…何故、私はこんなことになっている?
































〜柔らか枕〜



















「…マルス王子、入るぞ。」

「…メタ…ナイト…卿…。すみ、ませ…。」

「…無理して喋るな。少しは寝ていろ。」

「…すみ、ません…。」























タブーとの戦いから2日後。

全員の協力により、タブーはフィギュア化され、亜空に飲み込まれた世界は元に戻った。

だが、それのせいなのか、一部の戦士達は次々と寝込んでいった。

私を含めた何人かは普通に動けるのだが、半数以上が戦えないため、試合再開時期は未定。

マスターなら、おそらく何とかなるだろうが、予想以上に重傷らしい。

クレイジーにはどうにもならないらしい。

怪我が治れば処置できる。

それまでの辛抱なのだが、それがいつになるかわからないから困るのだ。





















「…相変わらず高熱だ。大丈夫…な訳がないな。」

「だ、いじょう、ぶで、す…。」

「…間違っても大丈夫には見えないな。」

彼は、元から色が白い感じがするが、今はさらに色を失っている。

頬の辺りだけが赤くなっているのが余計に目立つ。

「…アイクや、他の皆は…?」

「先程、カービィと一緒にアイクの所へ行ったが…。

…相変わらず、だ。これは体力が有る無しの問題ではないからな。

…アイクでさえ、何も口に入れてない。」

「…よっぽど、です、ね…。」

「…動ける者が手分けして看病してる。マスターが治るまでの辛抱だ。」

一応、カービィはアイクのところへ置いてきた。

何かあればマリオ殿を呼べるようにと。







ふと、ベッドの横を見ると、朝持ってきたおかゆが残っている。

…何も口に入れてないのか。

「…おそらく無理だろうが、少しは食え。

 栄養もちゃんととったほうがいい。」

「…すみ、ませ…。」

「さっきから謝ってばかりだな。…謝るな。」

ふう、と溜息をつく。

とりあえず、新しく持ってきたおかゆをマルス王子に食べさせて、あとは少し部屋の整理をした。

いつのまにかマルス王子は眠っていた。




























「…こんなものか。」

大分時間が経ってしまった。

そろそろ戻るか。


そう思ったそのときだった。





ガッ







「!?」

いきなり私は何かに鷲掴みにされた。

ちらちらと肌色のものが見える。

(これは…マルス王子の手!?)

「…まくら…。」

王子の声が聞こえた。

ふと下を見ると、枕が下に落ちていた。

「まくら…見つけた…。」

…まさか。

マルス王子は私を枕と勘違いしているのか?

嫌な予感がする。















次の瞬間。


マルス王子は私をベッドに押し付け、その上に頭をのせてきた。
















「!! おい、マルス王子! 私だ、メタナイトだ!

 枕じゃない!」

「…まくら…。」


全く、聞いてない。


亜空軍との戦いのとき、寝ているときによくアイクは寝惚けて私を枕にしてきた。

無論、そのたびに輪切りやスライス(気分的な意味で)だが。

だが、マルス王子は間違ってもそんなことはしなかった。


相当、重病だ。





マルス王子は私の背中側を上にしてその上に頭をのせている。

そのせいか、仮面が重みで顔にめりこんでくる。


痛い。

マルス王子の重み、というより仮面がめりこんで痛い。












「マルス王子…私だ…。」

…反応無し。

もうこれ以上言っても無駄だろう。

だが、逆にこれでよかったのかもしれない。

さっきまで苦しそうな顔だったのが、今は穏やかになっている。





戦いが終わった後に苦しみが襲ったのだ。


思う存分眠るのが一番いい。




そう思うと私にも強烈な眠気が襲ってきた。


















私が助け出されたのは1時間後。

陛下が心配になって様子を見にきてからだった。
































終

















光の翼の虹風様に相互記念として頂きました、メタナイトとマルスの小説です。
読んだ瞬間管理人はうふふえへへ状態でした*^^*卿の枕、私も欲しいです…。←スライス決定
虹風様、どうもありがとうございました!
2008.5.31