「……しかし、おまえがそんな態度では……マーテルが悲しむぞ」

「いいんだよ、ユアンに姉様をあげる気なんてないから。兄様なら―――――」

 っと口を開いて、それに気がつく。
 慌てて言葉を飲みこみ、ミトスはクラトスから目を反らした。

 自分は『ハーフエルフ』で、彼は『人間』。
 そんな当たり前のことを忘れていた。

 もしも、自分が……ハーフエルフである自分が、彼をそんな風に思っているなどと知られたら……どんな顔をするのだろうか。
 エルフの様に『挟間の者のたわごと』と、憤慨するか、それとも――――とても嫌な顔をするのだろうか。

 クラトスは他の『人間』とは違う。
 自分や姉がハーフエルフと知っていて、一緒にいてくれる。
 守ってくれて、剣を教えてくれて、そして甘えることのできる、姉意外の唯一人の人物。

 大好きな仲間で、師で、友で―――――兄のような人。

「……兄様なんて、いらない」

 視線を落とし、ミトスは足下の小石を蹴る。
 軽く蹴られた小石は思いのほか良く飛び、クラトスの足元に落ちた。


なんだか続きそうな文章ですが……たぶん、続きません。
や、続き書いてみたい気もしますが。
大戦時、ミトス的にクラトスは『兄のような人』希望です(笑)