想(?)
い〜つまでも手を繋いで、居られる様な気がしていた〜♪
な〜にもかもが煌めいて、がむしゃらに夢を追いかけた〜♪
よ〜ろこびも(´Д⊂)も全部、分かち合う日が来ること〜♪
おも〜って微笑みあっている、色あ〜せたいつかのメリークリスマ〜ス〜♪ song by B'○
鈴菜「こらこら(苦笑)」
観月「行き成り歌いだすと思ったら(苦笑)」
い〜んだもん、どうせ今年も独りだもん(´Д⊂)
鈴菜「感想でいうことじゃあないだろうw」
観月「ですわね。まあ今年でクリスマスイヴに彼女が居ない暦が更新ですものねw」
・・・・・ヽ(TдT)ノ
鈴菜「さ、馬鹿はほっといて感想に・・・これは次回に期待かなあ?」
観月「そうですわね・・・しかし司会はイザークさんだけでいいのでは?」
鈴菜「まったくだな、エロスマンは要らない気がするな・・・」
観月「ところで・・・3年生はシホさんだけですか?」
鈴菜「・・・だろうなあ、他に思いつかんしなあ?」
観月「・・・まさかと思いますが、艦長達は出ていないでしょうね?」
鈴菜「出てないと思うぞ・・・流石に学生では無理があるぞ?」
観月「ならよいのですがv(ニッコリ)」
鈴菜「(えっ、黒オーラ?!Σ(- -ノ)ノ エェ!?)・・・だな」
観月「ああ、そうですわ。私達の名前から(仮)が正式に抜け、この名前になりました。ので、これからもよろしくお願いしますわ」
鈴菜「おう、後はSSに出るだけだな!!」
観月「その通りですわ!!其の為には蒼來に・・・」
愛の(」・_・)」....●~* 〜もっと沢山、おっことしてくれ〜♪
ね〜むれない〜この街の、どまんなかに〜♪
愛の(」・_・)」....●~* 〜もっと沢山、ば〜らまいてくれ〜♪
すれ〜ちがう〜人達〜のポケッ〜トに〜♪
song by B'○
鈴菜「・・・駄目だこりゃ」
観月「・・・望み薄ですわ」
書き忘れ追加(12/25)
次のリクを忘れてました〜(⌒▽⌒;ゞ
Vでお願いしたいのですが・・・ダークになりそうなのでUかWかXのどれかでお願いします<(_
_)>
