(ここは一つ、共闘作戦といこう。
敵が背を向けた時が勝負だ)
(姉様は敵じゃないけどね)
互いに視線を合わせ、声には出さずに合図を交わす。
すでに食事の終わったユアンの食器を片付けようと、敵―――――この場合はマーテルが背を向けた瞬間。
師と弟子はタイミング良く互いの皿を。
トマトの乗った皿と、ピーマンだけが見事に残された皿とを交換した。
その間、およそ0.12秒。
少々勢い良く交換したため、カタリと小さな音がしたが。
幸い、マーテルには聞こえなかったようだ。
鼻歌混じりに食器を集め、水場へと足を踏み出す。
クラトスとミトスはホッと息をはき、それぞれの皿を見下ろした。
これならば、食べられる。
目の前でユアンが呆れたような顔をしているが、この際気にしない。
己の敵は、とりあえず去った。
あとは犯行の証拠たる、それぞれの敵を退治するのみ。
証拠を隠滅しようと、クラトスはピーマンに手を伸ばす。
っと、不意に皿が宙に持ち上げられた。
「ミトス、クラトス……好き嫌いはダメよ」
にっこりと微笑みを浮かべて、皿を元の位置に戻したマーテル。
トマト、あるいはピーマン以上の強敵が、ミトスとクラトスの前で頬杖をついていた。
大戦時の英雄さま一行はなんとなくほのぼのだと信じたい(笑)
ミトスのピーマン嫌いは捏造。ニンジンとピーマンでもよかったかも。
それにしても……クラトスって以外に子供っぽい気がします。
それとも、『嫌い』ってだけで、『食べてない』わけじゃないのかな?
2005/01/19