その日、ジャスティーンは以前から疑問に思っていたことをレンドリアにぶつけた。

「そういえば、あんた長生きって言われてるけど……
 いったいどれくらい生きてるの?」

「ん? そうだなぁ、
 ……いくつぐらいに見える?」

 赤い瞳は楽しそうに輝いている。
 いつもジャスティーンをからかう時に見せる、ジャスティーンとしては嫌いな輝き。
 でも、逃げることの出来ない、惑わしの瞳。

「……外見だけなら……あたしとそう変わらないから……18ぐらい?」

「んじゃあ、18でいいや」

「って、それじゃ聞いた意味がないじゃないっ!」

 あくまで答える気のないレンドリアに、ムッと顔をしかめたジャスティーン。
 その怒った肩を、ぽんぽんと叩く者が居る。

「悪いけど、今取り込み中だから。邪魔しないで」

 不機嫌な表情のまま振りかえったジャスティーンに、風の宝玉シルフソードの精霊ソールの穏やかな眼差しが笑いかけた。
 そっとジャスティーンの手をとり、掌に文字を綴る。
 その綴られた文字の意味を理解したジャスティーンの表情が、驚きを通り越して驚愕に変わった。

 そこに綴られた文字は――――――

「うそっ!レンドリアったら、歳だったの!?」

 レンドリアは目を丸くしているジャスティーンの肩越しに、ソールを睨みつけた。

「おまえも、ばらすなよ。
 これでこいつをからかうネタが一つへっちまった」

 その抗議の言葉に、ソールはポンっと手を打った。
 どうやら納得したらしい。
 そして今度はレンドリアの手をとり、文字を綴る。

「ん? まあな。教えてみるか」

「おい、ジャスティーン」っと、未だショックから立ち直れないでいるジャスティーンを呼んだ。

「あのお子様ジェリーブルーだって、おまえより年上だぜ?」