腕の中、彼の動きに合わせて跳ねる白い体に、唇を落とす。
微かにもれる吐息は彼女の『なか』同様、熱く潤んでいた。
華奢な躯にしっかりと『彼』を喰わえ込み、覚えはじめた『動き』できつく締め上げる少女……今ばかりは『女』と呼んでも障りはない。
幼い印象を見せる、普段まとめられていた髪は解かれて広がり、まるい濃い茶の瞳は涙に潤み、赤く上気した頬が、唇が甘い吐息をもらす。
その艶めいた小鳥のさえずりに、ルヴァイドは誘われるように自身を突き立てた。
ルヴァイドの動きに習い、揺れる双丘。
頂点に立つ突起を舌で突き、からめ取るとただでさえキツイ締め付けが、余計に締まる。
「……、少し力を抜け」
締め付けてくれるのは大変結構。
がルヴァイド自身を歓迎している証拠だ。
しかし……少しでも長く繋がっていたいのに、これではすぐに果ててしまう。
「……?」
返事はない。
いつもならば、どんな些細な呼び掛けであっても必ず返事を返す少女。
それは情事の最中であっても変わらない。
返事をしないを不審に思い、ルヴァイドが顔をあげると……涙に潤んだ豊穣の瞳を目が合った。
どこか定まらないの視線に、ルヴァイドは律動をとめる。
「……?」
汗で額にはりついた前髪を払い、頬を撫でる。
呼び掛けるようにゆっくりと名前を呼ぶと、少女はきょとんと瞬き、躯を震わせた。
「……あ、ハイ!?」
よほど驚いたのか、きゅぅっと『締め付ける』ことを忘れない。
「……」
話を聞いていなかったのか。
紫紺の瞳を細め、腕の中の少女を見下ろす。
睨まれてぎくりと背筋をのばした少女は、再び彼『自身』を締め上げた。
「俺の腕の中で余所事を考えていると……どういう目に合うか、教えてやろう」
「よ、余所事なんて、考えてな……」
言葉は最後まで続かない。
ルヴァイドにより再開された律動が、それを許さない。
中途半端に途切れた言葉に、あとは少女の――――――女の甘いため息だけが続いた。
先ほどまでの動きとは違う。
今回が始めてではないとはいえ、いまだ初心者の域をでないを気づかった動きは微塵も感じられなかった。
情欲のままに貪り、突き上げ、掻き回す。
『男』と言うよりは『雄』
『黒い暴風』の異名はこんな所でも健在であった。
「ルヴァ……イドさぁん、だめ……だ……めです」
は途切れそうになる意識を必死につなぎ止め、白いのどをそらす。
首筋をなぞるルヴァイドの唇に、背中に回された腕に、自分の『なか』を掻き回す『モノ』に意識を拡散されて、自然に大きくなる自分の声に恥じらうが、それを止めることは出来ない。
すがるようにシーツを握りしめた手に、ルヴァイドの手が重ねられた。
「……『ダメ』ではないのだろう?」
翻弄され、悲鳴をあげてはいるが。
ルヴァイドを包み込んでいる『なか』は、彼を従順に受け入れている。
熱く潤い、淫らな水音を響かせながら、ルヴァイド自身を搾り取ろうと複雑な動きを生み出す。
『少女』の堅さがとれた、『雌』の動きを。
「何を考えていたか、そろそろ話す気になったか?」
背中に回した腕に力を入れ、繋がったままを抱き起こす。
返事を待つために律動を緩め、ルヴァイドは濃い茶の瞳を覗き込んだ。
「……今日」
やっと緩められた動きに呼吸を整えながら、は紫紺の瞳から目をそらす。
優しい光を宿すルヴァイドの瞳は大好きだったが、情況が情況だ。
『彼自身』を喰わえこんだまま対峙するのは、やはり気恥ずかしい。
「無限回廊で、ルヴァイドさん、その……」
言いにくそうに言葉を探す。
一糸纏わぬ姿で抱き合いながら、回を重ねながらもは恥じらいを忘れない。
「……あの、その、……腰、打っていましたよね? だから……」
大丈夫なのかな? っと考えていました。
ほんのりと頬をそめ、ルヴァイドからそらした視線を落とす。
意図せず視界にはいった自分たちの『繋がった部分』に、ますます頬を染めて、は視線を窓の外、夜空に浮かぶ月に向けた。
彼女は生真面目で努力家。
幼さの残る容姿に似合わぬ体つきを持ち、貞淑。
彼の腕の中では乱れた姿を見せるが、今だ行為に慣れることはなく、恥じらいを忘れない。
……加えて少々、『天然』のきらいがある。
「……では、今夜はおまえが動け」
「へ?」
抱き寄せて、頬に口付ける。
きょとんっと瞬く少女の躯を支え、ルヴァイドは体制を変えた。
ルヴァイドに跨がり、上から見下ろす形になったの腰に手を這わす。
「教えたはずだ」
しっかりと。
一つひとつ、確実に。
「忘れたのならば、また一から教えてやろう」
女の下で滅多に見せない会心の笑みを浮かべた男は、腰に這わせた手をさらに下に進めた。