「なんですか?
……私の顔に何かついていますか?」
箸を休め、自分を見つめる2人と1匹の仲間を見つめる。
不思議そうに見つめかえしてくる彼女に毒気を抜かれたのか、金髪の男はばつが悪そうに目をそらした。
「目と鼻と口が付いてる」
粗暴な言葉に、彼女はきょとんと瞬いて少し考える。
やがて話しを反らされたのだと気付いた彼女が、もう1人―――赤いバンダナの少年に目を向けた。
「なんですか?」
少し剣呑な響きを持つ声音と瞳に少年は背筋をのばし、男の肩に陣取ってのんびりと食事をしているカゼネズミに視線をそらせる。
その少年の視線に気が付いたカゼネズミが「やれやれ……」とやや呆れ加減に小さな肩を落した。
「確か今日は……マジックギルドに用があったんだよね?」
「はい。新しいクレフトグラフが手に入ったので、魔法を作成に来たんですよ」
カゼネズミの確認に、その事かと少女は微笑んだ。
「んで、魔法作成は無事終了。
ついでに恩師に挨拶を……ってことでシスターに挨拶をしにいった、と」
元級友達の顔を思い出したのか、少女の微笑みが増す。
「ええ、クラスメイトもみんな元気そうで……」
ほにゃ〜んとした微笑みを振りまく彼女に、金髪の男はついに痺れをきらし、苛立ちまぎれに机を叩いた。その勢いに、少しだけ積み重ねられた皿が浮く。
「それが、なんで――――――皿もヤキソバを食べているんだよ」
「ここの料理長のヤキソバは、絶品なんですよ?」
何を怒っているのか、皆目検討もつきません―――――そう少女の微笑みは物語っていた。
「食いすぎだろう!?」
「そうですか? これぐらい、普通でしょう?」
「そうですよね?」と少女はもう1人の少年に同意を求める。
話しを振られたバンダナの少年は、どう答えたものか苦笑を浮かべるしかなかった。
――――その腕は、少女の食欲を見ているだけで、胸焼けがするのだろう。
苦しそうに胸を押さえていた。